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No27763 の記事


■27763 / )  赤字が体現する真実とは何かについて
□投稿者/ むくげ -(2009/06/28(Sun) 17:44:13)
    2009/06/28(Sun) 22:25:45 編集(むくげ)

    どうも、こんにちは。むくげと申します。『うみねこの鳴く頃に』における 真実について、考察したみたいと思います。

    ベアトリーチェはEP2で赤で次のように述べています。

    真実を語る時、赤を使うことにする。

    妾が赤で語ることは全て真実!

    EP3の『ワルギリア』の章で戦人とワルギリアの間で次のような会話が交わされました。

    ワルギリア「悪魔の証明は消極的事実の証明が不可能である事を逆手に取った詭弁です。(省略)」

    (省略)

    ワルギリア「貴方の提唱する科学的説明と、私の提唱する魔法的説明。・・・・・そのどちらかが真実です。そして、それはブラウン管の中を覗いた時に確定する。しかし、それを確かめる瞬間の直前まで、私達は互いの説を否定出来ないのです。つまり、真実は一つであるにも関わらず、ブラウン管を覗く直前までは、相反する真実が二つ存在することが出来る。・・・・・・一つしか存在してはいけない真実が、二つ同時に存在できる異空間。」

    箱の中の猫は、生きているのか死んでいるのか。

    箱を開ければ答えが解かる。真実が解かる。

    しかし、箱を開けるまでは、猫は生きているとも死んでいるとも主張出来る。

    そのどちらもが主張する彼らによるならば、それぞれ“正しい”真実であり、双方は相反するにも関わらず、箱を開けない限り相手を論破できない。

    つまり、真実が二つ同時に存在出来るのだ。

    猫が一匹しか入れない箱なのに、生きた猫と死んだ猫の二匹を詰め込めてしまう、奇妙な異世界。

    これこそが今の六軒島なのだ。

    (省略)

    ワルギリア「ならば、こう考えるといいでしょう。これは裁判です。貴方とベアトリーチェが相反する主張を繰り広げている法廷だと考えるのです。ブラウン管裁判でもいいでしょう。(省略)」

    (省略)

    ワルギリア「今この瞬間の六軒島には、確かに魔女も魔法も真実として存在するかもしれない。・・・・しかし、それは猫の箱が開かれる瞬間までの不確定な波動関数の世界。全ての状態が同時に説明出来る。しかし、真実は一つです。
    それは観測されることによって、収縮し、無数の真実が淘汰されて、たった一つの真実になる。法廷に例えるならば、これは裁判長による判決行為にも似ているでしょう。検察側、それぞれに主張する二つの真実は判決によって、収縮し、一つとなるのです。」


    EP4『十二年後の未来』で次のような事が述べられています。

    絶対性のない真実なんて、それを真実と呼べるのかい・・・・・?

    真実なんて、愛があるかないかでいくらでも変わる・・。

    結局の所、真実などという物は存在しないのかもしれない・・・。

    それを語る人の人数分だけ各々の解釈の真実が生み出されるだけなのだ。

    (省略)

    縁寿「・・・・・真実って何?人の数だけ真実がある。人の数だけ解釈がある。そして、それは主観によって、歪められ、いくらでも姿を変える。・・・・・真実って物はそんなにも不定形であやふやな物なの?」

    ベルンカステル「そうよ・・・。真実は不定形。粒子のようでもあり、波のようでもあり、相反する形状を同時に持つ。箱の中の猫の猫が、生きていると思おうが死んでいると思おうが自由。・・・・・・でも、真実はとても繊細。それは観測されただけで姿を変えてしまうわ。」

    縁寿「シュレディンガーの猫箱とかいう話?・・・・・・寝言よ。箱を開ければ、真実は解かる。開ける前の議論なんて机上の空論もいい所。」

    ベルンカステル「そうね。にも関わらず、その空論を否定するには箱を開ける必要がある。・・・・開けられない箱の中身についてのあらゆる想像は否定不能。つまりは真実ということ。」

    縁寿「つまり、暴けなきゃどんな妄言も真実たり得るわけね。」

    ベルンカステル「えぇ、無限の想像は、それらが互いに矛盾していたとしても否定されず同時に真実として存在出来る。」

    (省略)

    縁寿「そう言えば、こんな話を聞いたことがあるわ。ある日、突然ケンタウルス座の恒星が爆発してしまっても、その爆発の光が地球に届くには、4.4光年だから、四年半の月日が必要になる。」

    (省略)

    ケンタウルスの太陽の爆発を知った時。

    私達地球人は四年半前の歴史を新しい真実で塗り替える。

    四年半前に爆発していたと、歴史を新しい真実で修正する。

    しかし、四年半を経て、それを知るまでの間、すでに無くなっているにも関わらず、ケンタウルスの太陽は存在しているという誤った真実は真実として存在出来た。

    未来の真実は過去の真実に勝る。




    蛇足のようではありますが、真実の説明に不可欠な事実、仮説、真実の3つの概念について、実例を用いて、説明させて頂きます。

    Gが殺される殺人事件が起こり、単独犯だと解かっているとします。容疑者、殺人が可能な人物として、A、B、C、Dの四人が挙がりました。実際に犯行を行い、Gを殺害したのは、Bです。

    この時、BがGを殺したという事件の真相を事実であると定義させて頂きます。そして、犯人が解からない状態での、AがGを殺した、BがGを殺した、CがGを殺した、AがGを殺したという四つの仮説をそれぞれ真実であると定義させて頂きます。

    犯人が解かった時、仮説は事実によって、淘汰されます。そして、真相を知った者は、「BがGを殺した」という事実を事実であると考えることになります。この時、「BがGを殺した」という事実のみが真実であり得ると定義させて頂きます。

    私は赤字が体現する真実の本質は仮説だと思います。真相、事実が明らかにならない、抽象的に言えば、猫箱の蓋が開かない時、事実に関する様々な仮説は皆、真実として存在出来る事が本編で繰り返し述べられています。赤字が体現する真実には、細かく分ければ、次の二種類に分類出来ると思います。

    1.事実と真実が一致しない場合
    この場合、赤字使用者は事実を知らず、仮説を赤字で真実として述べている事になります。

    2.事実と真実が一致する場合
    赤字の使用者が事実を知っている為、仮説が淘汰された結果、事実を真実として述べている場合と偶然、事実と事実を知らずに赤字で述べた仮説(真実)が一致している場合の二つが考えられます。

    私のくだくだしい文章をお読み頂き、ありがとうございました。


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