きょうのコラム「時鐘」 2011年10月18日

 万が一、核戦争がおきたら逃げ込む避難所を「核シェルター」という。放射能を防ぐ設計になっている。幸い、まだ試した人はいない

地震や津波から身を守る「避難シェルター」が売り出されたとの記事もあった。卵形の強化プラスチックで、4人程度が入ることができる。家の下敷きになってもつぶれず、水に流されても安定して浮く仕組みになっていた

加賀藩の江戸上屋敷に地震部屋が造られていたのが分かった。藩主が逃げ込む「地震シェルター」だが、効果を発揮したとの記録はない。それどころか、幼い若君を抱えて逃げ込んだところ亡くなってしまったという。広い庭に逃げた方がよかったのだろうか

今震災では、津波避難ビルが波にのまれて崩壊したのもあった。無残にも、逃げ込んでも役に立たなかった。津波に強い避難ビルの建設以上に難しいと思うのは、狭い閉鎖空間に逃げ込むことだ。状況にもよるだろうが、目の前の「シェルター」に飛び込むか、遠くの丘に走って逃げるか

どちらが人間の心理にかなっているのだろう。江戸の古絵図は、21世紀の防災対策の参考になりそうだ。