果たして勝因は何か? 「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」が傑作になった背景
「猿の惑星」シリーズにおいて、これは第一作以来の傑作!
1968年に発表されたファースト版がすごすぎて、あのティム・バートン監督ですら「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(01)は不発の出来に終わらせてしまった。そのリ・イマジネーション(再創造)という難題を、本作がハリウッド・デビューとなる英国出身の新鋭監督ルパート・ワイアットが、まんまと大成功させてしまったのだからびっくりである。
【関連写真】猿を弱者として描く…「猿の惑星」新作が目指したのは「猿の視点で映画を語ること」
果たして勝因は何か? おそらくバートン版が“なぜ、いま「猿の惑星」か?”という時代批評的な視点を欠落させた、言わば趣味的なリメイクだったのに対し、今回の「猿の惑星:創世記」は“今という時代”を強烈に感じさせるからだろう。
本作は、地球が猿たちに乗っ取られるきっかけになった最初のエピソードを描くもの。つまり「羊たちの沈黙」における「ハンニバル・ライジング」、「クローズ」風に言えば「猿の惑星ZERO」。最近の例では「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」と同系の“前史”を物語ってやろうという企画である(同時にシリーズ第4作「猿の惑星・征服」のお色直し版とも言える。主人公猿の名も同じシーザーだし)。
しかし作品サーガ内の歴史とはまた別に、優れた表現とは、何より同時代の現実を鋭く反映しているものだ。ニューシネマの嵐が吹き荒れる時代に発表された「猿の惑星」第一作だって、ベトナム戦争や公民権運動など1968年当時の政治的背景を踏まえ、アンハッピーな人類の向かう先を警告・風刺したからこそ、強い説得力を発揮したのだ。
では、「猿の惑星:創世記」が突きつける同時代への警告・風刺とは何か? それは一言でいうと“文明の行き詰まり”である。文明という言葉は、科学信仰と言い換えてもいい。「やっかいな病気になっても、それを治す強力な薬を開発すればいいのさ」的な、科学万能主義の驕りとエスカレートが、人間が駆逐される“猿の革命”を呼び起こしてしまうのである。
とはいえ、本作の理屈自体はシンプルだ。筆者も前半は「ミもフタもないこと言ってんな」程度の感じ入り方しかなかった。しかし真に戦慄すべきは、後半、映像で示されるイメージの力なのである。
大都市サンフランシスコに、高度な知性を持って野性化した猿たちが大量に解き放たれる光景……。この、現代社会がまるで原始化したようなヴィジョンには、ゾッとするようなリアリティを感じないだろうか? 特に我々には、震災後の底冷えする不安にどこか重ならないだろうか?
本作は、映像こそが“文明の行き詰まり”の絶望感を鮮烈に伝えている。
ただし皮肉なのは、第一作のリック・ベイカーによる人力特殊メイクからすると比較にならぬほど進化した、この見事すぎる猿の映像は、“エモーション・キャプチャー”と呼ばれる最新VFX技術で実現されたってこと。まさに映画の内容としては批判している超高度なテクノロジーにより、この映画の表現は支えられているわけである。
文明の最先端で、文明の危機を語るハリウッド。この矛盾を体現した「猿の惑星:創世記」は、現代映画のひとつの臨界点なのかもしれない。(文:森直人)
■関連リンク
「猿の惑星:創世記」作品情報
「猿の惑星:創世記」公式サイト
1968年に発表されたファースト版がすごすぎて、あのティム・バートン監督ですら「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(01)は不発の出来に終わらせてしまった。そのリ・イマジネーション(再創造)という難題を、本作がハリウッド・デビューとなる英国出身の新鋭監督ルパート・ワイアットが、まんまと大成功させてしまったのだからびっくりである。
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本作は、地球が猿たちに乗っ取られるきっかけになった最初のエピソードを描くもの。つまり「羊たちの沈黙」における「ハンニバル・ライジング」、「クローズ」風に言えば「猿の惑星ZERO」。最近の例では「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」と同系の“前史”を物語ってやろうという企画である(同時にシリーズ第4作「猿の惑星・征服」のお色直し版とも言える。主人公猿の名も同じシーザーだし)。
しかし作品サーガ内の歴史とはまた別に、優れた表現とは、何より同時代の現実を鋭く反映しているものだ。ニューシネマの嵐が吹き荒れる時代に発表された「猿の惑星」第一作だって、ベトナム戦争や公民権運動など1968年当時の政治的背景を踏まえ、アンハッピーな人類の向かう先を警告・風刺したからこそ、強い説得力を発揮したのだ。
では、「猿の惑星:創世記」が突きつける同時代への警告・風刺とは何か? それは一言でいうと“文明の行き詰まり”である。文明という言葉は、科学信仰と言い換えてもいい。「やっかいな病気になっても、それを治す強力な薬を開発すればいいのさ」的な、科学万能主義の驕りとエスカレートが、人間が駆逐される“猿の革命”を呼び起こしてしまうのである。
とはいえ、本作の理屈自体はシンプルだ。筆者も前半は「ミもフタもないこと言ってんな」程度の感じ入り方しかなかった。しかし真に戦慄すべきは、後半、映像で示されるイメージの力なのである。
大都市サンフランシスコに、高度な知性を持って野性化した猿たちが大量に解き放たれる光景……。この、現代社会がまるで原始化したようなヴィジョンには、ゾッとするようなリアリティを感じないだろうか? 特に我々には、震災後の底冷えする不安にどこか重ならないだろうか?
本作は、映像こそが“文明の行き詰まり”の絶望感を鮮烈に伝えている。
ただし皮肉なのは、第一作のリック・ベイカーによる人力特殊メイクからすると比較にならぬほど進化した、この見事すぎる猿の映像は、“エモーション・キャプチャー”と呼ばれる最新VFX技術で実現されたってこと。まさに映画の内容としては批判している超高度なテクノロジーにより、この映画の表現は支えられているわけである。
文明の最先端で、文明の危機を語るハリウッド。この矛盾を体現した「猿の惑星:創世記」は、現代映画のひとつの臨界点なのかもしれない。(文:森直人)
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