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【静岡】

中電、3年間で26億円寄付 県と浜岡周辺4市に

交付金の代替やプルサーマル“協力金”

 中部電力が本年度までの3年間に、浜岡原発がある静岡県と御前崎市など周辺4市に総額26億3000万円を寄付していたことが分かった。各市は病院建設や設備購入などに充てており、寄付金の一部は県や4市側から催促した形。寄付自体に違法性はないものの「原発とカネ」のいびつさを浮き彫りにしている。

 26億3000万円の内訳は、県に16億3000万円、御前崎、掛川、菊川、牧之原の4市に各2億5000万円。

 県や中電の見解では、16億3000万円は、運転30年以上となる原発が立地する県に国から支給される「地域共生交付金」の肩代わり。浜岡1、2号機が対象になった。

 交付金は2008年度から支給が始まったが、阪神大震災を受けた耐震基準の改定に伴い、中電は08年末に1、2号機の廃炉を決定。5年間支給される予定だった交付金は1年で打ち切りとなった。

 県と4市は09年春、交付金を当て込んで既に計画した事業への「配慮」を要請。中電はこれに応じ、同年度に2億8000万円、10年度に8億9000万円、本年度も9月末に4億6000万円を寄付した。来年度も5億7000万円を予定する。

 県は全額を4市に配分。各市は、道路の拡幅や水道管の耐震化、学校の補修工事などに使った。県企画課は「中電側の事情でもらえなくなったのだから地域振興に配慮してもらった」と話す。

 一方、4市によると、直接分の計10億円は昨春に寄付があった。浜岡4号機では昨年度、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再利用する「プルサーマル」が計画されており、「その協力金として受け取った」としている。それぞれ病院建設や設備購入などに充てている。

 プルサーマルは、07年に開かれたシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院が「やらせ質問」を中電に要請したことが明らかになっている。駿河湾地震の影響などで実現はしていない。

 中電の広報担当者は本紙の取材に「静岡県への寄付は、事業の公共性や社会的貢献度などを検討した上で決めた。その他の寄付の有無は相手方のあることなので明らかにできない」と述べた。

「自治体の感覚まひ」全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士

 交付金がもらえなくなったら、計画は見直すべきだ。肩代わりを電力会社に求めるとは、「麻薬中毒」とまでいわれる原発立地自治体の感覚がまひしている証拠。プルサーマルへの協力金も「金を払うから賛成してくれ」と言っているのと同じ。自治体の自立性を害し、政策をねじ曲げる元凶だ。電力会社は「民間企業」を盾に情報開示に消極的で、自治体も寄付額を公にしてこなかった。一企業が何億円も寄付するなんて聞いたことがない。

 

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