神奈川県警は13日、中国人の女に在留資格を取らせるために婚姻届の証人欄に署名するなど偽装結婚に協力したとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで、民主党所属の横浜市議中尾智一容疑者(45)=同市磯子区西町=を逮捕した。県警によると「いまは何も話したくない」と供述している。
捜査関係者によると、逮捕前には入管職員に「自分は市議だ。警察には言うな。県警の幹部を知っている」などと圧力をかけていた。県警は、市議の身分を利用して事件の発覚を免れようとしたとみて調べている。
逮捕容疑は、横浜市に住む飲食店店員の中国籍の女(22)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪で起訴=らと共謀。2009年10月、この女の在留資格を得るため、日本人の飲食店店長の男(22)=同=を夫とし、中尾容疑者が証人欄に署名した虚偽の婚姻届を横浜市南区役所に提出、受理させた疑い。
県警によると、中国籍の女は08年に就学の在留資格で入国し、09年4月ごろから飲食店に客として訪れた中尾容疑者と交際していた。県警は09年10月に女の在留資格が失効する前に、中尾容疑者が男に偽装結婚を依頼するなど、主導的な役割を果たしたとみている。
男には女側から100万円の報酬を支払う約束があり、中尾容疑者が支払った可能性もあるとみて調べている。
捜査関係者によると、女は偽装結婚後も在留資格が得られず、昨年3月の再申請時には、中尾容疑者自身が入管側に許可するよう強く働き掛けたが、同居の実態がないなどの理由から不許可となっていた。
中尾容疑者は03年4月に磯子区選挙区で初当選し、現在3期目。離婚歴があり、現在は独身。民主党横浜市議団政調会長などを務めている。また自分のホームページに「人には優しく、自分には厳しく」をモットーとして掲載している。
(紙面から)