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が、何かが違っていた。
キンカの背中から生えている羽はパピヨンエルフの持つ燐粉を纏った鮮やかな色を持たず、透明で黒い筋がびっしりと伸びている。
体のあちこちは黒い鎧のような硬い皮膚に覆われ、腰の先にはぷっくりと膨らんだ壷のようなものが生えていた。
額から伸びる触角は針金のようにぴんと伸び、目元には黒いアイシャドウ、唇には黒いルージュが艶かしく引かれていた。
それは、ライムがいつも目にする大人のパピヨンエルフとは全く違うものであるが現実離れした美しさも持っており、思わずライムはキンカに見惚れてしまっていた。
「キンカ……その姿……?」
暫くポーッとキンカを見ていたライムはようやっとのことで口を開き、ライムの問いかけにキンカは自分の体を見せびらかすかのようにその場でくるくると回った。
「ん?私大人になったのよ。ついさっき、繭から出てきてね。
そして、ライムに大人になった私を見せたくていてもたってもいられなくて……、迷惑だったかしら?」
ライムの前でキンカは少し困ったような仕草を見せた。
そこには親友を気遣うような思いが見て取れ、この友人が姿が大人になっても心は変わっていないところを感じられる。
「う、ううん……!迷惑なんてことないよ…!」
そんな変わっていない親友に安心したのか、ライムがキンカを気遣う言葉づかいをすると、キンカの顔はパッと明るく輝いた。
「本当?!うれしい!」
嬉しさで表情をほころばせたキンカは、羽をぶんぶんと振るわせてライムの体にぴょんと飛び込んできた。
「え……キンカ、ちょ!」
ただでさえ大人になろうとしてて体調が優れないところに、大人になっていて体が大きくなっているキンカに勢い良く飛び込まれたのでライムはとてもキンカを支えきれず、そのままバタン!と押し倒されてしまった。
「いたたた……ちょっとキンカ、いきなり……」
頭を強かに打ったライムはムッとしてキンカを睨みつけたが、覆い被さるキンカの表情を見てギョッと目を見開いた。
「ライム……ライムぅ……!」
自分を見下ろすキンカの顔は真っ赤に上気し、目が興奮で爛々と輝いている。
額の触覚はぴこぴこと忙しなく動き回り、四枚の羽は飛びたたんばかりに細かく震えていた。
「な、なに……、どうしたのよ。キンカ……」
先ほどまでとは明らかに様子の違うキンカに、ライムはぞっと背筋が寒くなった。
キンカの自分を見る目つき、そこには明らかに欲情の類の光が灯っている。
「うふふ……、御免ねライム。私さっき、ウソついてたんだ……
ライムに大人の私を見せたくて飛んできたっての……。あれ、ウソなの」
キンカの声には一応ライムを騙して申し訳ないといったニュアンスが含まれて入るのだが、それを言っている当人の顔がどうしようもなく興奮で蕩けているのであまり説得力がない。
「ライム……、あなたもうすぐ大人になるんでしょ?
