2000年8月10日
「全国即売会主催者間連絡会」発足集会出席の報告
 
 この日「全国即売会主催者間連絡会」に出席。話題の中心は例の「ポケモン同人作家逮捕事件」。この事件で実際に著作権違反ほう助の容疑で京都府警に取り調べを受けたガタケット事務局の坂田代表が進行役。たまたま逮捕時に最も近く問題の同人誌が頒布されたイベントがガタケットであったため、取り調べを受けることになってしまったらしい。府警から「ご足労願えませんか?〜」といった調子の電話があり、軽い事情聴取くらいのつもりで出かけたら、どうも様子が変なので「ひょっとして容疑者ですか?」と聞いたら「ハイ」と帰って来たそうな。この辺は覚えておきましょう、ひょっとすると明日は我が身。
 ちなみに、坂田代表、イベント主催者としては(逮捕された女性は福岡在住で地元のイベントによく出ていたにもかかわらず)自分だけが呼ばれたことについて、委託の方が問題視されてるのか(後日任天堂から出されたコメントでは通販されていたことに重きをおいているので)と尋ねてみたところ、担当の刑事からはホントにたまたま最も近い参加イベントだったからという解答が帰って来たらしい。
 逮捕された女性は22日間勾留されたのだが、ここまでおおごとになってしまったのは、府警側では暴力団をバックにした大掛かりな事件を想定していた為らしい。91年ごろの「わいせつ問題」でマンガ専門書店店主が逮捕された前例があるが、これも同様の理由であるそうだ。ここで気を付けたいのは、暴力団が資金浄化の為にどんな手段を使うかわからない為に、警察としては常に実態を良く知らない商取り引きは(違法性の疑われるものは特に)疑ってみざるを得ないところであろう。この辺は税務署も同様。今は電子商取り引きあたりが注目の的ではないかと思われるところ。リンク程度ではほう助には当たらないようであるが、HP主催者も注意を怠ると明日は我が身かも知れない。また、ネットオークションあたりで限定品とか転売してボロ儲けしてる人は要注意。そろそろ税務署が動くって噂もあるので、帳簿はしっかりとね。みんなやってるから大丈夫と思っていても実はグレーゾーン(あるいは完全にクロ)ってことは山ほどあるのだ。
 で、逮捕してみたものの結果は御存じの通り、大山鳴動してネズミ一匹。任天堂側もこれにはビックリで、社内でもやりすぎとの批判も上がったらしい。このあたりはファン活動に好意的な部分もあったわけで、事件後に任天堂が出したコメントが
ここに上げられているが、この前の文章は結構同人に理解的な部分もあったそうだが、周りが騒ぎ過ぎたので、厳しい文にならざるを得なかったようだ。
 彼女は逮捕されて直ぐに自分の非を認めてしまったので、そうでなければ坂田氏ももうすこしやりようはあったかもしれないが、どうにも追認せざるを得なかったとのこと。印刷会社社長も書類送検されたけど、結局、この件で起訴までいったのは件の女性ひとり。警察としては「著作者人格権」(キャラクターイメージの侵害)の方でやりたかったんだけど、時間がかかるので任天堂が嫌がって「複製権」の方での起訴となったらしい。ちなみに、著作者人格権は原著作者しか主張できないそうです(会社は権利を有しません)。
 この辺、非を認めるか認めないかでその後の展開が大きく変わるところ。昔からよくあるバッタもんって、細部を色々変えて「違うでしょ」と言い張れるようにしてあるものが多く、争っても時間がかかるから、権利者側も訴えにくいってのがあるようです。ファンはよく作品に愛があれば良いということを口にしますが、パロディについては実は作品に愛なんか全く無い方が客観的な批評行為として成立するんだという話も…。もっとも同人やファンのHPにおけるパロディっていうのは原作の設定やキャラを借りたサイドストーリーが主流だから、もうこれは、作品の人気を盛り上げる為にやっているのだ、後ろめたいところはない、と思い込んでしまおうということも…。
ちなみに多数のポケモン同人作家からなぜ彼女だけが逮捕されたかというと、
彼女のピカチュウが
一番似ていた為らしい…。ええ、まったく明日は我が身というお話しでした。

 そういえば、直前に聞いたこの会議が妨害されるって噂、どっから出たのかなあ?2ちゃんねるじゃ発見できなかったんだけど…。
 ホントはもう少しネタはあるけど、イベント主催者にしか教えてあげません。

本文は8月10日の日記に一部加筆したものです。(2000.08.29 UP)


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