イランで映画界への締め付けが強まっている。映画関係者の多くは、保守強硬派のアフマディネジャド大統領に批判的とされ、最近も相次いで厳しい司法判断が下された。
イランの控訴裁判所は今月初め、社会風刺で知られる映画監督ジャファル・パナヒ氏に対し禁錮6年と20年の監督活動禁止を命じた一審判決を支持した。地元紙が15日に伝えた。裁判官は「反体制の宣伝にかかわった」と理由を述べた。
パナヒ氏は、2009年の大統領選を機に起きた反政府騒動の映画化を試みたとして逮捕されていた。パナヒ氏は女性が男子サッカーを観戦できないイランの現状を皮肉った「オフサイド・ガールズ」で、06年のベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞している。
司法関係者によると、政治犯の裁判は控訴裁判決が最終だが、最高指導者ハメネイ師の判断で執行免除される可能性もあるという。
一方、イラン改革派のウェブサイトは10日、女優マルジェ・バファメヘルさんがテヘランの裁判所で禁錮1年とむち打ち90回の一審判決を受けたと伝えた。09年のイラン映画「私のテヘランは売り物」で、当局の干渉で仕事を失った舞台女優の役を演じ、今年7月に逮捕された。(北川学)