鐘の音が響くとき
みなさんどうもです。こんな更新ペースがいつまで続くのか不安になりますが、息の続く限り突っ走りたいと思います。今回の作品も肉体的なエロ要素はありません。期待されてた方はすいません。ネタ的には、吸血鬼モノになります。王道・・・といえるでしょうか。ですが、自分の色は出せたかなぁと思います。まずは読んでみてください。それではどうぞ。
王国北部の町、ワルナール。山のふもと、森と湖に囲まれた小さな町。貴族の避暑地にい近いその町で、神隠しが頻発しているという。私、正騎士リアン=マクドウェルは陛下の命を受け、ワルナールへと調査に向かった。
「ここがワルナールか。聞いてたとおり綺麗なところねぇ。」
森を抜ける一本道を抜けると、目的の場所に着いた。町の中心には大きな教会があり、その周りには古い町並みが続いている。見た目からは何の異変も感じられない。
「まっ、とりあえず調べてみないとね。詰め所はどこかな~っと。」
衛兵の詰め所を目指す。ちゃんと挨拶はしておかないと。
衛兵たちの話によると、神隠しは全員女性。それもすべて若く年頃の少女だという。姿を消して数日後、全員がふらりと戻ってきた。そして、その間の記憶は失われているという。
直接被害者の話が聞きたい。衛兵たちは渋い顔をしたが、数人の所在地を教えたくれた。・・・しかし収穫は何もなかった。
「何も憶えていないので・・・」
「気が付いたら、家にいたんです・・・」
「町を歩いていて、気が付いたら布団の中で・・・」
大事なことは何もわからなかった。いや、何かあるのは間違いない。が、何があったのかわからない。念のため、宿屋の主人や教会の神父にも話を聞いてみよう。それでダメなら・・・
「吸血鬼、か・・・」
結局、出会った人に片っ端から話を聞いて、怪しいのはたったそれだけ。しかも、かなりの眉唾モノ。・・・正直なところ、お手上げだ。
「・・・にしても、どうなってんの?痕跡もなし、記憶もなし、おまけに吸血鬼だなんて。バカにしてるのかしら。」
思わず愚痴がこぼれる。来た意味があったのか、それすらも微妙だ。すでに辺りは暗く、日が沈もうとしていた。
「宿に戻るか・・・明日は町の周囲を調べてみよう・・・」
ため息をつきながら細い小道を抜け、大通りに入る。
空気が、変わった。大通りには、すでに誰もいない。明かりすら、漏れてはいない。危険だ。騎士としての直感が、警鐘を鳴らす。
ゴオオォォォン・・・ゴオオォォォン・・・
突如鳴り響く教会の鐘の音。こんな時間に・・・?いや待て。あの神父は、鐘は壊れていると言っていたはずだ!
辺りを警戒しつつ、腰のブロードソードを抜く。派手さの無い質素な造り。父の形見でもあるその剣を構え、じっと周囲の気配を探る。
いた!夜の闇に解けるように一人の青年が立っていた。相手ははじめからそこにいたのか、じっとこちらを見ている。目を合わせると、赤く光ったような気がした。
「うん・・・?」
「ほお・・・効いてないか。面白そうだ。」
何か妙なことを呟いている。何者だ、こいつは?
「そこの男!私は王国騎士団正騎士、リアン=マクドウェル!そこで何をしている!」
「騎士、ね・・・久々に楽しませてもらえそうだ。」
何のことだ?いぶかしげに見ながらその名を問う。
「貴様!名を名乗れ!」
「ふふ、我が名はルガート。ルガート=V=グラムフェルト。汝の身、貰い受ける!!」
そう言うと、いきなり襲い掛かってきた。手にはいつの間にか細いサーベルが握られていた。
「問答無用ってわけ・・・じゃ、本気でいくよ!!」
互角、といっていいのだろうか。相手に致命傷を与えられない反面、こちらも深手を負っていない。しかし、どこか違う。その違和感の正体は・・・
「・・・!貴様・・・手加減しているつもりか!」
「ふん・・・そんなつもりは無いが、予想以上だ。剣のみとはいえ、ここまでやれるとは思わなかった。非礼は詫びよう。だが、全力でいく訳にはいかないのでな。」
いちいち癪に障る。そっちがその気なら・・・
「甘く見てたってこと?なら、コレで終わらせてあげる!」
私は力を振り絞り、奴に向かって突進する。加速しながら無数の突きを放つ、乾坤一擲の一撃!
