□投稿者/ Townmemory -(2009/05/16(Sat) 22:36:13)
![](/contents/069/836/654.mime4) | ●朱志香説からの魔女同盟
「ベアトリーチェ=朱志香」説をもとにいくつかのことを説明できるかもしれないので、やってみます。
ベアトリーチェは朱志香の魔女名であると仮定します。 真里亞の魔女としての名前がマリア卿であるように、朱志香の魔女としての名前はベアトリーチェ卿であるとする。
幼少ベアトリーチェが大事な壺を割ってしまい、それを先代ベアトリーチェに魔法でごまかしてもらうくだりは、実際にあったこととする。 金蔵の大事な壺を朱志香が割ってしまう。熊沢チヨはそれをアロンアルファか何かでごまかし、屋敷に野良猫を放り込めば良い。 熊沢は冗談好きな人格であるから、幼少朱志香に対して、 「ベアトリーチェはほんとうにいるの?」 「ハイハイ、私がベアトリーチェですよー」 といった会話をしていた。 そしてある日、熊沢は、 「じゅうぶん修行したから、名前の継承をゆるします、あなたは今日からベアトリーチェですよ」 と言う。 これによって、魔女ベアトリーチェ(ジェシカ・ベアトリーチェ)は六軒島に誕生する。
朱志香は真里亞を弟子にとり、魔法を教える。 この「魔法」とは、ep4で縁寿が学び、身につけた通りのもの。他人には妄想でも、自分にとっては真実であるものによって自分を幸せにすること。 朱志香は真里亞の妄想を「真実である」と認め、真実であるように振る舞う。 真里亞は朱志香の妄想を「真実である」と認め、真実であるように振る舞う。 これによって妄想は真実になる。 私には視えて、あなたにも視えるものは実在する。 互いの妄想を互いに裏打ちする約束、これが魔女同盟、マリアージュ・ソルシエールである。
ここまではそんなにおかしくないと思います。
●「戦人の罪」って何なのか。
ここから、大いに想像をはたらかせます。
真里亞は、魔女同盟の「最初の」同盟者だったのかどうか。 真里亞以前にも、同盟者がいたのではないか。 そしてその人物は、裏切り、除名された。 魔女同盟にとっての裏切りとは、互いの妄想の裏打ちを拒否して、「魔法なんかない、これは妄想だ!」と喝破してしまうことです。
ベアトリーチェは縁寿が同盟に参加することをかなりしぶった、という記述があります。 なぜしぶったのか。 かつて同盟者に裏切られた経験があるから、新規加盟をいやがった。そう考えると理解しやすいです。 そしてその裏切り者とは、縁寿の兄、戦人ではないのか。 戦人が裏切ったから、妹の縁寿もそうだろう。そう考えたのではないか。
つまり、魔法をおぼえて、魔女になった朱志香は、この楽しみを誰かと分かち合おうと思い、戦人を誘った。 戦人に魔法の秘密を打ち明け、魔法の手ほどきをした。 戦人は朱志香の、最初の魔女同盟者になった。 これが6年前、あるいはそれ以上前にあったと考えます。そういう想像です。
さて、これだけの「想像上の前提」をかさねたうえで、 もうそれは砂上楼閣といってもいいんですが、この前提上に存在する「戦人の罪」って何なのか。
大づかみにいうと、「魔法を否定したこと」となります。 「私には視える。あなたにも視える。だから実在する」 このメカニズムで存在していたものは、「あなた」が、 「そんなものは視えない!」 と宣言することで、存在できなくなってしまいます。 (正確には、「存在を証明できなくなる」) それは魔女同盟にとって重大な禁忌で、罪です。
たとえば、魔法で存在させていた友達を、 「おまえなんか、いない」 と宣言してしまったら、その友達は、死んでしまいます。 それは人殺しと同じことです。 人殺しは罪です。
魔法の友達殺しは、どのくらいの罪でしょうか。 それは作中で、すでに提示されています。
楼座が「さくたろ」を殺しました。 その罪に対する罰のシーンが描かれています。もう、正視に耐えない拷問でした。 そもそも、「黒き魔女」としてのマリア卿、黒マリア、「きひひ真里亞」は、楼座がさくたろを殺した、否定したことがきっかけで誕生しています。
もし、朱志香に、「さくたろ殺し」に相当するショックな事件が起こったとしたら。 魔法で幸せを生み出す白い魔女だったベアトリーチェは、黒ベアトリーチェに、「くっひひひあひゃひゃひゃベアトリーチェ」になってしまうだろうと考えられます。
だから、もし、「朱志香にとってさくたろに相当するもの」を戦人が否定したとしたら、それは魔女同盟への裏切りであり、しかも「友人殺し」でもあるという、重大な罪になるのではないか。
さて、そこでさらに想像を広げましょう。 「朱志香にとってさくたろに相当するもの」とは何か。