家の外まで雌の匂いが漂っていて……もう、辛抱できなかったのよ……!」
「え……?!」
ライムは自分が大人になろうとしていることをキンカがわかっていたことにビックリしたが、それよりもキンカが自分の部屋に入ってきた理由がそのことだということもっとビックリしていた。
「ライム…お父さんかお母さんに言われなかった?大人になる準備をしている時は、絶対に部屋の中に誰も入れてはいけないって。
私も言われていたんだけれど、外でカタカタと物音がして、どうしても気になってつい窓を開けてしまったの。そしたら…」
キンカが好奇心に負けて窓を開けた時、飛び込んできたのは今のキンカの様な異様な格好をした大人の女性だった。
キンカは一体何が起こったのかわからず、闖入者の前でポカンと放心していたが、そんなキンカの隙を闖入者は見逃さなかった。
「そしたら…その人、いきなり私を押し倒して……そのまま……ハァン……!」
その時のことを思い出しているのか、キンカの顔は見る見るうちに赤く染まりライムを見下ろす目の妖しい輝きも増していっている。
「そ、そのまま……?!」
一体何をされたのか、聞いてはいけないと思いつつもライムは問いかけざるを得なかった。
そして、それを聞いたキンカは待ってましたとばかりにくいっと腰を上げると、腰から生えた壷のような器官を股の隙間からライムに見せ付けた。
その先端からは鋭い針のようなものが飛び出し、部屋の明かりを反射してきらりと光り輝いている。
「そのまま……、これを体に刺されてあっつい汁をドクドクって入れられちゃったの。
そうしたら頭の中が真っ白になっちゃって、気が付いたらいつの間にか繭の中に入っていて……
次に目が覚めた時は、この姿で繭から外に出ていたのよ……」
「そ、それって……キンカがそんな姿になったのって……」
「うん。これで刺されたからだと思う……
最初はビックリしたわ。自分の姿がお父さんやお母さんとまるで違っていたんだもの……。一体自分はどうなってしまったのかって」
それはそうだろう。自分の姿が想像していたのと全く違う姿になってしまっては戸惑いも生まれるというものだ。
が、今のキンカはそれを嘆くそぶりも見せず、むしろその姿に喜ばしく思っているようにも感じられる。
「でも、そんなことはすぐにどうでもよくなったわ。
本能っていうのかしら?自分の心の中に抑え切れない衝動が湧き上がってきて、どうしようもなくなっちゃったのよ。
この『産卵管』を刺したい。刺して仲間を作りたい。仲間と一緒に仲間を増やしたいって……!」
「キンカ……っ!!」
これで分かった。
キンカは自分と同じく、子供から大人になろうとしているパピヨンエルフを求めて外を飛び回っていたのだ。
そしてたまたま、その条件を満たしていたライムの匂いに反応して飛び込んできたのだ。
となると、キンカのしようとしていることはただ一つ。
あの産卵管をライムに刺し、ライムの体の中に異形へと変化させる汁を注ぎ込もうとしているのだ。
「や、やめて……!パパ、ママ……!!」
ライムは精一杯の声を張り上げて寝ている両親に助けを求めようとした。が、蛹になろうとしている体の準備のせいなのか喉から出てくる声は弱々しくて頼りなく、とても部屋の外まで響くものではなかった。
「うふふ……、ムダムダ。
今にも蛹になろうとしているライムの体じゃ、大きな声を出すことは出来ないのよ。私もそうだったし。
大丈夫、痛くなんかないのよ。むしろ、すっごく気持ちよくって幸せな気分のまま蛹になれるわ。
そして、そのまま……クククッ!」
キンカは親友という仮面を脱ぎ捨てて捕食者の笑みを浮かべ、ライムの体に産卵管を近づけていく。
「やめてぇ…キンカぁ……!お願いよぉ……!」
確かにまだ大人になりたくないと思ってはいた。大人になるのはまだ早いと思っていた。
だがこのままでは大人になるどころか化け物になってしまう。それはさすがにライムの思うところではなかった。
「私、そんな姿に……なりたく、ないっ…!」
「そんなことを思っていられるのも今の内だけ。この産卵管がぶすーって刺さったらすぐにこれのことしか考えられなくなるのよ…!
ようこそライム、素晴らしい世界に!!」
キンカの産卵管は正確にライムの秘部へと向けられ、キンカは一拍置いた後に勢い良く産卵管をライムに突き刺した。
「あうっ!」
意外と長く伸びた産卵管はライムの体内の纏わりつく肉を強引に押し開き、処女膜を突き破って子宮へと達していた。
「あ、あぁぁ……!」
肉を抉られた激しい痛みと氷のように冷たい産卵管の感触にライムは声にならない悲鳴をあげ、押さえつけられた四肢をバタバタと激しく振るわせた。
が、それも長くは続かなかった。
「ふふふ…、あはぁっ!」
仲間を増やせる悦びに気色ばんだキンカが腰にくいっと力をいれると、埋められた産卵管の先端が子宮の粘膜にプスリと刺さり、ずぶずぶと沈みこんでいった。
「いぎっ…!」
太い針を刺された痛みがライムの全神経を刺激するが、その痛みを感じる暇もなくキンカの産卵管の先端から腰の嚢に溜め込まれた粘液がブシュッと音を立てて流れ込んできた。
「ひっ?!」
まるで氷のように冷たい粘液が体内に染み入った瞬間、ライムの頭の中で光の弾が弾けとんだ。
妖しい粘液は腰からあっという間にライムの体の隅々に拡散し、細胞の一片一片に染み渡っていく。
それが浸透していく毎に、ライムの全身に言葉では言い尽くせないほどの快感が湧き上がっていった。
「あ゛!あぁあ゛っ!!ぁ……」
目を白黒させて許容量をはるかに越えた快感に翻弄されているライムに対し、キンカは快感に蕩けた顔で腰と嚢をがくがくと揺すってライムの体内により深く産卵管を埋めていった。
「あんっ!そんな、ライムの、顔、見てるとっ!興奮して、腰がっ!止まらないのよぉ!!
