失業への不安を抱え、貧富の差の広がりに怒る人々が15日、世界各地でデモをした。80カ国・地域以上、1千超の都市にのぼる予定という。主要20カ国・地域の財務相らはパリに集って経済危機の封じ込めに動くが、「救われるのは大企業や金融機関ばかり」との思いがネットでつながり、街頭を埋めた。
危機の震源、欧州。スペイン北部、マツに恵まれた木材加工の町サンレオナルドで、ドアメーカー「ノルマ」が存亡の縁にある。
半世紀以上にわたり、住民約2千人の半数を支えてきた会社だが、不況で需要が激減した。
「ノルマは町の誇りだ。地元サッカーチームの名前でもある。絶対につぶすわけにはいかない」。夫婦で30年以上も工員として働いてきたヘスース・エルビーラ町長(54)は言う。
まず「有期契約」だった地元の若者ら約130人が雇い止めになった。会社はさらに6月、残る正社員570人の半減か、150人の解雇と賃下げの組み合わせを提案し、労組とぶつかっている。
祖母、父と3代にわたって働いてきたトマス・ガルシアさん(45)は「我が家にとって今回の危機は、1970年代の石油ショック以上の衝撃だ。クビを切られたら教育費と住宅ローンを払うため町を出る」と話す。ただし、どこに行っても、手取りで約1200ユーロ(約13万円)ある月給は維持できそうにない。
スペインの失業率は21%、若者に限れば45%にのぼる。だが、政府に景気対策を打つ余地は乏しい。重ねた債務(借金)の多さが金融市場で問題視され、緊縮財政に動かざるを得ないからだ。
行き詰まる世界経済、救われない暮らし。いっせいのデモは、スペインが発火点だった。政党や労組に属さない20〜30代の若者がフェイスブックやツイッターで仲間を広げた。1%の金持ちでない「われわれ99%」のための社会を。こんな言葉が世界中で掲げられた。(マドリード=稲田信司)
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金融の街ロンドン、世界経済の中心ニューヨーク。そして、東京。日本でも15日昼、東京・六本木など、都内の複数の場所で100人規模のデモや集会があった。「オキュパイ・トウキョウ(東京を占拠せよ)」などのスローガン以外は、主張も考えも多種多様な人々が、組織的な動員なしに集まった。会場と米国をインターネット電話で結び、韓国の実行委員からもメッセージが。日本国内の問題が、世界につながっているということをアピールした。