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原子炉の安定停止では済まない事故収束

2011/10/18付
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 政府と東京電力は17日、福島第1原子力発電所事故の収束に向けた工程表を見直した。原子炉が冷えた状態で落ち着く「冷温停止」を年内に達成できるメドが立ったとし、これまで来年1月までとしてきた目標時期を前倒しした。

 しかし、原子炉の冷温停止の達成だけで、事故が収束したと言えるわけではない。損傷した原子炉からは微量ながらも放射性物質の飛散が続き、地下水を通じた汚染水の漏れを防ぐ工事もこれからだ。避難した住民らが戻れるかはなお予断を許さない。

 政府・東電は原子炉の安定停止を柱とした工程表の第2段階(ステップ2)の修正だけでなく、さらに1~2年先をにらんだ第3、第4段階を早く示すべきだ。放射性物質の封じ込めや除染の具体的な計画を盛り込み、国民が納得できる形で事故収束への道筋を明らかにしなければならない。

 4月に最初の工程表を示してから半年。原子炉は新たな爆発などの危険が遠のき、ひとまず落ち着いてきた。東電によると、1~3号機の原子炉内の温度は70~80度台に下がり、冷温停止の目安である100度以下で安定しつつあるという。汚染水を循環させて原子炉を冷やす工夫や、作業員らの懸命の努力は実を結びつつある。

 しかし、放射性物質の封じ込めや除染には課題が山積している。大気への飛散量は事故直後の800万分の1以下に減ったが、さらに下げるには建屋をカバーで覆う対策が要る。高濃度の汚染水が周辺に漏れるのを防ぐため、地下に巨大な壁を造る必要もあるが、工事には数カ月以上かかる。

 放射性物質の飛散が止まり、周辺を除染して住民が戻れるか判断できるようになって、初めて事故が収束したと言える。政府は原子炉が安定停止した段階で住民の帰郷を判断する方針だが、飛散防止や除染効果の見極めが不可欠だ。

 炉内に溶けたまま残る燃料をどう取り出し、どこに保管するかや、敷地内に大量に残るがれきなどをどう処分するか。廃炉の準備に着手するためにも、第2段階以降の工程表づくりを急ぐべきだ。

 福島原発事故の影響で農作物や日本製品への風評はなお続いている。これらを拭うために必要なのは、拙速に「事故収束」を内外にアピールすることではない。数十年がかりになる事故対策の段取りを筋道立てて示さないと、信頼回復の道はなお遠い。

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東京電力、福島第1原子力発電所、原子炉

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