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東電副社長が県庁訪問、吉村知事に謝罪 風評被害賠償は「誠心誠意対応」

2011年10月15日 08:25
吉村美栄子知事ら県幹部に対し、福島第1原発事故の発生を謝罪する東京電力の皷紀男副社長(左から2人目)=県庁
吉村美栄子知事ら県幹部に対し、福島第1原発事故の発生を謝罪する東京電力の皷紀男副社長(左から2人目)=県庁
 東京電力福島第1原発事故の発生を受け、同社の皷(つづみ)紀男副社長らが14日、県庁を訪れ、吉村美栄子知事に謝罪した。吉村知事が原発事故の早期収束、さらに県内の農畜産業と観光業が受けた風評被害に伴う損害賠償を求めたのに対し、皷副社長は「誠心誠意対応する」と答えた。

 原発事故以降、東電役員が山形県を訪れたのは初めて。福島原子力被災者支援対策本部長を務める皷副社長は補償担当者ら3人と「山形県のみなさんに心配をかけ、深くおわび申し上げる」と謝罪するとともに、事故処理の工程や国が示した損害賠償の中間指針について説明した。

 吉村知事と県の担当部長は県産ブランド牛の価格低迷、海外まで及んだ観光の風評被害、県民が抱く健康面の不安といった原発事故に伴う影響を説明。東電に対し(1)原発事故の早期収束(2)農畜産業の被害賠償(3)観光業への補償(4)放射性物質検査に要している費用の補償−を強く要望し、併せて福島県などからの避難者支援を求めた。

 原子力損害賠償紛争審査会が示した中間指針で山形県の観光被害が対象になっていないことについて、皷副社長は「中間指針は1つのよりどころだが、対象外については補償しないといった考えではない。誠意を持って対応する」と答えた。

 面会後の取材に対し、吉村知事は「(東電が)いつ来るのかと、担当者を(通じて)催促していた。本県も被害が大きいので、もっと早く来てほしかった」と述べ、東電の対応の遅さを批判。「説明を聞いて原発事故の収束はまだ見えていないと感じたが、『誠意を持った賠償』はきちんと進めてほしい」と強調した。

 皷副社長は「(山形県が受けた被害を聞いて)一般論では補償すべき内容だと思うが、個別の事情を聴かないと判断はできない」と述べるにとどめ、賠償の可否について明言を避けた。
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