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No31643 の記事


■31643 / )  【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その7・ノック問題
□投稿者/ Townmemory -(2009/08/26(Wed) 17:26:35)
http://blog.goo.ne.jp/grandmasterkey/
     続きです。
    【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その1 no31322
    【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その2・ノックス十戒と赤字への疑問 no31375
    【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その3・新たな連続殺人者 no31448
    【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その4・第一の晩 no31512
    【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その5・第二の晩 no31555
    【EP5ネタバレ注意】ep5初期推理その6・戦人の謎 no31574

     ☆EP5ネタバレ警報☆
     以下、30行のネタバレ改行後にそのまま載ります(伏せ字ではありません)。ご注意下さい。










     ネタバレ改行中












     ネタバレ改行中















    ●明日夢登場

     前回の書き込みの直接的な続き。前回の推理ですと、明日夢がどこから出てきた人なのかが説明できません。かなりムリヤリですが、想定ストーリーのスキマから明日夢登場の余地を作り出してみました。

     例えば。
     熊沢が、留弗夫に直接会って赤ん坊を手渡したのではない場合。
     たとえば明日夢が、当時右代宮家に勤める若い使用人であった、というような想定をしてみます。
     熊沢は、同僚の明日夢に事情を話し、留弗夫にこの赤ん坊を手渡してくれまいか、という依頼をした。
     あるいは熊沢がした本来の依頼は、「どこかしかるべき施設にこの赤ん坊を預けてきてくれ」、だったのかもしれません。
     単なる同僚である明日夢に、右代宮家の大秘密を、さらっと打ち明けるのはおかしいという考え方もあります。
     その場合、熊沢は留弗夫宛に、事情を打ち明ける手紙を書き、それを赤ちゃんと一緒に明日夢に託した。明日夢がその手紙を勝手に開封した。

     補助線として、明日夢は右代宮家を退職間近だった、といった設定があれば、この「託し」はより自然になります。
     もしくは、夏妃に崖から突き落とされそうになったのは明日夢のほうだった、と考えても良いかもしれません。
     その場合、崖には、夏妃、熊沢、明日夢の3人がいたのだ、という組み方です。


     さて、赤ちゃんを託された明日夢さんですが、彼女はしたたかな人で、留弗夫に対して、「この赤ん坊をあなたに差し上げるかわりに、私と結婚して下さい」というような取引をもちかけた。……とかいうのはどうでしょう。
     ジョーカーをたまたま預かったことを利用して、右代宮一族の妻の座をゲット。もちろん、それにプラスして、本当の恋愛感情が彼に対してあったことにしてもかまいません。

     留弗夫には、霧江という人がいたけれど、この最強カードを自分のものにできる誘惑には勝てなかった。あるいは、このカードが他人の手に渡るのはなんとしても避けたかった。
     だいたいそんな流れを勝手に想定すると、留弗夫まわりの状況ともわりあい合います。


    ●ノック問題

     ノックの謎は、ep3の「南條殺し」と同種のミステリーだといえます。

     すなわち、現象そのものには、何ら不思議はない。しかし、大量の赤字が、解釈に大幅な制限を加えるので、不可能性の現象であるように思えてしまう。
     鍵とかドアが現象を不可能にしているのではなく、赤字による禁止が現象を不可能にしている。
     わたしは、こういうのを何となく心の中で「赤字囲い」と呼んでいます。

     南條殺しは「○○は死亡している」の死亡時刻を疑うことですり抜けられる。ならば時刻に対して争いのない状況で同じ謎を与えてあげましょう。そういう趣向であると理解できます。


     ところでep3南條殺しについて、わたしが採用している解は、時刻トリックではありません。
    「右代宮朱志香が拳銃で殺した」
     です。
     現場にいたのは南條と朱志香だけである。南條は死亡し、朱志香は生き残っている。よって朱志香が南條を殺した。
     という……「見たまんまを真に受ける」ことを選んでいます。

    「右代宮朱志香は殺人を犯していない!」
    「南條殺しにかかわっていない!!」
    「朱志香の体が起こした如何なる動作も、南條の殺人には関係・影響しない!」

     このあたりの赤字を、さらっと、「採用しない」ことで、この結論を可能にしてしまいました。(ていうか、「死亡している」の時刻を疑うことができるなら、「(去年まで)右代宮朱志香は殺人を犯していない!」とかいくらでもできそうですね)

     状況だけ見たら、何の疑問もないものを、赤字によって疑問を作ってしまう。
     状況から見たら、朱志香が犯人だとふつう素直に考えるところを、赤字があるためにそうは考えられなくなってしまう。

     そういうトリックだと見なしてみたのです。赤字の乱打戦になるのは、「どこが謎の争点なのか」をわからなくするためです。
     たとえば、「朱志香はいっさい、南條の死とは無関係」という赤字が、これひとつだけあったら、プレイヤーは、「じゃあ、この赤字をすりぬけてやればいいんだろう」という意識になります。


     そういうアプローチですので、今回も、「見たまんまを真に受ける」ことにしてみます。

     状況。大時計が24時のチャイムを鳴らしたとき、蔵臼、夏妃、源次は2階廊下にいた。
     それ以外の親族会議メンバーと、戦人、紗音、嘉音は客間にいた。
     客間ノックの音がした直後、24時のチャイムが鳴った。
     ドアを開けてみると、封筒が存在し、その中には当主の指輪があった。

