少女たちの聖戦 第3話 【失意と沈黙の小夜曲】

みなさま、お待たせしました。
少女たちの聖戦、第3話でございます。
本来の執筆ペースに戻ったものの、
今度は文章がどんどん長くなっていくと言うのは何故でしょうか・・・

今回は本職に戻って悪堕ち要素が入ってきます。
途中で悪堕ち好きを恐怖のどん底に陥れる大事件も・・・
ちなみにエロ要素はありませんのであしからず。

それではどうぞ。


星 麗燐。私立星凛女子学園1年。一年前の時空界震で祖国と両親を失い、天涯孤独となった少女。特例措置により国籍を与えられ、学校に通うことを許された。そんな彼女が手に入れた、大きな秘密。それは突如として目覚めた、人智を超えた力。一般に超能力と呼ばれるものだった。
そして春。新たな生活のなか、彼女は謎の能力者たちに襲われるようになる。秘密を抱えたまま戦い続ける少女に、最初で最後の、そして最大の危機が訪れようとしていた。それは、小さな異変から始まった・・・。

コードダークⅡ ~少女たちの聖戦~
第3話 【失意と沈黙の小夜曲】

『も・・・さ・』
小さな耳鳴りのような感覚。
「つ・・・また・・・。」
アタシは頭を押さえ、治まるのを待つ。そして、周囲に注意を向ける。濃紺のチャイナ服が風に揺れる。
(コレが来るときに、連中が来るのは分かってるからね・・・)
案の定、ビルの向こうから男が飛んできた。
「ホント、懲りない奴ら・・・。」
アタシもゆっくりと浮かび上がり、男を迎え撃つ体勢に移る。
「さあ、返り討ちにしてあげる!」

「・・・で、今日もこんなに傷だらけなのか?」
ルームメイトのエイルがアタシの姿を一目見て、責めるような口調で問いかけてくる。
「・・・ごめん。」
「ふう・・・。仕方ないな。さあ、傷の治療をしよう。」
エイルのその言葉に、アタシは服を脱いでベッドに横になる。
「じゃ、始めるぞ。」
エイルが傷の上に手をかざし、小声で聖句を紡ぐ。すぐに傷口が温かくなり、痛みが消えていく。
「ん・・・気持ちいい・・・。」
アタシはその心地よさと疲れから、眠気に襲われていく。
「まったく。なぜ助けを求めない。私も、他のみんなも喜んで協力すると言うのに。」
「アリガト・・・でも、ゴメン・・・」
アタシはそれだけ言うと、睡魔に導かれるまま眠りに落ちた。
「まぁ、いい。今は眠るといい・・・」

夢の中。そこは白く染められた世界だった。
(ここどこ・・・?なんだか懐かしいような、怖いような・・・)
見たことがないはずなのに、なぜか記憶にあるような気がした。全てが白で統一された、無個性で画一的な空間。
(あれは・・・?)
そんな空間の中に、違う色が現れる。髪の色、肌の色が違う少年少女たち。幼さの残るその子たちの姿が、心のどこかに突き刺さる。
(何でこんな夢・・・)
現実感のないそれが夢であることは、分かっていた。それなのに、妙に落ち着かない。それが何故なのか、理解できなかった。
そして場面は変わる。
子供たちは薬を与えられ、それを飲み込んでいく。
(アタシ、これ知ってる・・・?)
知っている、憶えている。そんな気がした。そして。
『お前は失敗作だな。もう必要無い。廃棄しよう。』
(うわあああああぁぁぁぁぁ!?)

「!?」
飛び起きる。
「ゆ、め・・・?」
どんな夢だったか、もう憶えてはいない。それでも決して良くない夢だったことだけは分かる。
「何だったんだろ・・・?寝汗ひどいな・・・シャワー浴びよ。」
隣のベッドを見ると、エイルが静かな寝息を立てている。アタシはそろりとベッドを抜け出し、シャワーに向かう。
「はぁ・・・。なんか、身体重いな・・・。」
悪夢の残滓が残っているのか、シャワーへ向かう足は重かった。
◆◆◆
白で統一された空間の中、ひとつの影がほくそ笑む。
「ふふ、ようやく繋がったみたいね。まさか、廃棄処分した失敗作に妨害されていたとはね・・・。」
嘲笑するような口振りとは対照的に、表情は無機質な笑みを浮かべているに過ぎない。そこに感情の揺らぎは、欠片も感じられなかった。
「さあ、宴の準備をしましょう。哀れな失敗作の帰還を祝して、ね・・・。」
影が姿を消す。残るのは、静寂に包まれた白い闇。

◇◇◇
翌日の朝、何となく予感があった。人気のないビルの屋上から、ゆっくりと浮き上がる。
「性懲りも無く・・・!」
宙に浮かぶ人影に向かい、一気に接近する。先手必勝。耳鳴りは聞こえなかった。
「ハッ!」
呼吸とともに衝撃波を放つ。相手もそれを相殺しつつ、少しずつ距離を取ろうとする。
「逃げようっての?」
アタシは追撃しつつ様子を窺う。相手は距離を取りつつ、それでいて逃げるような素振りはなかった。
「誘ってるの?・・・いいわ、行ってやろうじゃない!後悔しないでね?」
衝撃波を繰り返し放ちながら、その後ろ姿を追う。自分を見つめる視線を感じることのないままに。

「アタシの、勝ちよ!」
元の場所からはかなり離れたビルの屋上で、謎の刺客を打ち倒した。ホッと一息ついた、そのときだった。
『戻りなさい・・・』
「く?あ・・・」
激しい耳鳴りと、頭を揺さぶられるような頭痛に、思わず膝を付いてしまう。
『戻りなさい・・・』
「う・・・あ・・・は、い・・・。」
頭に響く衝撃に意識を持っていかれてしまう。視界に一枚膜が張ったようになり、身体の自由が利かなくなる。
『戻りなさい・・・。』
「はい・・・。」
抑揚のない声で答える。その声はまるで自分の声では無いようだった。アタシの身体は意思とは関係なく立ち上がり、ゆっくりと宙に浮かぶ。そして次の瞬間、テレポートが発動する。その衝撃のなか、アタシは意識を失った。

◇◇◇
一方その頃、遠目に星の姿を追っていたエイルは、その姿を見失ってしまった。
「くっ、流石に追いきれないか。胸騒ぎがして追ってきたが、ここまでなのか・・・。」
諦めようとしたその時、一人の女性とぶつかってしまう。
「ごめんなさいね。大丈夫だった?」
一瞬エイルはその女性に見惚れてしまう。活動的な美女、そんな言葉が似合う女性だった。
「いえ、こちらこそ申し訳ない。」
そんなやり取りだけで女性はすぐに人の流れに消えていく。そして気付く。ポケットの中に入っている一枚の紙切れに。
「これは・・・?」
そこに書かれていた内容を見て、迷いながらも使い慣れない携帯電話を手に取った。

◆◆◆
「サービス旺盛じゃな?」
ビルの陰、二つの影が言葉を交わす。片方は少女のように見える。もう片方は、活動的な美女と評された女性。
「友人が心配で追いかけてくるなんて、いい娘じゃないですか。だからちょっと手助けを、ね。」
女性が少女に笑みを浮かべながら答える。
「じゃが、それだけではないのじゃろう?」
にやりと唇の端をゆがめながら、少女が問う。
「ええ。せっかくだから協力してもらおうかと。ついでに彼女たちのデータも取らせてもらいます。」
女性もまた、同じような笑みで目的を語る。
「あとはルシルたちにお任せね。状況は伝えてあるから問題はないでしょ。」
「そうじゃな。あとは高みの見物と洒落込むかの。」
そう言いながらビルの陰、その奥のほうへと姿を消していく。その後には何の痕跡も残すことなく。

◆◆◆
「ん・・・」
気がつくと、そこは白の世界だった。
「ここはいったい・・・?」
床も壁も、天井すらも真っ白。白に支配されたその空間は現実感が無く、圧迫感すら憶えるほどだった。
(何ここ・・・?なんだか懐かしいような・・・?)
記憶の片隅に残る違和感。それが何なのか分からないまま、ふらふらと歩き出す。
「あの後、いったい何が・・・」
身体の自由を奪われ、テレポートさせられたのは覚えている。その後、何故ここにいるのか解らない。
『こちらにいらっしゃい・・・』
頭に響く声。
「はい・・・。」
アタシはそれに素直に答えてしまう。そのことに違和感はなかった。
(不思議だけど、なんだか落ち着くような・・・)
ゆっくりと、それでも確かな足取りで歩き出す。前後すらわからない白の空間を、迷うことなく足を進めていく。

どこまで進んでも白に支配されていた。視界とともに、頭の中まで白く染まっていくような気がする。何も考えることが出来ず、ただ呼ばれた方向に機械的に歩いていく。
『お前の意思は必要ない』
「アタシの意志は必要ない・・・。」
頭に直接響く声を、復唱していく。白く染まり停止した思考に、その言葉が小さな波紋を作りながら染み込んでいく。
『全ては組織のため。お前は組織のモノ・・・。』
「全ては、組織のため・・・。アタシは、組織の、モノ・・・。」
心の奥底で警鐘が鳴っているのは、分かっている。でも、それを止めることはできなかった。
『組織の指示がお前の意思。感情など必要ない。』
「組織の指示がアタシの意思・・・。感情は必要ない・・・。」
頭の中が冷たく澄み切っていく。感情も無く、意思を持たない人形に変化していく。なぜかそれが心地よく、身を委ねてしまっていた。

そして行き止まりに辿り着く。アタシは跪き、そこにいた1人の女性に頭を垂れる。
「ようこそ・・・いいえ、お帰りなさいと言うべきかしら。」
アタシは無言のまま、視線を上げる。
「でも、戻ってきてくれて嬉しいわ・・・D-04。」
その言葉を聞いた瞬間、アタシの記憶が音を立てて崩れ去る。そして、本当の記憶が蘇る。物心ついたときにはここにいて、ここで育てられた。そして組織の満足する結果を出せなかったアタシは、廃棄処分された。その当日、時空界震が起きて今日に至ったのだ。それを思い出しても、その衝撃が顔に出ることは無かった。
「貴方の記憶は作り物・・・廃棄したときに適当に与えたものだったのよ?でも今日からソレは必要ない。今まで邪魔してくれた分はしっかり働いてもらうわ。」
「はい・・・。」
記憶が切り替わった影響か、アタシはその言葉をすんなり受け入れてしまう。
「私のことは『オニキス』と呼びなさい。貴方は私の道具、名前など要らないわ。昔のようにD-04が貴方の記号。いいわね?」
「は・・・」

◇◇◇
ドカアアアァァァァン!!
爆音、そして爆風。瞬間、何が起こったのかわからない。命令がない限り、アタシは動けない。
「な、何?」
オニキスが戸惑うなか、アタシのそばに駆け寄る複数の人影。
「星さん!助けに来たよ!」
ひかりの声が聞こえる。
(星・・・?アタシのこと・・・?)
虚ろな瞳でそちらを向く。
「無駄よ?ソレはもう貴方たちの知る娘ではないわ。ソレは私の物。さっさと・・・」
「黙れ!貴様などに友を渡しはせん!ひかり、頼む・・・」
その言葉が耳に残る。何かが引っかかった。
「ええい!こいつらを・・・」
「させない!」「させるもんですか!」
オニキスに喋らせる前に青と赤の少女戦士が仕掛けている。
ひかりと呼ばれた少女が、光とともに変身を遂げる。
「聖鍵に導かれ、セラフィムソウルここに光臨!」
セラフィムソウル。その響きが、アタシの心をノックする。
「ベルスフィア、彼女の心を解放して!」
セラフィムソウルの胸元から光が放たれ、アタシの胸に吸い込まれていく。次の瞬間、温かい何かが心の奥からあふれ出してくる。
「アタシは・・・いったい・・・?」
二つの記憶が混じりあい、アタシの心をかき乱す。
「星!お前は星 麗燐だ!モノじゃない!私たちの仲間の、星 麗燐だ!!」
エルフの少女が涙を見せながら叫ぶ。
「エ・・・イル?エイル・・・アタシは・・・?」

