タイの洪水被害による主力工場の長期停止で、エレクトロニクス業界は業績下振れへの懸念が拡大している。ニコンとパイオニアは営業利益の大半を稼ぐ主力事業へのマイナス影響が不可避。ソニーやフジクラも高収益製品の生産拠点が被災した。今月末からの2011年7―9月期連結決算発表は、各社、通期業績修正に踏み切るかが大きな焦点となりそうだ。
ニコンは、ほぼ全量のデジタル一眼レフカメラと交換レンズを手掛けるタイ工場が、6日から操業を見合わせている。一眼レフは11年4―6月期に営業利益全体の86%を占めた映像部門の稼ぎ頭。一眼レフは一極集中生産のため、代替生産も容易ではない。
同じアユタヤ県のロジャナ工業団地にカーエレクトロニクス関連工場を持つパイオニアも厳しい。カーオーディオやカーナビなどの主要拠点はタイと中国のみ。設備の被害状況を把握次第、中国への生産振り替えなど対策を講じる方針だ。全社利益の94%(11年4―6月期)を稼ぐ大黒柱だけに、迅速な対応が求められる。
東京特殊電線も同団地内の電子部品工場が浸水で操業を停止中。
3月の東日本大震災による津波で工場が浸水したソニーは操業再開まで2カ月半以上を要した。今回と状況は異なるが、復旧スケジュールの目安となりそうだ。