日本、またもや銀＝最後の鉄棒、2人落下―世界体操

　暗い表情で、内村が鉄棒の演技台から降りた。無理やりつくったような笑顔で、メンバーと握手を交わす。世界王者を擁しながら、またもや銀メダルに終わった日本男子。伝統の「美しい体操」は、最後の最後で崩れた。
　あん馬で小林の落下があったものの、つり輪、跳馬、平行棒で8チーム中最高得点を挙げ、しっかり巻き返した。最後の種目の鉄棒を残し、トップの中国とは0．609点差。内村は「普通にやれば勝てると思った」。
　1番手の田中和は難度を落とした安全策を取り、着地はピタリ。昨年大会の同じ決勝で犯した落下のミスを繰り返さず、「貢献できた」とガッツポーズも出た。
　だが、兄からのバトンを受けた初代表の弟・佑典が、離れ技の後方抱え込み2回宙返り（コバチ）てバーをつかみ損ねた。「やってしまった」。落下した瞬間、優勝の可能性はほぼ消えた。
　悪い流れは最終演技者のエース内村の手元も狂わせ、同じコバチでまさかの落下。33年ぶりの頂点は、手の届かないところへと消えていった。
　04年アテネ五輪で金メダルを取り、「体操ニッポン」復活への足掛かりをつくった。だが、その後の世界選手権や北京五輪では、中国に1度も勝てないまま。「ミスした方が負ける」と立花泰則監督。来年のロンドン五輪に、大きな課題を持ち越した。　

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