【社説】国民に借金押しつける自治体から自治権をはく奪せよ

 江原道太白市のキム・ヨンシク市長は本紙とのインタビューで「ばらまき事業が地方自治体の財政を破綻に追い込んだ」と激しい口調で語った。太白市ではこれまで、歴代の市長が票を得るために経済性のない事業を幾つも推進し、借金を積み重ねてきた。その結果、太白市は現在、財政が悪化している自治体の中でも最悪の状況にあるとされている。その象徴とも言えるのが、太白市が4403億ウォン(現在のレートで約294億円、以下同じ)を投じて建設したO2リゾートで、現在2808億ウォン(約187億円)の借金を抱えている。これは、太白市の今年度予算2760億ウォン(約184億ウォン)を全てつぎ込んでも返しきれない額だ。

 財政破綻に直面している地方都市は太白市だけではない。地方自治体が抱える昨年の負債総額は28兆9933(約1兆9346億円)で、2008年の19兆486億ウォン(約1兆2711億円)に比べ52%も増加している。また、地方の公企業が抱える負債も46兆4744億ウォン(約3兆1011億円)で、これも08年に比べて43%多い。地方税収入で人件費さえまかなえない地方都市は、昨年の時点で全国246カ所のうち137カ所(55.7%)に達した。

 韓国には地方自治体の破産という制度がないため、もし自治体が財政破綻を宣言すれば、政府が税金で埋め合わせるしかない。しかし、国民が破綻自治体への税金投入に同意することは考えられない。これら自治体の首長たちは、これまで選挙のたびにばらまき公約を繰り返し、豪華庁舎の建設や、浪費としか思えないイベントに数千億ウォン(1000億ウォン=約66億円)もの資金を投入するなど、無駄遣いを繰り返してきたからだ。

 このように財政が危機的状況にある地方都市が、政府に支援を期待しているのなら、まずは事態をここまで悪化させた責任の所在からはっきりさせなければならない。金融機関などが政府から公的資金の投入を受ける際には、必ずこのような手続きを踏まなければならないからだ。O2リゾートの場合を見ると、2001年の構想段階から05年の着工に至るまではホン・スンイル氏が、09年の完成時点ではパク・チョンギ氏が市長を務め、また当時の江原道知事はキム・ジンソン氏だった。かつて炭坑として栄えた太白市の再開発という大義名分はあったにしても、事業としての収益性については誰一人としてしっかりと検討せず、一方的にばらまいた形跡は今もあちこちで見られる。

 財政危機に陥った地方都市に対しては、公務員のリストラや給与の削減など、まずは独自の自助努力を求めるべきだろう。米カリフォルニア州は財政赤字が膨らむと、市が所有する不動産はもちろん、庁舎にあった事務用品や家具まで競売に出し、公務員に対しては強制的に無給の休職を命じた。このような自助努力はある意味当然のことだが、これさえ怠る自治体に対しては自治権をはく奪し、政府が首長を派遣できるようにするなど、関連する法律の改正を進めるべきだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) 2011 The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース