![](/contents/069/832/276.mime4) | 2009/09/10(Thu) 07:00:03 編集(Townmemory)
☆EP5ネタバレ警報☆ 以下、30行のネタバレ改行後にそのまま載ります(伏せ字ではありません)。ご注意下さい。
ネタバレ改行中
ネタバレ改行中
●アクロイドが誰もいなくなったと思ったら
「アクロイドが誰もいなくなったと思ったら」に続くことば。これは「オリエント急行だった」で良いと思います。 (たぶん既出のアイデアですよね) 「アクロイド殺し」も「そして誰もいなくなった」もアガサ・クリスティーですから、そのあとに続くのもクリスティー作品だ、というのは順当なアイデアです。
オリエント急行殺人事件は、ポアロが謎解きをする際、2種類の推理を披露します。ふたつの推理は結論がまったく異なっており、自分ではどちらが正しいか決めかねるので、ここにいる第三者に決めてもらうことにしましょう……そんなポアロの提案から、謎解きシーンが始まります。 つまりオリエント急行は、1個の事件に対して、2通りの真実が提示される物語なんです。その点において、幻想法廷の展開と相似形です。ベルンカステルがこのセリフを発言した状況と一致します。
いくつかのブログで、やはりオリエントからの連想で、「オリエント急行」の大オチとep5の真相はほぼ同一なんじゃないかという説を見ました。自分にはその発想はなくて、おお、凄い、ナイス発想! と思ったけれど、じっくり考えて、わたしはその説は採らないことにしました。理由は、その説にもとづく物語を、わたしは「うみねこ」には望まないからです。要は趣味です。
●狂言説あれこれ
「うみねこ EP5 推理」くらいのキーワードで、わりとよくブログ検索をするんですが、ep5は、夏妃に金蔵死亡を認めさせるために親族会議が狂言をしている、という推理がわりと支持されているような印象です。
夏妃を殺人犯に仕立て上げ、精神的に追い詰めた。その過程で、「金蔵はもう死んでいる」と認めさせようとした。金蔵が死んでいれば、親族たちは、遺産の分配にあずかれる。 そういう流れですね。
全員が口裏を合わせることで、「金蔵が生きている」という真実を作り出そうとした夏妃が、まったく同じ手法で「夏妃が犯人だ」という真実を作り出されることで逆襲を受ける。この流れは物語の構図として美しいです。これに異を唱える人はよっぽどへそまがりでしょう(わたしのことですが)。
へそまがりで結構! と居直るのも良いけれど、一応いろいろ考えてみました。
(それにしても、ヱリカ犯人説で推理を構築している人が、検索してもいっこう見あたらなくて、自分ってまるで幻のポケモンみたいだなとか思いました。レアリティですねー、ということで自分を納得させました)
●ノック狂言説
狂言説は、おおまかに2種類に分類できると見ました。
1.ノックは実際にあったが、殺人は狂言。 2.ノックも狂言で、殺人も狂言。
ノックが実際にあって、魔女の手紙と指輪が外部からもたらされたのか、ノックすらも狂言なのかという違いかと思います。 「ノックは狂言」という説は、そもそも、赤字すり抜けの一方法として出てきたアイデアです。赤字を見ていくと、誰にもノックは不可能だったとしか思えない。ならば「そもそもノックはなかった」のではないか、というアイデアですね。
それで何が変わってくるのかというと、「指輪の出どころ」が変わってきそうです。
「ノックなんてそもそもなかったが、親族会議が口裏を合わせてあったことにした」場合、なぜそんなことが必要だったのか。
それは、 「外部の、誰か知らない人物が、戦人に指輪をプレゼントしてくれた」 というストーリーが欲しかったからです。
本当に「ベアトリーチェを名乗る誰かがくれた」のなら、「ノックがあって手紙があった」なんていう口裏合わせは必要ないのです。 指輪が手に入った状況を、そのまま正直に言えば良い。
だから、ノックが狂言である場合、 「狂言参加者の誰かが、元から指輪を持っていた」 という可能性が、きわめて高くなります。
「私、実は、こんなもの持ってるんだけど……」みたいなことを、誰かが言い出し、指輪を見せる。何故持ってるのかという何らかのやりとりがあったあと、 「これを親父様が戦人に渡しに来たことにしよう」 というシナリオが思いつかれる。
ベアトリーチェの手紙ではなく「金蔵の手紙」でいいじゃないかっていう感じがしますが、たぶん、筆跡ですぐ見破られるから、駄目なのでしょうね。 筆跡をまねることはできますが、サンプルとして金蔵の肉筆原稿が必要ですし、まねて書くにはだいぶん時間がかかります。 そこで「謎の人物ベアトリーチェの手紙」という、苦肉の策のようなアイデアが思いつかれ、実行される。謎の人物なので、見たことない筆跡でありさえすれば良い。
以上のアイデアを採用するなら、狂言参加メンバーの誰かが、あらかじめ当主の指輪を持っていた。 つまり、これまでのエピソードで「ベアトリーチェ役をやっていた人」が、狂言メンバーの中にいる。 その可能性がだんぜん、高いです。この説を採用する場合、ゲストハウス組は、「ベアトリーチェの正体」疑惑から、ほぼ外しても良いんじゃないかな。
というか、ベアトリーチェの手紙の文面を考案した人は、これまでの「魔女の手紙」を書いた人と同一人物であるとしか思えません。「顧問錬金術師」なんていう、なんともクリエイティブな肩書きは、普通の人には思いつきません。
ノック狂言に参加したのは、 絵羽、秀吉、留弗夫、霧江、楼座、紗音、嘉音、戦人。 ここに、源次を加えるか加えないか、というところでしょうか。
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ただ、わたしの印象では、「ノックはなかった」「ノックがあったのというのは戦人の当主継承を認めさせるための嘘」という説は、ちょっと採りにくいな、と思います。
ノックが狂言だったとして、この狂言は、事態をほとんど進展させていません。つまり、詰め手としてほとんど無意味でした。けっきょくは、金蔵に会わせろ会わせないの水掛け論に戻っていました。 狂言だったことがばれれば、それ自体が失点になってしまいます。
それより何より、この場合、手紙やノックなんていうまわりくどいことをしなくとも、
「金蔵がこの客間に現れ、戦人をほめたたえ、おまえが当主だ黄金はおまえのものだと言って、指輪を渡して去っていった」
このストーリーを全員で口裏合わせすれば良さそうなものなんです。
「金蔵本人が、戦人が新当主であることを認めた」という直接的な嘘を、つき通せば良い。 蔵臼夫妻は、金蔵が存命であり、書斎にいると主張しているわけですから、この嘘は状況に整合します。これに反駁するには、蔵臼夫妻は、前言を翻して「書斎に金蔵はいない」という主張をしなければなりません。 その主張を蔵臼がしないのなら、金蔵のお許しが出たことにして、平然と、黄金を分配すれば良いのです。
「お父様は『蔵臼がごちゃごちゃ言い出したら、いつでも書斎に連れてこい』とおっしゃっていたわ」
なんていう、指し手も考えられます。この手を使うと、あとで狂言だったと告白しなければならないリスクがありますが(最終的には金蔵死亡の結論を導かねばならないため)、少なくとも「書斎に押しかけて中身を調べられる」という点で事態が進展します。
つまり、ノック狂言は、狂言側にとって、最善手ではなさそうに見えるのです。霧江や絵羽といった頭脳選手がいるにしては、詰め手として甘い。 それよりは、 「本当に謎の人物がノックをして、謎の手紙を置いていった」 というほうが、より自然に感じられます。
(気が向いたら続きます。続かない可能性もあります)
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