     素直に考えるとこうです。ゲストハウスにいた誰かが、鍵を持っているか、源次に開けさせるかして、玄関から屋敷に入る。
     あらかじめ用意しておいた封筒を客間前に置き、ノックする。
     このとき時計が鳴った。この人物はそっと屋敷を立ち去りゲストハウスへ戻る。
     これで良いですし、なんと、この通りのことが起こったのだと考えることにしました。

     この案を採用するために、無視しなければならない赤字は以下の1つだけです。
    「食堂の全員の誰も、いいえ、もっとシンプルな言い方をするわ。24時の時点で屋敷内にいた誰一人! あの手紙を廊下に置いた者はいないわ。」

     これを、例によって、さらっと無視することにしましたが、抵抗を感じる方は大時計が狂っていたかオーディオセットでチャイム音が鳴らされたことにして下さい。
     ゼンマイ式のアンティーク柱時計が1日5分くらい遅れるのはふつうのことですし、黄金発見の手順の中に、柱時計の操作があったことにしても良いです。
     時計のネジを巻くのはふつう執事の役目だと思うのですが、たとえば、時計が1日5分遅れるとわかっているのなら、「就寝前にネジを巻き、時計を5分進めておく」という習慣があってもそれは自然です。


    ●朱志香が手紙を置いた手順

     指輪入りの手紙を置くには、指輪を持ってないといけません。
     わたしは朱志香=ベアトリーチェ説なので、当主の指輪を持っているのは朱志香です。彼女はすでに碑文の謎を解いており、金蔵から指輪を譲られているという考えです。

     動きとしてはこうです。
     いとこ同士の遊びが一段落して、そろそろ寝ようかというころ。手洗いで中座するようなふりでゲストハウスを出て、マスターキーで鍵を開けて屋敷に入る。
    「謎の男から電話がかかってきた」ことを夏妃に伝えろ、と、源次に命令する。
     客間前に封筒を置き、ノックする。
     その場を立ち去り、適当な部屋に入る。
     夏妃の部屋に内線電話をかけ、春夏秋冬クイズと「部屋を出るな」の命令をする。

     通話を、使用人室経由にする必要はないのです。また、使用する電話は、屋敷内のどこか適当な空き部屋のもので良いですが、急いでゲストハウスに戻って、ゲストハウスから電話をかけたことにしたいところです。
     というのは、この推理では、通話をヱリカが盗み聞きしていたという条件が必要だからです。
     屋敷からの通話だとしたら、ヱリカは、通話交換器をハックして盗聴していたという設定が必要です(それでも問題はないですね)。


     さて、一方で戦人に当主の指輪を譲り、一方で夏妃を遠ざけようとしていた(親族会議を6人にしたかった)となると、朱志香は、黄金が暴かれたことを知っていながら碑文殺人を続けるつもりだったということになります。
     わたしの説では、黄金を発見しただけでは駄目で、その奥にあるものを発見しないといけないのです。「愛がなければ、黄金しか見えない」です。
     → チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷


    ●ヱリカはなぜ朱志香の通話を聞いていたのか

     この推理では、2日目朝の「電話の男」はヱリカで、彼女は昨晩の朱志香の電話を盗み聞きしており、電話の男という立場を乗っ取ったということにしています。

     なんでわざわざ、電話を盗み聞きする行動に出たのかという疑問が生じます。
     それは、ヱリカは朱志香の行動をずっとマークしていたのだ、と考えることにします。

     どうしてマークしていたのか。
     ヱリカは、朱志香のことが気に入らなくて、ムカつくので、殺してやろうと思っていたからです。


    ●「見たまんまを真に受け」よう

    「見たまんまを真に受ける推理」という話について、もう少し。
     前に論じた、秋カードのトリックと紗音に関する推理も、「見たまま真に受けよう推理」の一環なんです。
     カードは4枚あったかもしれないけれども、それはそれとして、見たとおり犯人は「秋が好き」を知っていて、それは紗音から聞いたんだと、そのまま受け取ることにしよう。今回そういう推理を展開しております。

     今回のep5。序盤で、夏妃はひとりでお茶しているのかベアトとお茶しているのか、という謎がありました。そして、ベアトは夏妃の心の中の存在にすぎない、あるいはこの場面はゲームマスターの解釈にすぎない、そういう解が与えられました。

     ということは、この段階で、
    「描かれたからといって、それが本当とは限らない」
     というアプローチを全員のプレイヤーが持っていることになります。

     そして、このアプローチを読者全員が持っていることを前提としたうえで、そんな読者たちを騙せるような問題を、作者は出題しているわけです。

     見たものをそのままには信じない、というアプローチを持ったプレイヤーを騙す方法は簡単で、「見たものがそのまま本当」という謎を出すこと。

     今回の推理はそのへんをモノサシにしております。
     首を切られた死体なんかも、「首を切られて発見されたんだから死んでるんでしょお?」と素直に受け取ってみました。


     もうちょっと続きます。
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