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2011年10月16日22時42分

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ポカリ、インドネシアで好調 販売量10年で30倍

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写真:ジャカルタ市内の病院の売店に並ぶポカリスエット拡大ジャカルタ市内の病院の売店に並ぶポカリスエット

図:インドネシアでのポカリスエット販売量の推移拡大インドネシアでのポカリスエット販売量の推移

 「甘くないし、酸っぱい」。はじめはインドネシアでこんな風に思われていた大塚製薬の主力飲料ポカリスエット。ところが、ここ数年、同国で急激に売り上げを伸ばしている。日本を抜く可能性もあるという。

■デング熱流行、「健康飲料」で存在感

 「みんな、ポカリスエットを知っているかい?」

 首都ジャカルタにある国立第一中学校。ポカリを製造販売する現地法人、アルメタ・インダ・大塚(AIO)の販売促進員レーハンさん(25)が、体育の授業を終えた1年生25人にサンプルを手渡した。

 「ゴー・イオン」「イルファン・バフディム選手!」。生徒の元気な声が校庭に響いた。テレビCMのキャッチフレーズや、CMに登場するイケメンのサッカー選手の名前だ。

 「からだの水分が失われるのはどんな時?」。レーハンさんは、ポカリが熱中症予防になる点を伝えた。「学校や病院を1日に4、5カ所は回ります」

 大塚製薬がインドネシアでポカリを本格的に売り出したのは、アジア通貨危機が起きた1997年。点滴用の輸液で進出していたが、地元から「ポカリも売れるのでは」と声がかかった。

 インドネシアでは主流の甘い清涼飲料と違い、ポカリは「甘くない」。原材料を現地で調達して製造するが、味や成分は日本とほぼ同じ。価格は500ミリリットルのペットボトルで1本5200ルピア(約47円)前後。ミネラルウオーターの3倍だ。AIOの板東義弘社長(45)は「長い目でみたビジネスを考えた」。

 現地では無名の新しい飲み物。小売店に並べてもらうため、文化や風土に根ざした売り込みをはかった。原動力は50人ほどのインドネシア人販売促進員だ。病院を手始めに、「足で稼ぐ」営業を徹底した。

 赤道直下の国柄を踏まえ、下痢や脱水症状の際に水分補給に役立つことを地道に訴えた。学校などでの説明会も実施。その数、年間5千〜6千回。口コミでじわりと市場を広げた。

 認知度が一気に上がったのは04年。熱帯病のデング熱が大流行した時だ。「健康飲料」として、ポカリの存在感は高まった。

 05年には、日中に食べ物や水を口にしないイスラム教の「ラマダン(断食月)」向けキャンペーンを始めた。インドネシアは人口2億4千万人で世界最大のイスラム教国。「宗教に立ち入るのはよくない」と二の足を踏む日本人に、販促員たちは「ラマダンは文化だ」と気にかけなかった。

 ラマダン限定のテレビCMをつくり、モスク周辺で礼拝帰りの人にサンプルを配った。

 その間、地場飲料メーカーも追随して市場を広げ、「ワルン」と呼ばれる庶民向け食品雑貨店にも浸透した。先行したポカリは健康飲料の代表格となった。

 11年の販売見込みは6億本(330ミリリットル缶換算)に近い。伸び悩む日本の販売量の半分に達する勢いだ。中国など15カ国・地域で販売するが、突出するインドネシア市場を大塚製薬は優先させる考えだ。経済に活気があり、市場は日本より大きくなるとみるからだ。

 板東社長は「よい商品が売れるとは限らないのが市場。商品特性を理解した現地社員の提案が大きかった。今やインドネシアはポカリの第二のふるさとになった」と話す。

続きは朝日新聞デジタルでご覧いただけます

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