なぜか政府がメスを入れない司法修習生の”埋蔵金”問題
(週刊朝日 2011年10月21日号配信掲載) 2011年10月14日(金)配信
もともと、給費制を廃止し、貸与制を導入することは04年の自民党政権下で決まっていた。だが、経済悪化を受けて、施行は10年11月からに先送りされていた。
本来ならば、とっくに施行されていたはずだが、土壇場で、民主党の法務部門会議が突如、「待った」をかけた。そして昨年11月末、「1年間、貸与制を停止する」という異例の議員立法で阻止してしまったのだ。その後、政府は省庁横断の検討会議「法曹の養成に関するフォーラム」を設置。今年8月末には、給費制を打ち切り、貸与制(月々18万〜28万円の生活資金を無利子で国が貸し、修習終了後5年は据え置き、その後、10年以内の分割返済という条件)に移行することで最終合意した。
「貸与制も非常に優遇された措置。弁護士の感覚は完全に麻痺している」(法務省関係者)
ちなみに、「法曹の養成に関するフォーラム」が行った調査では、6年目の弁護士の平均所得は1073万円で、明らかに高額所得者だ。日弁連が司法修習生の声として会議へ提出した資料には「弁護士、裁判官に飲み会に誘われると進んで参加しています。(略)給費がなければ参加は無理です」など、お気楽な訴えも多数掲載されていた。
この件の最終的な決定権は民主党政策調査会(政調)にあるが、前原誠司政調会長よりむしろ、鍵は弁護士出身で政調会長代行の仙谷由人氏だろう。今度こそ“ちゃぶ台返し”はないと信じたい。 (横田由美子)
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