ここでは,理学部数学科の標準的なカリキュラムおよび教科書を紹介します.実際の講義ではより多くの内容が扱われるのが一般的ですが,ここでは最低限学んでおくべき内容がしっかりとかかれている本を紹介しました.(たとえば,多くの大学の関数解析の授業では超関数論や偏微分方程式論が扱われたり,無限次元表現論が扱われます.)

数学は他の学問とは大きく異なり,ほぼすべての分野が有機的に関連しあっています.そのため,学ぶべき基礎的内容も非常に多く,数学科ではこれらすべての内容の要点を講義・演習する必要があるわけです.以下に紹介する本にかかれているのは,一見すると専門的内容に見えても,実は単なる要点のメモ程度のものであることが多く,「使えるレベル」まで本にかかれていることは非常にまれですし,さらに,「どうやって使うのか」,「なぜ必要なのか」ということはほとんど書かれていません.そのため,はじめのうちに学ぶ内容は細かい事項にわたって理解・記憶し,さらに自分で考えて演習しておかないと,表面的な理解ではより発展的な内容を学ぶ際に大きな障害となることがあります.

しかし最近では,大学数学で学ぶべき内容は非常に整理されている上,多くの優れた出版物があるので,意志さえあれば学びやすいと思います.最近の数学は以前と較べれば融合された分野が増えてきましたが,まず「数学の言葉」を学んだ後,代数学・幾何学・複素解析・実解析の4つの分野にわけて学習していくのがわかりやすい方法だと思います.


  数学の言葉
             集合と位相

             線形代数
             微分・積分法(1変数)
             微分・積分法(多変数)

                              


   代数学         幾何学        複素解析学      実解析学

                              


数 学 的 対 象 の 調 査 ・ 研 究