インターネットを利用した「ネットバンキング」で、預金が不正に引き出される被害が相次いでいる問題で、まったく関係のない企業や個人のパソコンが、ウイルスに感染して外部から操作され、金融機関への不正なアクセスに悪用されているケースがあることが分かりました。警察庁は、犯罪グループが特定されるのを防ぐため、第三者を経由させたとみて調べています。
インターネットを利用した「ネットバンキング」では、口座から預金が不正に引き出される被害が相次ぎ、ことし4月以降の被害額は2億7000万円余りと、年間としては過去最高となっています。警察庁が不正なアクセスの発信元を分析したところ、預金者とまったく関係がない国内の企業や個人のパソコンがウイルスに感染して外部から操作され、金融機関へのアクセスに悪用されているケースがあることが分かりました。犯罪グループは、このパソコンを通じて預金者のパソコンに「スパイウェア」と呼ばれるソフトを仕込み、パスワードなどを盗み取って預金を引き出したとみられています。こうした第三者のパソコンは「踏み台」と呼ばれ、悪用されたパソコンの中にはウイルス対策ソフトを導入していなかったために2500種類以上のウイルスに感染していたケースもあったということです。警察庁は、犯罪グループが特定されるのを防ぐため、無関係の第三者を経由させたとみて調べるとともに、利用者にウイルス対策の強化を呼びかけています。