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HTC、アップルとの特許訴訟で歩み寄りの姿勢 - アップルの出方に注目

2011.07.27

Android陣営の有力スマートフォン・メーカーであるHTCに自社の特許を侵害されたとして、アップル(Apple)がHTC製品の差し止めを求めている件で、HTCはこの問題を解決するためにアップルとの交渉の席につく用意があることを明らかにした。

両社の訴訟は、アップルが2010年3月に10種類の特許権侵害を主張してHTCをITCに訴えたことで始まったが、今月に入って米国の国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:以下、ITC)が、このうちの2種類の特許権侵害についてアップルの主張を認める判断を下していた。いっぽう、HTCは今月6日に、アップルを相手取った特許権訴訟で勝訴しているS3グラフィクス(S3 Graphics)の買収を発表するなどして、アップルへの対決姿勢を示していた。

HTCのウィンストン・ユン(Winston Yung)CFOは26日に、Bloombergとのインタビューのなかで、「われわれは交渉の席につき、解決策を見つけなくてはならない」と述べ、さらに「その解決策や条件が公平かつ理にかなったものである限り、われわれにはあらゆる種類の解決策を受け入れる用意がある」と語ったという。また同氏は、両社がこれまでに何度かすでに話し合いを行っていることも明かした。

この話題に関し、GigaOMでは、この種の争いは通常、当事者間の和解やクロスライセンス契約を通じて解決されることが多いとした上で、S3などの対抗材料を手に入れたHTCが、アップルとの間で何らかの取引を実現できると考えたとしても意外ではないとしつつも、今回の件でアップルがそうした解決方法に関心を示す可能性には懐疑的な見方を示している。すでにHTCからAndroid関連のライセンス料を得ているマイクロソフト(Microsoft)の場合と異なり、アップルでは自社の特許侵害を止めることに主眼を置いているというのがその理由で、先ごろ発表されたノキア(Nokia)との和解のように、相手が膨大な特許を保有し、どうしても和解が必要といった状況にならなければ、アップル側が折れる可能性は少ないとしている。

また同ブログでは、特許関連の専門家であるフロリアン・ミュラー(Florian Mueller)氏の見方として、HTCが一部のAndroid搭載製品の販売を継続させるために必要な最小限の特許ライセンスをアップルから取得し、代わりに自社ならびにS3の持つあらゆる特許の利用をアップルに認めるという部分的なクロスライセンス契約の可能性にも触れている。


【参照情報】
HTC Says Willing to Negotiate With Apple on Patent Dispute - Bloomberg
HTC Exec to Apple: Let's Make a Deal - AllThingsD
HTC wants to talk, but will Apple listen? - GigaOM
アップル対HTCの特許訴訟 - ITCがアップルの訴えを認める判断
アップル、HTCを特許侵害で新たに提訴 - 米ITCに輸入禁止を請求
HTC、S3グラフィクスを買収へ - 対アップル特許紛争で「強力な武器」入手



中村航、三国大洋(スタッフライター)

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