受け止めてライム!私のエキス、その全身でたっぷりと受け止めてぇ!!」
キンカは嚢に溜まったパピヨンエルフを同族に変える粘液を最後の一滴まで搾りだし、出すものが無くなってからようやっとライムの腰から満足そうに産卵管を抜き出した。
「は……あはぁ……」
床に横たわるライムの顔はこれまで味わったことのない快感にすっかり蕩けきり、壊れた笑い声をぎこちなく放っている。
キンカの太い産卵管を根元まで刺されたライムの秘部はぽっかりと開き、中からはライムの蜜と破瓜の血が少量ぽたぽたと流れ落ちてきている。
あれだけ注ぎ込んだキンカのエキスは全くこぼれてくることはない。すべてライムの体内に吸収され、ライムの体をじわじわと作り変えていっているのだ。
「ふぅぅ……。気持ちよかったぁぁ……
うふふ…ライムぅ、言ったでしょ?すっごい幸せな気分になれるって……」
仲間を増やす本能を満たせたからか、悦に浸ったキンカはつい今までライムの体内を蹂躙していた産卵管をライムの眼の前に突き出した。
その先端からは注ぎ込み続けた粘液の残滓が僅かながら滴となって湧き出ている。
「あぅ…」
それを見たライムは無意識に舌を伸ばし、ぴちゃぴちゃと音を立てて粘液を舐め取っていった。
喉に絡みつきながら嚥下していく粘液の感触にうっとりと目を細め、もっともっと体内に取り込もうと産卵管を咥え口を窄めてちゅうちゅうと卵管に残る粘液まで吸い取っていった。
(もっと……もっと……)
ライムの心の奥で、もっと粘液を取り込めという声が囁き続けている。
まるで本能のような呼び声にライムは逆らうことが出来ず、自分を異形へと変える粘液を嬉々として飲み込み続けていた。
「ふふっ、あのライムが鼻を鳴らして私の産卵管を舐めしゃぶるなんて……なんていやらしいのかしら……
こんなんじゃ、またライムの中に注ぎ込んじゃいそうよ……」
親友の痴態を目の当たりにしているキンカの嚢の中では物凄い勢いでエキスが生成されていっている。
出来ればまたこのエキスを、ライムの体内に思う存分注ぎ込みたい。
だが、それをしても全くの無駄だ。
すでにライムの体内には充分すぎるほどのエキスが染み渡っている。
キンカの増殖を求めるの本能はキンカ自身の欲望を満たす欲求よりはるかに強く、再び溜まりつつあるエキスを別の無垢なパピヨンエルフの幼生に注ぎ込みたいという欲望がキンカの心を満たしつつあった。
「……どうやら、お楽しみはここまでのようね。
私は他の子供たちに、この幸せを与えに行かなくちゃいけないから……」
キンカは多少名残惜しそうに顔を顰めながら、ライムの口から産卵管を引き抜いた。
「あっ……」
そのことに露骨に不満そうな顔をしたライムは産卵管の先を顔で追ったが、それより速くキンカは入ってきた窓へ体を翻した。
「ライム、私が出て行ったあと窓はきちんと閉めておくのよ。
そうしないと、あなたが寄生されてしまったことが大人たちにばれてしまうかもしれないから……
それじゃライム、大人に羽化したらまた会いましょ。その時は二人で、エルフを寄生して汚す愉しみを味わいましょうね…」
そう言い残し、キンカは羽を鳴らして夜の闇空へと消えていった。
「うぁ……」
キンカがいなくなって暫くしたころ、ライムは操られるようにかくん、かくんとぎこちなく立ち上がった後、開きっ放しの雨戸と窓をぱたりと閉めた。
さっきまでの情事で部屋の中はむっと蒸し暑く、唯一の風の通り口である窓が閉められたことでその暑さはさらに増していっている。
が、ライムはそんなことを気にも止めない様子でふらふらと部屋の中央まで歩いた後、ぺたんと腰を落とした。
「はあっ……はあっ……」
先ほどまでキンカに穿たれていた秘部がじわっと熱を持ち、ライムの体に燃え上がるような快感を与えてきている。
これがキンカが注ぎ込んだ液体が自分を変えていくことから生み出されていることをライムは植え付けられた本能で理解していた。
「わたしぃ……、変わるぅ…!かわっちゃうよぉ……!!」
ライムの体から発せられる快感は自分の体が変わっていくにつれさらに強くなり、快感が強くなればなるほど体の変化も加速していくように感じられてくる。
(もっと、もっとかわりたいぃ!)
