大韓赤十字社(韓赤)の柳宗夏(ユ・ジョンハ)前総裁は14日、本紙のインタビューに対し「この3年間、満足できたことは何一つない。挫折感を覚える」と述べた。
この日離任式を行い、3年間の任期を終えた柳前総裁は「私は韓赤総裁としての任期中、北朝鮮の貧困層を積極的に支援し、離散家族の再会事業も活性化させたかった。しかし、実際にできたことは、離散家族の再会行事2回(2009、10年)と、北朝鮮の水害に対する支援(10年)しかない。任期中、もどかしい気持ちでいっぱいだった」と述べた。
07年の大統領選の際、李明博(イ・ミョンバク)候補陣営の外交・安全保障政策班で座長を務めた柳前総裁はまた「韓赤が外務部(省に相当)=現・外交通商部=長官を務めた私を総裁に任命したときには『大仕事をしてほしい』という意味だと思った。しかし、実際に総裁になってみると、ほとんど身動きが取れなかった。閣僚を務めた人物を起用する必要はなかった」と主張した。
また、柳前総裁は「飢餓に苦しむ北朝鮮の乳幼児に対し、十分な支援ができなかったことが最も悔やまれる。自責の念を感じる」と述べた。北朝鮮による哨戒艦「天安」撃沈事件や延坪島砲撃事件で南北関係がより一層悪化する中、韓国政府は北朝鮮の貧困層に対する支援を許可したが、これについても柳前総裁は「あまりにも不十分だ。韓赤が北朝鮮の子どもたちのために募金活動を行う日が来ることを望む」と主張した。
その上で柳前総裁は「(『天安』撃沈事件や延坪島砲撃事件で)事情が変わり、韓国の立場としては対北支援という言葉を使えなくなった。運が悪かったとしかいえない」と述べた。挫折感を抱いたことについて、決して韓国政府の対北政策のせいにはしなかったというわけだ。
しかし、韓赤の関係者たちの間では「柳前総裁は政府に対しても不満を抱いているだろう」という声が出ている。
また、統一部の関係者も「少し前、北朝鮮の水害被災地に救援物資を送る問題をめぐって柳総裁と会ったが『政府の責任で支援を行うのに、なぜ韓赤の名前を入れようとするのか』と不満そうに話していた」と語った。
これに対し柳前総裁は「あの問題(水害被災地への支援)で政府に不満を感じたことはない」としながらも、一方で「韓赤が政府との関係を見直す必要がある。自主的な募金活動を積極的に行い、独自に行える事業を増やすよう、後任の兪重根(ユ・ジュングン)総裁にお願いした」と述べた。金泳三(キム・ヨンサム)政権下で外務部長官を務めた柳前総裁は、08年10月に韓赤総裁に就任した。