パリで開かれていたG20の財務相・中央銀行総裁会議は、最大の焦点となっていた金融機関の経営の安定について、ヨーロッパ各国が資本増強を含め包括的な対策を早急に行うよう強く求める共同声明を発表し、信用不安の拡大を防ぐため、今後、具体的な対策を確実に実行に移せるのかがカギになります。
先進国に新興国を加えたG20は、日本時間の15日夜遅く終了し、共同声明を発表しました。声明ではまず、「世界経済の緊張が高まり、景気悪化のリスクが著しく強まっている」として、ヨーロッパの信用不安が世界経済に影響を与えている状況に強い危機感を表明しました。そのうえでヨーロッパ側の対応に触れ、財政が悪化した国を支援する「ヨーロッパ金融安定化基金」の機能強化を、ユーロ加盟国すべてが承認したことを歓迎しています。そして、今月23日に開かれるEU=ヨーロッパ連合の首脳会議に向け、金融機関の経営を安定させるために域内の銀行の資本増強を確実に行うことや、「金融安定化基金」のさらなる強化などといった、包括的な対策を早急に行うよう強く求めています。このように声明では、ヨーロッパ自らの努力を促す一方で、G20としても協調し、金融システムの安定のため、IMF=国際通貨基金が十分な財源を確保できるよう約束したうえで、「危機に直面した国にIMFが短期資金を供給する新たな方法を検討するよう求める」としています。さらに歴史的な円高が続く為替相場については「為替の過度の変動や無秩序な動きは経済の安定に悪影響を与える」という認識を改めて共有しました。今回のG20は、これ以上の信用不安拡大を防ぐようヨーロッパの対応を強く求めた形で、今後、限られた時間で、具体的な対策を確実に実行に移せるのかがカギになります。
安住財務大臣は、G20のあと行った記者会見で「ヨーロッパの危機をしっかり止めないと結果的に高い成長を誇っている新興国の経済にも波及していくおそれがあるので、何とかヨーロッパに頑張ってもらって危機を止めるべきだという認識が共同声明に盛り込まれた。ヨーロッパの力強い結束とそれに伴うギリシャの財政危機問題の解決に向け、具体的な取り組みを促したい」と述べ、ヨーロッパが信用不安の拡大を防ぐため具体策を実行していくことに期待感を表明しました。