ライムは本能の赴くまま両手を自らの秘部へと伸ばし、熱く濡れた肉の中へ指を突っ込んでぐちぐちと攪拌し始めた。
すでにキンカの産卵管で大きく拡張していた孔はライムの指を易々と受け入れ、ライムは両手の人差し指と中指を根元まで突っ込み、自らの内部を弄りまわしていた。
「あっあっあ!!すごい!気持ちいい!!気持ちよくてからだがとんじゃいそぉ!!」
今までにした自慰とは比べ物にならないほどの強烈な快感。
それがキンカに注ぎ込まれた影響なのか、体が少女から女に変わりつつあるからなのかはわからないが、果てしなく燃え上がる体はさらに強く昂ぶっていく。
指しか入れていなかった孔は今や右の手首まで飲み込まれ空いた左手は後ろの穴へと回し、まだ膨らみかけの胸は床に押し付けて擦り上げ、ライムは狂ったようにオナニーを続けていた。
「はぁっ!はぁぁっ!!あひぃぃっ!!」
もうライムの頭の中には快感を求める本能しか残っておらず、部屋中に官能の声を響かせながらオナニーに没頭していた。
本来ならこれほどの大声を出せばさすがに両親も目覚めるはずである。
が、両親が部屋に入ってくる気配はない。
実はパピヨンエルフが蛹になるときは必ず官能が昂ぶってこういう状態になってしまうため、両親ともようやっと蛹になるものだと逆に安心しきってしまっていたのだ。
もしライムの声をきっちりと聞いていたら、明らかにその官能の程度が異常だというのが分かったのだろうが、残念ながら床に入ってしまっていた両親にそれを聞き分けることは出来なかった。
「あぅっ……ああうぅ……ん!!」
いつ果てるともないオナニーに没頭しているライムの全身は噴出してくる汗でびっしょりと濡れ、糸を引いて床に滴り落ちている。
いや、よく見るとそれは汗だけではなかった。
ライムの体中の汗腺から細い糸がしゅるしゅると伸び、ライムの体を徐々に包み込んでいっている。
熱い息を吐く口からも、蜜を噴出している下の二つの穴からも、ふうっ、ふうっと綿のような糸が噴き出してきてライムの体を隠していっている。
やがて、ライムから噴き出てきた糸はライムの体をすっぽりと隠し、部屋の隅々まで糸は伸びてライムの繭をしっかりと固定した。
姿が外から見えなくなってもライムは暫くの間繭を揺らすほどの激しいオナニーをしていたが、その動きは次第に緩慢になっていき、1時間を過ぎた頃には完全に沈黙してしまった。
「…………」
先ほどまでのキンカとの激しいセックス。その後の狂ったようなオナニーがウソのようにライムの部屋の中は沈黙に包まれ、ライムもまた大人になるまでの間のしばしの眠りについた。
そして夜があけ、部屋に入ってきた両親は部屋に作られた立派な繭を見て無事に蛹になったと手を取り合って喜んだ。
だが、繭の中で眠るライムの顔は、眠っているにも関わらず非常に酷薄で邪悪な笑みを形作っていた。
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