「電気自動車時代は果して到来するのか」
世界の自動車関連機関や各国政府、専門家は、電気自動車時代の到来時期をめぐり、それぞれ違った見解を示している。
ルノー・日産のカルロス・ゴーン会長は「2020年に電気自動車は世界の新車販売台数の10%を占めるだろう」と希望的な観測を示している一方、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は原油価格が1バレル当たり60ドル(約4500円)代にとどまる場合、10年後でも電気自動車の需要は1%に満たないと予想した。内燃機関車に比べると、購入価格などすべての維持費が相変らず高く、競争力に欠けるとの理由からだ。
にもかかわらず、各国政府は電気自動車に対して投資している。中国は年内に50万台の電気自動車を普及すると宣言しているほか、米国やドイツ、英国、日本はそれぞれ10年後に電気自動車100万-200万台の導入を目標に各種の政策を展開している。
しかし、電気自動車時代が到来したといえる国は、まだ存在していないのが現実だ。
米国は電気自動車とプラグイン・ハイブリッド関連企業に計24億ドル(約1820億円)の予算を投入している。こうした中、ゼネラルモーターズ(GM)は昨年末に電気自動車「ボルト」を発売したものの、9月までに4221台しか販売されていない。中国も地元ブランドなど54社が電気自動車事業に参入したものの、昨年は7181台を売ったにすぎない。
JDパワーの集計によると、電気自動車よりも先に量産され10年の歴史を持つハイブリッドカーも、昨年の販売台数は世界的に86万1200台と、シェアは自動車市場全体の1.85%にとどまった。今年はさらに1.7%にまで低下する見込みだ。
しかし、電気自動車関連メーカーは、バッテリー価格が数年以内に半額になると見て、需要の爆発を今か今かと待ちわびている。ルノーは、ミニバン「カングー」を交換型バッテリーを搭載できる電気自動車に改造、車体価格を1万5000ユーロ(約153万円)にまで引き下げ、バッテリー貸し出し料金として1カ月に72ユーロ(約7300円)を受け取るシステムを構築中だ。また、フォルクスワーゲンも「電気自動車は自転車やバイクのように都心型の小型移動手段として使用するのがベスト」とし、先月フランクフルト・モーターショーで1人乗りのコンセプトカー「ニルス」を発表した。