アタシの心に広がる温かい記憶。それは、この仲間たちとの短いながらも楽しい日々の記憶。この記憶だけは、作られた記憶でも失った記憶でもない、アタシだけのもの。
「エイル・・・ゴメン。心配かけちゃって・・・。」
そう言って、隣にいるエルフの少女エイルに目を向ける。
「エイル・・・その格好・・・?」
「あ・・・こ、これは・・・。」
その姿はいつものエイルの服装とは違う。濃緑のチャイナドレスには金糸の刺繍が施され、足には黒のニーソックス。金髪は二つにまとめられ、白いシニヨンに包まれている。それは、アタシと同じような服装。
「た、たまたま気に入ったから買っただけだ。べ、別に、お前の真似をしたわけではないぞ・・・。」
あわてたように言い繕ってはいるが、真似しました、と言っているようなものだ。
「ふふ・・・似合ってるよ、エイル。」
「にあっ・・・?!」
「そーだよねー!似合ってるよねー!かわいいよねー!」
レティが後ろからエイルに抱き付いてくる。顔を真っ赤にして照れるエイルは、確かに可愛いと思う。
「みんな、アリガト・・・。ここから先はアタシの戦い。じゃ、行ってくるね・・・。」
アタシはゆっくりと立ち上がり、オニキスを睨みつける。
「はっ!いいだろう、かかってきな!お前はやっぱり失敗作だ。今度こそ処分してやるよ!」
オニキスが頭上に空いた穴から、外へと飛び出していく。アタシもそれを追って外に飛び出す。奴の攻撃をかわしながら、空中で相対する。
「アタシはアタシ。誰のものでもない!あんたの野望はここで終わらせてあげる!!」

◆◆◆
「彼女たちの脱出ルートは確保してある?」
「はい、ヴァイパー様。爆破後でも問題なく通れるように設定してあります。」
オニキスと少女たちのいた場所の地下、数人の女性が動き回っていた。その姿は人の形をしながら、その動きは人のそれではなかった。それとは別に、獣人のような姿をした者たちもいる。
『こちらエンプレスサラマンダー、内部制圧、完了しました。』
『こちらアヌビスクイーン、外周部の敵勢力制圧完了。』
『サンダーヴィーヴル、退路上の敵、排除終了です。』
各所から通信が届く。
「了解よ。そのまま待機して。・・・モス、そっちはどう?」
「データ転送完了、同時に消去開始・・・。終了しました。いつでも行けます。」
その報告を受け、ヴァイパーと呼ばれた女は撤収を指示する。
「ここの構成員は爆発に巻き込まれない場所に放置して。・・・じゃ、撤収よ。」
音も無く女たちは姿を消す。そして、爆炎が吹き荒れる。

◇◇◇
「アタシにはみんながいる!だから・・・負けないっ!!」
オニキスの重力波をかわしながら、私は衝撃波を連続して放つ。
「ははは!その程度で私を倒せるとでも?甘いんじゃない?」
アタシの攻撃はすべて相殺され、次第に手詰まりになっていく。
「くっ・・・」
オニキスの苛烈な攻撃の前に、アタシはかわすことしか出来なくなっていく。
「ほらほらほらぁ!!どうしたの?もう終わりなのかしら?」
かわすので精一杯で、攻撃どころではない。そんな時、下のほうで立て続けに大爆発が起こる。それはその建造物を使用不能にするのに十分なもの。
「な・・・いったい何が起きたというの?」
オニキスの焦った声が響く中、アタシは視界の隅にみんなが脱出したのを確認した。そして、攻撃の止まった隙を見逃さない。
「そこっ!!」
衝撃波をオニキスに向けて放つ。
「ちいっ!?」
オニキスはそれを何とか避ける。しかし右足に掠り、バランスを崩す。
「まだまだっ!」
アタシはラッシュを仕掛けながら、動きが止まる隙を探す。そう思った瞬間、奴の重力波に捕まってしまう。
「ハッ!所詮は失敗作。この程度の力で抗ってきたなんて、興醒めもいいところ。さあ、終わらせてやるわ・・・」
奴の力が強まり、押し潰されそうな圧力に息が詰まる。
「ぐ、あが・・・」
酸欠状態になって意識を失いかけたその時、地上から一筋の光が走る。

