放射能、海への汚染拡散 報告 京で学会

放射性セシウムの福島県沖での拡散状況を説明する海洋研究開発機構の河野健さん(京都市左京区・京都大)
放射性セシウムの福島県沖での拡散状況を説明する海洋研究開発機構の河野健さん(京都市左京区・京都大)

 海洋理工学会秋季大会のシンポジウム「福島第1原子力発電所事故による海域への放射能拡散」が17日、京都市左京区の京都大時計台記念館で開かれた。汚染水が海洋に広がり、沖合でも4月中旬に排水基準の2倍となったことが報告され、生物への移行や海底への堆積など、さらなる調査の必要性が指摘された。

■「継続調査が大切」

 海洋研究開発機構の海洋環境変動研究プログラムディレクター河野健さんは、同機構などが福島沖30キロ付近で3月下旬から実施している海域モニタリングの観測結果を報告した。海洋表層のセシウム137の濃度(1リットル当たり)は、開始時の20ベクレルからいったんは検出限界(調査当時は約9ベクレル)以下となるが上昇に転じ、4月15日には原発の排水基準(90ベクレル)の2倍となる最高値186ベクレルとなった。

 現在は1ベクレル以下になっているが、河野さんは「生物への移行や海底への堆積など今後の調査と検証が必要」と指摘した。

 一方、電力中央研究所の津旨大輔上席研究員は、原発から海洋へのセシウム137の直接流出は、観測データの解析から、多くが3月26日~4月6日に生じたと推定した。海底土の汚染について、従来は海水全体の存在量と比べると少ないと考えられていたが、「今回のセシウム137はかつてないほど高濃度で、海底土の汚染と海底土から海洋への再供給などを考える必要がある」とした。

【 2011年10月17日 23時02分 】

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