オーラルSEXで咽頭がん急増か…米専門医が警告「喫煙より危険」

2011.10.18


男性器の模型を示しながら、HPVの恐ろしさを解説する辻院長【拡大】

 喫煙よりもオーラルセックスの方が咽頭がんになるリスクが高い−。そんな衝撃的な研究報告が先頃、米国で発表され波紋が広がっている。いったいどういうことなのか?

 米メディアの報道によると、オハイオ州立大学のがん専門医らが喉頭がんの細胞を研究した報告で、ヒト・パピローマウイルス(HPV)に関与しているケースが急増していることが判明。米誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(JCO)で発表された。咽頭がんが増加した原因は「オーラルセックス」によるものではないかと推測。たばこで咽喉がんになるリスクよりもはるかに高いとしている。

 HPVは人から人へ感染するウイルスで、性感染症のひとつ「尖圭(せんけい)コンジローマ」もHPVが原因。性器や口の中にイボ状のできものが生じるのが特徴で、口の中にできるのは「オーラルセックス」の証だという。これは、がんではないが、HPVが体内に存在し続けることで発がんリスクが増すそうだ。

 女性の子宮頸がんはHPVが原因とされ、ワクチンも承認されている。では男性はどうか。日本泌尿器学会専門医で男性の性に関する治療で定評を得ている恵比寿つじクリニックの辻祐治院長が説明する。

 「以前から喉頭がんなど、のどにできるがんにHPVが関与しているといわれていました。今回の米国の報告では、たばこのリスクよりも高いほど、世界的にHPVが蔓延していると受け止めることができます。喉頭がんだけでなく、男性は陰茎がんの原因にもなると考えられています」

 オーラルセックスによる喉頭がんだけでなく、単に挿入しただけの陰茎がんの脅威もあるのだ。

 男性が喉頭がんを防ぐにはオーラルセックスを避ける、つまり女性器の過度な愛撫をやめれば良いが、挿入だけでも感染するとなると、やはりコンドームの装着が不可欠だ。

 性器クラミジアやHIV(ヒト免疫不全ウイルス)など他の性感染症の予防と同様で、陰茎が直接相手の体液に触れないように用心する。

 ただし、HPVの感染はそれでは防げないというから恐ろしい。

 「オーラルセックスをせずに、コンドームをつけたセックスだけも、HPVの感染を完全に防ぐことはできません。手指についたHPVウイルスが、口や陰茎に付着するためではないかと考えられています。それだけ感染力が強いのです」(辻院長)

 コンドームをつけた単なる挿入だけでも、感染する恐れがあるとなれば、一体どうすればよいのか。HPVウイルスは当然のことながら目に見えない。女性に行われている子宮頸がんワクチンも、大人になってすでにHPVに感染した後では、役に立たない。

 男性にも将来HPVワクチン接種が行われるのではないかという話が専門医の間で浮上するほど、HPVの脅威は深刻なのだ。

 「男性の場合は、性器が体外に出ているだけに、常に清潔に保つことで感染を抑制することができます。また、包茎の人は、包皮と亀頭の間に汚れがたまりやすいので注意してください。それが、ウイルス感染の温床になるといわれています」

 辻院長は、HPV予防法のポイントを5つ挙げる。

 中には、性器にイボのようなものができても、「恥ずかしい」と通院せずに、陰茎がんを進行させてしまう人もいるそうだ。異常を感じたら泌尿器科、口の中なら耳鼻咽喉科の専門医に相談を。

 

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