「ガハッ?!」
オニキスの呻き声が聞こえたかと思うと、唐突に身体が自由になる。地上を見ると、そこには光り輝く弓を構えるエイルの姿。
「エイル・・・。このチャンス、逃しはしない!!」
アタシは意識を集中させ、力を1点に収束させる。そのイメージは、槍のように。鋭く、貫くように。
「くそがぁ!!」
怒りに我を忘れたオニキスの動きが、止まった。
「はあああぁぁぁ!!喰らえ!旋・空・槍!!」
衝撃波を1点に集中させたことで、空気を切り裂くさまは槍のように見える。奴が気づいたときには、避けることも相殺することも出来ない距離だった。
「し、しまっ・・・グアアアアァァァァ!?」
先端が奴の体にぶつかった瞬間、その身体が激しく回転しながらビルへと墜落していく。アタシもそれを追って奴が墜落したビルに降り立つ。そこにはすでに虫の息のオニキスが、瓦礫に埋まって倒れていた。
「はぁはぁ、どう?これであんたも、あんたのやってきたことも終わり。おとなしく観念しなさい?」
そう言ってゆっくりと近付いていく。途切れ途切れに言葉が聞こえる。
「ええ、そうね・・・。私は、ここで終わり。だから・・・あとは・・・」

◇◇◇
気が付くと、アタシはベッドの上にいた。奴を倒してから、その後の記憶がない。
「気がついたか?」
その声はすぐ隣から聞こえた。そちらに首を傾けると、エイルがじっと見つめている。
「ここは・・・?アタシはいったい・・・?」
今の状況が飲み込めない。
「お前は奴を倒してから疲労で倒れたんだ。その後、この病院に担ぎ込まれた。」
包帯や治療の痕があるのはそのためらしい。身体の内側にくすぶる火照りは疲れのためだろうか。
「とりあえず今はもう少し寝るといい。疲れだけは治してやれないからな。」
エイルはゆっくりと立ち上がりながら、もう一度布団を掛けなおしてくれる。
「うん・・・そうする。ねぇ、エイル?」
「何だ?」
「アタシは一緒にいてもいいんだよね?」
「何を言っている。お前は私たちの仲間だ。一緒にいて当然だろう。」
「ん。アリガト・・・。」
アタシは再び襲ってきた眠気に身を委ね、そのまま瞼を閉じる。また明日、仲間たちと笑い会える日を夢見て。

深夜、ふと目覚める。身体の内にくすぶる、妙な火照りが心を焦がしていく。頭の中は妙に冴え、冷たく澄み渡っている。
『あなたにまかせるわ』
奴の、オニキスと呼ばれた女の最後の言葉が頭に残る。
「ええ、これからはアタシが・・・。」
口元に笑みが浮かぶ。それは酷薄で冷徹な、邪悪ささえ感じさせる微笑。
そんな時、病室の扉が急に開かれる。そこには1人の看護婦が立っていた。
「お目覚めかしら?・・・で、貴女は誰?」
不意を突かれた質問に戸惑っていると、その看護婦は畳み掛けるように話を続ける。
「言い繕っても無駄よ?あそこのデータは解析済み・・・貴女のことも、おおよそは分かっているけれど。これは確認よ。貴女はどっちかしら?」
「アタシは・・・星 麗燐。そして、オニキスでもある・・・。」
全てを知っている相手に何を隠そうとしても無駄だ。アタシは今の自分を正直に答える。この女性のまえでは、そうすることが当然だと感じていた。
「そう・・・やっぱりね。それで、貴女はこれからどうするの?」
「どう・・・する?」
「そう。組織を立て直す?『沈黙の処刑人』は壊滅してるけれど。それとも、貴女の好きなようにこの世界で生きてみる?どちらにしても、手は貸してあげるわよ?」
「アタシは・・・」