「てやああぁぁぁぁぁっっ!!」
しかし。最初の突きが当たるその寸前、その姿が消え失せる。
「なっ・・・!」
次の瞬間。首筋に痛みが走る。
「あぐっ・・・!ああ・・・」
いつの間にか背後に回った男が、私の首筋に牙を突き立てていた。まさか、本当に、吸血鬼、だったなんて・・・
「あぁん・・・ふああぁぁぁ・・・」
私の中から、何かが吸われていく。-キモチイイ-
何も、考えられない。-キモチイイ-
後悔も恐怖も感じない。-キモチイイ-
体が、冷たくなっていく。-キモチイイ-
このまま死ねるのなら、それでもいい・・・キモチイイ・・・
「・・・死なせるわけにはいかんな。」
冷たくなった体に、何かが入ってきた。どす黒い何か。それが私を染め上げていく。
「ふああああ!!なんかきたぁ!!」
それまで以上の快感が、理性を、心を、灼き尽くしていく。
人としての自分が過去のものとなり、新たな自分が上書きされていく。
・・・夢。父のような騎士になりたかった。でも今は違う。
・・・恋。騎士団の先輩に憧れていた。でもそれは昔の話。
・・・剣。王国のために捧げてきた。今はただ一人のため。
疑問や違和感はすぐに消えた。あるのはただ、今までに無い開放感のみ。
「堕ちるぅ、堕ちちゃうううぅぅぅぅ!!」
堕落していく。肌は白くなり、犬歯が伸びて一対の牙になる。自分が、何か別の存在に変化しようとしているのがわかる。だが、それがたまらなく嬉しくて、快感だった。
「ひ、ひゃあああぁぁぁぁぁんん!!!」
その悦びに溺れながら、私は闇の底へ沈んでいった。新たな価値観を心に刻み込んで・・・
「目覚めよ、リアン。我が眷属よ。」
声が聞こえた。我が主、ルガート様の声だ。私は飛び起きて、主の前で姿勢を正す。
「リアンよ。今の気分はどうだ?」
「はい。大変素晴らしい気分です。私に新たな命を与えてくださり、ありがとうございます。」
闇夜の中、私は跪いて主の手に口付ける。
「ルガート様、私リアン=マクドウェルは、この身と心と魂の全てを捧げ、永遠の忠誠と絶対の服従を誓います。」
契約の言葉を述べる。赤く染まる瞳に、陶酔の色を乗せて。
「ええ、頼りにしていますよ。」
「はい、ルガート様。私はあなた様の剣。いかようにもお使いください。」
「では、参りましょう。今はまだ我々の時間ですから・・・」
私は主とともに闇の中へと消える。残されたのは、月の光と静寂のみ。
再び鐘は鳴る。闇夜に生きるものを讃えるように・・・・
END
いかがでしたか。毎回、表現に苦労して時間がかかってしまうのがつらい所。アイデアがすぐに形になるほどの経験はないので、試行錯誤を繰り返しながら書いています。ご意見・ご感想等ありましたら、コメントのほうよろしくお願いします。それではまた次回作で。
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「ここがワルナールか。聞いてたとおり綺麗なところねぇ。」
森を抜ける一本道を抜けると、目的の場所に着いた。町の中心には大きな教会があり、その周りには古い町並みが続いている。見た目からは何の異変も感じられない。
「まっ、とりあえず調べてみないとね。詰め所はどこかな~っと。」
衛兵の詰め所を目指す。ちゃんと挨拶はしておかないと。
衛兵たちの話によると、神隠しは全員女性。それもすべて若く年頃の少女だという。姿を消して数日後、全員がふらりと戻ってきた。そして、その間の記憶は失われているという。
直接被害者の話が聞きたい。衛兵たちは渋い顔をしたが、数人の所在地を教えたくれた。・・・しかし収穫は何もなかった。
「何も憶えていないので・・・」
「気が付いたら、家にいたんです・・・」
「町を歩いていて、気が付いたら布団の中で・・・」
大事なことは何もわからなかった。いや、何かあるのは間違いない。が、何があったのかわからない。念のため、宿屋の主人や教会の神父にも話を聞いてみよう。それでダメなら・・・
「吸血鬼、か・・・」
結局、出会った人に片っ端から話を聞いて、怪しいのはたったそれだけ。しかも、かなりの眉唾モノ。・・・正直なところ、お手上げだ。
「・・・にしても、どうなってんの?痕跡もなし、記憶もなし、おまけに吸血鬼だなんて。バカにしてるのかしら。」
思わず愚痴がこぼれる。来た意味があったのか、それすらも微妙だ。すでに辺りは暗く、日が沈もうとしていた。
「宿に戻るか・・・明日は町の周囲を調べてみよう・・・」
ため息をつきながら細い小道を抜け、大通りに入る。
空気が、変わった。大通りには、すでに誰もいない。明かりすら、漏れてはいない。危険だ。騎士としての直感が、警鐘を鳴らす。
ゴオオォォォン・・・ゴオオォォォン・・・
突如鳴り響く教会の鐘の音。こんな時間に・・・?いや待て。あの神父は、鐘は壊れていると言っていたはずだ!
