韓国を訪れている野田総理大臣は、イ・ミョンバク大統領と共同で記者会見を行い、通貨ウォンの下落が続いていることを受けて、両国の間でドルや円などの通貨を融通し合う枠組みについて、今の5倍以上の700億ドル(日本円にしておよそ5兆4000億円)に拡大し、金融市場の安定を図ることで合意したことを発表しました。また、両首脳はEPA=経済連携協定の締結交渉について、早期再開に向けた実務レベルの協議を強化することで一致しました。
野田総理大臣とイ・ミョンバク大統領の首脳会談は、ソウルの大統領府で、19日午前、1時間20分にわたって行われました。この中で野田総理大臣は、日本が保管している朝鮮王朝時代の国家行事を記録した「朝鮮王朝儀軌」などの図書のうち、代表的な5冊を引き渡しました。これについてイ・ミョンバク大統領は「今回、野田総理大臣に図書を持参していただいたことは、韓日両国が未来に向かうための象徴的な意味を持っている」と述べました。これに対し野田総理大臣は「両国間には、時折、困難な問題が生じるが、首脳どうしが大局的な見地で両国関係を前進させようという気持ちを持っていれば乗り越えていける」と応じました。会談のあと、両首脳はそろって記者会見を行い、野田総理大臣は通貨の供給について「金融市場の安定の確保が重要で、通貨スワップについて拡充することで合意した。投資家が金融市場に安心感を持ち、市場の安定化がなされることを確信している。日韓が連携して世界の需要を取り込み、世界経済の荒波に一緒に対処することで合意できた」と述べました。また、イ・ミョンバク大統領は「世界経済の不確実性が深まるなかで、金融市場を安定化させるための通貨協力を強化させることが重要で、通貨スワップについて協議した」と述べ、ヨーロッパの信用不安が深刻化するなか、通貨ウォンの下落が続いていることを受けて、両国の間で通貨を融通し合う枠組みについて今の5倍以上の700億ドル(日本円にしておよそ5兆4000億円)に拡大し、金融市場の安定を図ることで合意したことを発表しました。また、日韓関係について野田総理大臣は「未来志向の日韓関係を、今後、力強く推進していくうえで、きょうは貴重な大きな第一歩を踏み出すことができた」と述べました。イ・ミョンバク大統領は「歴史を忘れず、未来に向かうことが韓日関係の根幹だ」と述べました。さらに両首脳はEPA=経済連携協定の締結交渉について、早期再開に向けた実務レベルの協議を強化することで一致したことを明らかにしました。さらに北朝鮮問題について、拉致、核、ミサイルの問題を解決するため連携を、より緊密にしていくことを確認しました。