それって、嘉音なんじゃないでしょうか。
嘉音は、朱志香が魔法で生み出した「家具」である。と考えます。
朱志香が嘉音を学園祭に連れてきたとき、同級生のひとりが、「実在したの? 絶対エア彼氏だと思ってた」みたいなことを言いますが、実は本当にエア彼氏だったという真相です。わあ、さみしい。
嘉音が殺される場合、遺体が確認不能になるパターンが多いです。 うろおぼえですが、戦人が嘉音の死体をはっきりと確認する場面ってないんじゃないでしょうか。いつも、誰かが「死んでるよ」と言い、それをうのみにしているんじゃないでしょうか。 嘉音が存在する、という場面が幻想なのです。 「事件の二日間、この島には、嘉音の肉体(死体を含む)は存在したことがない!」 というのを復唱要求したいです。
ep2の死亡状況、「嘉音は朱志香の部屋で殺された」は、「いつ」が指定されていないので、6年以上前でも成立します。 「嘉音は朱志香の部屋で6年以上前に、戦人によって、おまえなんか存在しないと宣言された」 これで「嘉音は朱志香の部屋で殺された」が成立します。マリアは「さくたろはママに殺された」と言っているわけですからこれも成立のはずです。たぶん。
嘉音は「人間になりたい家具」です。家具だから「おまえなんかいない」と言われただけで死んじゃうんだ。人間だったらそんなことで死なないのに。 嘉音が家具じゃなくて人間だったらよかったのに。 朱志香がそう思っているから、嘉音には「人間になりたいよ」というキャラクターが与えられている。
●「どうして右代宮の名前を捨てたのか」から考える
戦人には忘れていることがあり、忘れていることが罪であり、それに関連して、どうして右代宮の名前を捨てたのか、とベアトリーチェに問われます(ep4)
「ベアトリーチェ=朱志香」説にもとづくと、以下のような想像ができます。
留弗夫再婚事件で、ブチっとキレてしまった戦人が、感情にまかせて、朱志香にこんなことを言ったんじゃないでしょうか。
「俺の家族は母さんの一族だけだ」 「右代宮なんて大嫌いだ」 「右代宮なんて俺の家族じゃない」
そして戦人は苗字を母方に変えてしまい、島に来なくなります。
「右代宮なんて俺の家族じゃない」 それはいいかえれば、「朱志香なんて俺の家族じゃない」です。
たぶん朱志香は、戦人のことが大好きだったんだと思います。 朱志香は戦人のことが大好きで、家族だと思っているのに、戦人は「右代宮」朱志香のことを大嫌いで、家族だとは認めない。
それって、 「おまえなんか、いない」 と言われたのと、同じではないでしょうか。
実際に戦人は、朱志香がいない世界だけを「自分だけの世界だ」と宣言してしまったのです。「自分は右代宮ではなく母方だけの人間だ」と宣言することによって。
相互に認めあわないと、魔法は解けてしまうのです。 朱志香と戦人のあいだにあった、二人の世界は、砕かれて、壊れてしまった。好き同士だという魔法、二人の世界という魔法は否定されてしまった。
それによって朱志香を傷つけた。それが戦人の罪です。
このゲームは、戦人の罪を問うものです。 ベアトリーチェは戦人に、魔法を認めろ、と迫ります。 それは、「かつて私たちの間にあり、あなたも認めていたはずの魔法を再び認めろ」という意味なのではないでしょうか。 ベアトリーチェは魔法を使います。 ベアトリーチェは朱志香です。
ベアトリーチェは、自分の正体が朱志香であることを戦人に言い当ててもらいたい。 私たちの間に、かつてあったもの、かつて存在した交流を、思い出して欲しい。 それがベアトリーチェのゲームの目的で、それを思い出せないのが罪で、思い出すまで離さない、といっているわけです。 縁寿は、大好きなお兄ちゃんがいない世界に突然放り出されたようで、悲しかったと言います。 朱志香も、大好きな戦人がいない世界に放り出されている。だからそれを取り戻そうと一生懸命になっているのではないでしょうか。
愛がなければ視えない。 ベアトリーチェは、彼女の魔法を、「視てほしい」と、一貫してそれだけを戦人に要求しています。 それはいいかえれば、「愛して欲しい」といっているのと、同じことです。
ep4に、三つのうちひとつを生け贄にささげて残り二つを取る問題文がありました。 あれは、碑文の謎をものすごーく難易度を下げたものではないでしょうか。 ベアトリーチェは、私の正体を言い当てて、そして私を認めて、私を愛して、と言っているのです。 だから、戦人は、空欄に「朱志香」と書き、「それ以外の全員を生け贄に捧げる」と解答していたら、このゲームは終わっていたと考えられるのです。
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