辺りを警戒しつつ、腰のブロードソードを抜く。派手さの無い質素な造り。父の形見でもあるその剣を構え、じっと周囲の気配を探る。
いた!夜の闇に解けるように一人の青年が立っていた。相手ははじめからそこにいたのか、じっとこちらを見ている。目を合わせると、赤く光ったような気がした。
「うん・・・?」
「ほお・・・効いてないか。面白そうだ。」
何か妙なことを呟いている。何者だ、こいつは?
「そこの男!私は王国騎士団正騎士、リアン=マクドウェル!そこで何をしている!」
「騎士、ね・・・久々に楽しませてもらえそうだ。」
何のことだ?いぶかしげに見ながらその名を問う。
「貴様!名を名乗れ!」
「ふふ、我が名はルガート。ルガート=V=グラムフェルト。汝の身、貰い受ける!!」
そう言うと、いきなり襲い掛かってきた。手にはいつの間にか細いサーベルが握られていた。
「問答無用ってわけ・・・じゃ、本気でいくよ!!」
互角、といっていいのだろうか。相手に致命傷を与えられない反面、こちらも深手を負っていない。しかし、どこか違う。その違和感の正体は・・・
「・・・!貴様・・・手加減しているつもりか!」
「ふん・・・そんなつもりは無いが、予想以上だ。剣のみとはいえ、ここまでやれるとは思わなかった。非礼は詫びよう。だが、全力でいく訳にはいかないのでな。」
いちいち癪に障る。そっちがその気なら・・・
「甘く見てたってこと?なら、コレで終わらせてあげる!」
私は力を振り絞り、奴に向かって突進する。加速しながら無数の突きを放つ、乾坤一擲の一撃!
「てやああぁぁぁぁぁっっ!!」
しかし。最初の突きが当たるその寸前、その姿が消え失せる。
「なっ・・・!」
次の瞬間。首筋に痛みが走る。
「あぐっ・・・!ああ・・・」
いつの間にか背後に回った男が、私の首筋に牙を突き立てていた。まさか、本当に、吸血鬼、だったなんて・・・
「あぁん・・・ふああぁぁぁ・・・」
私の中から、何かが吸われていく。-キモチイイ-
何も、考えられない。-キモチイイ-
後悔も恐怖も感じない。-キモチイイ-
体が、冷たくなっていく。-キモチイイ-
このまま死ねるのなら、それでもいい・・・キモチイイ・・・
「・・・死なせるわけにはいかんな。」
冷たくなった体に、何かが入ってきた。どす黒い何か。それが私を染め上げていく。
「ふああああ!!なんかきたぁ!!」
それまで以上の快感が、理性を、心を、灼き尽くしていく。
人としての自分が過去のものとなり、新たな自分が上書きされていく。
・・・夢。父のような騎士になりたかった。でも今は違う。
・・・恋。騎士団の先輩に憧れていた。でもそれは昔の話。
・・・剣。王国のために捧げてきた。今はただ一人のため。
疑問や違和感はすぐに消えた。あるのはただ、今までに無い開放感のみ。
「堕ちるぅ、堕ちちゃうううぅぅぅぅ!!」
堕落していく。肌は白くなり、犬歯が伸びて一対の牙になる。自分が、何か別の存在に変化しようとしているのがわかる。だが、それがたまらなく嬉しくて、快感だった。
「ひ、ひゃあああぁぁぁぁぁんん!!!」
その悦びに溺れながら、私は闇の底へ沈んでいった。新たな価値観を心に刻み込んで・・・
「目覚めよ、リアン。我が眷属よ。」
声が聞こえた。我が主、ルガート様の声だ。私は飛び起きて、主の前で姿勢を正す。
「リアンよ。今の気分はどうだ?」
「はい。大変素晴らしい気分です。私に新たな命を与えてくださり、ありがとうございます。」
闇夜の中、私は跪いて主の手に口付ける。
「ルガート様、私リアン=マクドウェルは、この身と心と魂の全てを捧げ、永遠の忠誠と絶対の服従を誓います。」
契約の言葉を述べる。赤く染まる瞳に、陶酔の色を乗せて。
「ええ、頼りにしていますよ。」
「はい、ルガート様。私はあなた様の剣。いかようにもお使いください。」
「では、参りましょう。今はまだ我々の時間ですから・・・」
私は主とともに闇の中へと消える。残されたのは、月の光と静寂のみ。
再び鐘は鳴る。闇夜に生きるものを讃えるように・・・・
END
いかがでしたか。毎回、表現に苦労して時間がかかってしまうのがつらい所。アイデアがすぐに形になるほどの経験はないので、試行錯誤を繰り返しながら書いています。ご意見・ご感想等ありましたら、コメントのほうよろしくお願いします。それではまた次回作で。