◆◆◆
数刻の後、アタシは病院の地下にいた。服装は今までと同じチャイナドレス。だがその見た目は大きく違っていた。黒く艶のある布地に、銀糸で施された蝶の刺繍が妖しく輝く。シニヨンは深紫、首元や手首を飾るリボンは赤いレザー。脚は素足のまま、ヒールの高い黒エナメルのブーツを履いていた。
「お気に召したかしら?」
看護婦の女性、キヨカ様がそう言いながら近付いてくる。
「はい、とても。今のアタシに相応しい・・・」
アタシは笑みを浮かべながら答える。その表情もまた、以前とは違う酷薄な微笑み。化粧は全体的に暗めの色合いに変え、唇は暗紫色のルージュが引かれている。
「今日から貴女も私たちの仲間。これからも自由に、貴女の好きなように学園生活を楽しみなさい。」
「はい。アタシはアタシ。好きなように楽しみたいと思います・・・。」

アタシは先代オニキスを討ち果たした瞬間、新たなオニキスとして覚醒した。あの施設にいたときから埋め込まれた、もう1つの人格。それはより強い能力を持った者が組織のトップに君臨し続けるための、組織を維持させるための安全装置。
でも、組織はもうおしまい。アタシはオニキスの人格を統合し、星 麗燐として確立させた。アタシにとって、あんな組織なんてどうでもいい。今はただ、助けてくれた友人たちと学園生活を楽しみ、それを脅かすものを『どんな手を使っても』排除する。そのために力を貸してくれる、このコードダークと言う組織の下で活動することに決めたのだ。
「でも、いずれはアタシ好みの娘を集めたチームが欲しいわね・・・。」
アタシの脳裏には、1人の少女の顔が浮かぶ。彼女がずっと横にいてくれれば、どんなに楽しいだろう。
「ま、じっくり行けばいいか・・・。時間はまだあるし、無理やりするのは嫌いだしね。」
窓から差し込む月明かりを浴びながら、これからのことを想像してほくそ笑む。
「そろそろ満月かしら・・・。フフ、明日から楽しみだわ・・・。」


コードダークⅡ ~少女たちの聖戦~
第3話 【失意と沈黙の小夜曲】   完


いかがだったでしょうか?

今回から主人公のひかりの視点ではなく、
その話ごとのメインキャラの視点で進むことになると思います。
最初にそのキャラの設定や現状を載せることになるかと思うので、
誰の視点なのか、誰が堕ちるのかは分かるかと思います。
とはいえ、そうではないケースもあるかもしれませんが・・・

まあ設定を最初に作っていながら、
すでに崩れていたりはするんですが。
今回メインの星は、本来もう少し皮肉屋な設定にするつもりだったのですが、
無口キャラになってますし・・・。

さて次回についてですが、二部構成にするか迷っています。
前作でのフラグも回収しなくてはいけませんし、
堕ちがベタになりそうな分、内容を充実させたいところなので。

ではでは次回更新でまたお会いしましょう。


次回予告!
響き渡る戦いの鐘。少女たちはお互いの絆を確かめながら、闇よりの刺客に立ち向かう。そして、戦いは新たな局面へ。円く輝く月が紅い光を湛えるとき、古代より続く旧き眷族が蠢きだす。少女たちに迫る新たな危機とは・・・・

第4話 【紅と銀の悲壮な輪舞曲】
「残念だけど・・・。お前の命運は尽きているの。おとなしく滅しなさい・・・。」
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