米国発「世界金融危機」の火付け役となった「サブプライムモーゲージ」という言葉が、本紙の紙面に初めて登場したのは、2007年3月のことだった。しかし、金融危機が目に見える形で迫ってきたのはそれから1年半後の08年9月15日「リーマン・ブラザーズの破産」によってだ。
南欧諸国の財政赤字が目立ち始めたのが09年12月だった。その後、ギリシャの救済金融申請、米国とイタリアの国家信用格付けの下方修正と、多くの「事件」が続いたが、決定的な引き金はまだ引かれていない。今後、金融危機の引き金となり得る要因としては、ギリシャのデフォルト(債務不履行)、イタリアの救済資金申請、フランスの大手銀行の破綻の三つが挙げられる。このうちどれか一つでも現実のものとなる場合、欧州系の銀行はもちろんのこと、全世界の金融会社は資金回収に乗り出すことが予想され、これにおびえた投資家は株式と債券を大量に売ることだろう。対外依存度が高い韓国経済は、通貨危機や世界金融危機と同じくらいの大混乱を引き起こす恐れがある。問題は、欧州や米国の政策当局者たちが韓国の状況には一切関心がないということだ。自国の経済危機で精いっぱいの諸外国にとって、韓国は自分の家計が苦しいときにいつでも現金を引き出せるATM(現金自動預払機)くらいにしか思われていない。
危機的な状況で最も恐れるべきことは、あすはどんなことが起こるか分からないという「不確実性」だ。人は、不確実な状況が近づくと、コルチゾールというホルモンの分泌が急激に増える。コルチゾールは危険に備えて脳が重要な記憶を引き出すのを支援するが、分泌され過ぎると過去の否定的な記憶ばかりに集中するようになり、合理的な判断力がまひしてしまう。絶体絶命の状況に何度も直面した人が自暴自棄になる「学習性無力感」は、このような状況を増幅させる。