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なぜ戦人は赤字で「明日夢から生まれた」と言えないのか
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□投稿者/ Townmemory -(2009/05/24(Sun) 06:42:33)
![](/contents/069/836/493.mime4) | オーラスの書き込みをしたら、そのあと黙ってしまいそうだから、先に大事なことを書いておきます。
赤字の破り方。
赤字は基本的に、どんな方法でも破れる。その一例を挙げます。
「赤は真実を語る」と、ベアトは赤字で言ってます。けれど、赤字が真実であることは赤字では証明できない。赤字が真実であることを赤字で証明するには、赤字が真実であると証明しなければならないからです。
では、「赤は真実を語る」は真実ではないのか?
それを考えるためには、「真実」を定義しなければならない。 しかし、その定義は作中にはない。 つまり、「真実」が何を意味するかは、言ってる各人が勝手に決めてよい。
極端な話、「私はウソのことを真実と呼ぶ」という定義がなされている人物の赤字は、全部ウソってことになる。
だいたい、この物語、「真実っていったい何? 証拠もないし、何も証明できないじゃん」という話じゃないですか。 だから、真実は各自が主観で勝手に決めていいってことになっている。
赤字だけがそれを逃れえる、なんていう考え方は変だ。いったい誰が「事実かどうか」を判定しているのかという話になってしまう。
すなわち、ここでの真実とは「主観的真実」。言ってる本人が真実だと信じている内容は、たとえ事実が違っていても赤字で言えるのではないか、という仮説が出てくる。
……ここまでは既出の論。
でもこの論を提唱する人は、重大な反証にぶつかる。
戦人は、自分が右代宮明日夢から生まれたと思い込んでいるのに、どうして「俺は右代宮明日夢から生まれた」と赤字で言えないのか。
とりあえずここを破ることにしましょう。
「魔女は赤字を使える」と、誰かが言ってましたね。 つまり、赤字とは魔法であるということ。 この作品において、魔法とは何だったか。 ありもしないものを、「ありもしないと検証できない」状態におくことで、まるで存在するかのように振舞わせてしまうトリックのことです。
赤字とは、さくたろうのようなもの。 仮に、そう考えるとしましょう。そういう仮説です。
真里亞とベアトリーチェが2人きりでいる状態で。 真里亞が「いる」と信じて、ベアトリーチェが「いる」と信じれば、さくたろうは存在する。 そしてベアトリーチェは、「さくたろうはいる」と赤字で言える。 この部屋に、突然楼座が入ってくる。 そして「さくたろうなんていません!」と言ったとする。 その瞬間、ベアトリーチェは「さくたろうはいる」と赤字で言えなくなる。
ベアトリーチェは、1人きりでいるときには、「魔女はいる、魔法はある」と赤字で言える。 ただし、そこに戦人がいる場合、急にそれを赤字で言えなくなる。 戦人が魔女に屈服し、「やっぱり魔法ってあるらしい……」と思ったとき。 その瞬間、ベアトリーチェは、戦人の目の前で「魔女はいる、魔法はある」と赤字で言えるようになる。
自分は右代宮明日夢から生まれたと、戦人は信じている。 けれど、目の前にいるベアトリーチェが、 「コイツが右代宮明日夢から生まれたワケない」 と思っていたとする。 この条件のとき、「たとえ戦人が実際には右代宮明日夢から生まれていたのだとしても」戦人は赤字で言えない。
これで、「赤字の真実とは主観的真実」でありながら、「俺は右代宮明日夢から生まれたと戦人が赤字で言えない」が両立しました。
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ベアトリーチェが、「マスターキーが5本しかない」と自分で信じていて、 なおかつ、戦人が「マスターキーって5本だけなのかそれ以上なのかわからない……」と真偽不明の気持ちでいるとき。 ベアトリーチェは「マスターキーは5本しかない!」と赤字で言える。
ただし、戦人が、 「マスターキーは絶対6本ある! だって俺見たことあるもん!」 と信じていたら、ベアトリーチェは「5本だ」と赤字で言えない。 このとき「戦人は、6本めのマスターキーを見たと思い込んだだけで、実際にはない」状態だったとしても、ベアトリーチェは「5本だ」と赤字で言えない。
さあここで、「ベアトリーチェ」という存在は、大まかに、2種類いるわけです。 「現象ベアトリーチェ」と、 「魔女ベアトリーチェ」。
「現象ベアトリーチェ」は、ドレスを着て赤字で喋ってる人です。 「魔女ベアトリーチェ」は、下の世界で人殺しを繰り返してる殺人犯のことです。ときどき、ブレザーを着て登場したりする。
「魔女ベアトリーチェ」が6本めのマスターキーを隠し持っていたとしても、「現象ベアトリーチェ」がそれを知らなければ、「マスターキーは5本しかない」と赤字で言えます。
これで、6本めのマスターキーを存在させることができました。あとは施錠系の密室を開け放題です。
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さて、魔女は赤字が使える、ということでした。 ということは、赤字は魔法である、ということになりました。 すると、赤字を使える戦人は魔女であるということになります。
いいの?
いいんです。
この物語の「魔女」ってどういうものでしたっけ。 「真実の上に主観を上書きしちゃう人のこと」でしたよね。 真実は「殺人犯が殺人を犯した」なのに、ベアトリーチェは「魔女が魔法を使った」という主観的イメージを上書きして、しかもそれを、戦人に「認めろ!」って強要している。 そういう人のことを魔女といいます。 でも、「真実」ってのは、主観が決めるんだっていう話だったでしょう? ということは、 「魔女が魔法を使った」というのが真実なのに、「殺人犯が殺人を犯した」という主観的なイメージを上書きして、しかもそれを、ベアトリーチェに「認めやがれ!」って強要しているのが、戦人っていうことになります。 そういう人のことを魔女といいます。
戦人=魔女、が、成立しました。
つまり戦人は、自分が魔女なのに、魔女なんていないって言ってる人ということになります。
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