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No25465 の記事


■25465 / )  「作者」に屈服しない方法
□投稿者/ Townmemory -(2009/05/22(Fri) 21:16:09)
    前スレ no25417
    ● 殊生(ことな)さんへ

    >Townmemoryさんの推理読ませていただきました。
    >とても感激しました。素晴らしいです。
    >そしてもう一つ言わせてください
    >貴方は神ですか?
    >作者側の論点や駒の配置なんてそんな考え方私には思いつきませんでした。

     私もときどき思うことがありますよ。
    「竜騎士07さんは神ではないか」
     って。
     でも、そんなふうに思うのは、「魔女に屈服する」ことですから、

    「いいや、作者は神などではない!」
    「ユーザーと同位に存在する、無限に並列する仮説のひとつにすぎない!」

     と、呪文のように唱えて、心が屈服しないように気をつけています(笑)。

     神ですかって言われるより、「あなたは魔女ですか?」と言われるほうが嬉しいな。私の黄金郷へようこそ。歓迎します。ウチんとこの黄金郷にはおっかないヤギとかいませんので大丈夫です(笑)。
     読んで下さって、感激して下さって、ありがとうございます。


     そうだ、茶菓子がわりに、こんな話をしましょうか。

     クローン説。
     私、おもしろいと思います。

     たとえば、こうです。
    「クローン人間は、台所かどっかで手軽に作れる」
    「そのクローンは、生まれた瞬間から、大人の姿である」
     悪魔の証明により、否定できませんから、クローン説有効です。えーっ。

     他にも私、同時にこんな説も持ってましたよ。

    「犯人はドラえもん。タイムマシンで未来からやって来て、どこでもドアと通り抜けフープを駆使して犯行に及んだ。人間ではないから17人に含まれない」

     エヴァ・ベアトリーチェが「人間以外の要素はこのゲーム盤に関係ない」と赤字で言ってしまいましたから、ドラえもん説は無効になっちゃいましたが、それでも、
    「私は赤字を真実とは認めない!」
     という立場を取るのなら、いまだに有効です。


     もちろん、こんなことを言い出したら、すぐにこんな声が聞こえてきそうです。

    「クローンやドラえもんは、『人間には不可能』という意味で、魔法と変わらない。つまりクローン説やドラえもん説を認めることは、魔法を認めることであり、魔女に屈服することじゃないのか」

     ウム。もっともな意見ですよね。

     でも、私はこういう仮説を持ってるんです。仮説っていうか、信念なんですが。

    「煉獄七姉妹やシエスタ姉妹の存在を認めても、『我々プレイヤー』は、魔女に屈したことにはならない」

     これ、きちんと言った人って、どのくらいいるのかなあ。

     煉獄七姉妹やシエスタ姉妹の存在を認めたくない、認めたら負けだ、というのは、作中の「戦人」の勝利条件なんですよ。
     我々はべつに戦人ではない。
     だから戦人の勝利条件は私たちには適用されない。かってに、「私は適用されたい」っていう人はべつにそれでもいいですよ。でも、「適用されない」でもいい。

     だから、煉獄七姉妹の同人マンガとか書いて即売会で頒布しても、魔女に屈したことにはぜんぜんなりません。「煉獄七姉妹って、“い”るよねー」って言っても、ぜんぜんかまわない。

     さらに極端なこというと、
    「密室殺人は、魔法で行われました」
     と、私たちは、べつに認めたっていい。それを認めても、魔女に屈したことには「ならない」!

     なぜ、そんな極端なことがいえるのか。

    「うみねこのく頃に」作品紹介、というページに、こんなことが書いてありますね。

    「つまりこれは、魔女と人間の戦いの物語なのです。」
     と。
     さあ、ここにもう、トリックが仕掛けられていますよ。
     ここでいう「魔女」が、ベアトリーチェのことだと、誰がいつ定義しました?
     そう思い込んでるだけでしょう?


