名古屋グランパスがホームで首位G大阪を4−1で撃破し、勝ち点差1に肉薄した。激しいプレスでペースをつかみ中村直志(32)藤本淳吾(27)の両MFが2ゴールずつ。16日に山形と対戦する柏に勝ち点56で並び、得失点差で暫定2位に浮上。連覇へ、最後まであきらめない。
天に向かって、人差し指を突き立てた。前半11分。ゴール前に飛び込んだ中村は、右サイドの玉田から出た絶妙なクロスを左足でゴール右隅に流し込んだ。首位のG大阪との大一番で、鮮やかな先制パンチを食らわせた。
中盤の底(アンカー)ではなく攻撃的MFで先発。「(相手DFの)裏に抜け出して攻撃を活性化したかった」。狙い通りの攻撃がゴールを生んだ。何よりも前節の清水戦で0−2と敗れた嫌な流れを、完全に拭い去った。
追いつかれた後、藤本のゴールで勝ち越し、2−1で迎えた後半23分、突き放したのも中村だった。中盤で遠藤からボールを奪うとそのまま前を向いた。シュートまでのイメージはできていた。「芯にミートして強く蹴ろう」と右足を振り抜くと、無回転のミドルシュートがネットを揺らした。
昨年8月22日、同じホームのG大阪戦の先制弾を思い起こさせた。このときも前節の川崎戦に大敗したチームを再び上昇気流に乗せた豪快な一撃だった。
ストイコビッチ監督はG大阪相手に現役最多の6得点目を挙げた中村を絶賛。「G大阪戦のスペシャリスト。生まれながらのファイター。それが実を結んだ」。守備面でも、中村はG大阪の攻撃の中心となる遠藤を徹底マーク。仕事をさせなかった。
中村だけではない。大一番を前に全員の気持ちが一つになった。前線の選手もDFラインにもプレッシャーをかけ続けた。右足首痛が癒えないまま強行先発した玉田は、前線でボールをキープし、中村の先制弾、藤本のダメ押し弾をアシストした。
満員のサポーターに強いグランパスを見せつけた。「負けたくないというよりも自分たちは強いということを見せたかった」と中村。終わってみれば4−1の快勝でG大阪に勝ち点1差と迫った。心理的プレッシャーをかけた上に、「この勝利でチームのムードは良くなる」。残り5試合で勝ち点3を狙う姿勢は変わらない。
けがを抱える選手も多いが、次節の大宮戦まで1週間の準備期間がある。ピクシー監督は「G大阪に近づくことができた。ただ、まだ終わっていない」と引き締めた。首位を直接たたいた昨年王者が反撃ののろしを上げた。 (伊東朋子)
この記事を印刷する