     私はすでに、no25344 で、言いました。
     作品の中に魔女がいるようだが、作品の外にも魔女がいるのだと。

    「作品の外の魔女」は、何人もいるのだけど、ひとり、とんでもない大物がいる。
     その大魔女の正体は、「作者」と呼ばれていたり、「竜騎士07」と呼ばれていたりするのだと。

     戦人は、ベアトリーチェの魔法犯行説を認めたら、負けになってしまいます。
     同じように、
    「私たちプレイヤー」は、作者がこれから書く人間犯行説を認めたら、負けになってしまうのです。

     考えてみれば、そりゃそうですよ。
     たとえばね、これから、「解答編」が公開されていくでしょう?
     そこには、たぶん、「人間で犯行が可能になるトリック」が、きっと明かされてますよね。
     それを読んで、うのみにして、
    「なるほどそうか、やっぱり人間のしわざだった」
     そんなふうにうなずいたとしましょう。
     それって、「魔女が敗北した。人間が勝利した」と言えるんでしょうか。
     与えられたものを、ただ口に入れて飲み込んだだけじゃないですか。
     それは、戦っていない。
     戦っていないものが勝利することはないんです。

     でも、いったい誰と戦うのか?

     ベアトリーチェでしょうか。
     ベアトリーチェは、戦人が戦ってくれています。

     でも、戦人は、作品の「外側」にいる魔女とは、戦うことができない。
     じゃあ、作品の外にいる魔女とは、誰が戦えばいいのか。
     それは、私たちじゃないのか。

     ベアトリーチェは、自分の説を戦人に認めさせようとします。
     作者は、自分の説を私たちに認めさせようとします。
     認めてはだめです。

     作品紹介のページに書かれています。
    「私が期待するのは、正解に至る推理が現れることじゃない。」と。
     これは、こういう意味です。
    「ユーザーの勝利条件は、作者がこうだと考える正解を言い当てることじゃない」

     ユーザーの勝利条件はこうです。
    「作者がこうだと考える正解」以外の解答を、無数に織り上げ、並べ立てること。
    「作者がこうだと考える正解」を、「無数にある確証のない説のひとつ」にしてしまうこと。

     こんなことも書いてあります。
    「一体何人が最後まで、魔女の存在を否定して、“犯人人間説”を維持できるのか。」

     ここでいう魔女とは、「常人にはありえない能力をそなえた特別な存在」というくらいの意味です。
     ここでいう人間とは、「常識的な能力しか持っていない我々と同じ存在」というくらいの意味です。

     私たちは、無意識のうちに、
    「作者とは特別な存在で、彼が言ったことはそのまま真実になる」
     と思っていないでしょうか。
     それって、
    「魔女は特別な存在で、彼女が言ったことはそのまま真実だ」
     というのと、どこがちがうのでしょうか。

     だから、「特別な存在」を否定して、「我々と同じ存在」にしないといけないのです。
     その立場をとりつづけなければならない。
     それができなくなったとき、私たちの負けです。

     推理スレッドでは、たくさんの人が、意見を戦わせています。
    「こうこうこういう理由で、あなたの推理は間違っていると思う。この点については、私の推理のほうが正しいと思う」
    「いや、違う。それはあなたの読み違いで、こう考えれば私の推理は成り立つ。逆にあなたのは成り立たない」
     とてもスリリングですよね。
     そう。
     私たちは、これと同じことを、「作者の推理」に対しておこなわねばならないんです。

     それを放棄したら、負けです。

     ということは。逆に言うならば。
    「作者の推理」を認めないかぎり、ユーザーは負けにはならない。
     ということは、
    「作者の人間犯行説」を否定するための「手段」として、「魔法犯行説」を採用したってよいということになるんです!


     どうでしょう。
     面白くないですか。

     そして、「作者の推理」と戦うためには、それ以外の推理がたくさんあればあるほどいい。
     ユーザーの説が10個あったなら、作者の説は11分の1になります。
     100個あれば、101分の1。
     1000個あったら、1001人が好き勝手なことを言っているうちの、たった1個でしかなくなるんです。
     これが、作者との戦い方です。

     ということは、自分とはちがう誰か他の人の説がそこにあったとしたら、「穴があるよ」と指摘するよりは、「この穴はこうすれば埋まります」と言った方が、かえって戦いやすいんです。
     なぜなら、穴が埋まったことで、その「誰かの説」はそれだけ強くなる。
     強い説は、作者の説を撃退してくれるからです。

     そんな感じ。
     お茶菓子がわりの座興でした。
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