内村、史上初V3!エレガンス賞も/世界体操
サンケイスポーツ 10月15日(土)7時51分配信
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前人未到の3連覇。内村はスタンドの歓声に“V3サイン”で応えた(撮影・門井聡)(写真:サンケイスポーツ) |
伝説を作った。最終種目の鉄棒。最終演技者の内村は、団体総合決勝で落下したコバチを完璧に決めると、伸身の新月面宙返りで舞い降りた。数ミリの乱れもない着地。万雷の拍手と歓声に自慢の“どや顔”も忘れ、優勝を確信して笑顔とガッツポーズを繰り返した。
「6種目ともかなり精度の高い演技ができた。一つ一つ丁寧にやって、着地もしっかり止められた」
ライバル不在といわれた個人総合。両ふくらはぎに違和感を抱えながらも最初の床運動からアドレナリン全開で臨んだ。2種目目のあん馬で首位に立つと、続く4種目でも15〜16点台を連発。計93・631点は北京五輪後の09年に採点ルールが変更されてから世界最高得点。2位のボイ(ドイツ)に3・101点の大差をつけた。出場した大会の個人総合では08年9月の全日本学生選手権で植松鉱治(現コナミ)に敗れて以降、国内外を含め17連勝を樹立。無敗神話も継続させた。
種目別に特化する国や選手が多い中、「6種目やるのが当たり前。それが体操」と内村は言い切る。3歳時に自宅にできた体操教室で器具に親しみ、幼少期から技のイメージをノートに描いた。立体感はピンクパンサーのぬいぐるみで養い、それはすぐに手あかなどで“ブラックパンサー”に変わった。トランポリンで技を磨き空中では360度自身の姿勢を認識できる。完璧な着地も「気合より勘。演技の終わりが着地というだけ」。研ぎ澄まされた感覚は天性のものというしかない。
6歳で初めて出た大会は最下位。中3の全国大会も個人42位だった。12日の団体総合決勝で中国の5連覇を阻止できなかった悔しさ。「その日は何も考えられず、自分をわざと落とし込んだ。そこから、一気に気持ちを上げました」。どん底からはい上がる強い気持ちは16年前と同じだった。
個人総合3連覇に加え最も美しい演技をした選手に贈られる「エレガンス賞」とのダブル受賞も史上初。賞金5000ドル(約38万5000円)と副賞の高級腕時計をゲットした。社会人になって時計集めが趣味となり、「個人総合もうれしいけど、今はエレガンス賞がうれしい」と子どものようにはしゃいだ。
残る2日間で種目別5種目にも出る。「疲れもあるけど、チャンピオンらしく“シラッ”とした顔で5種目やりたい。五輪では個人より団体で金をとりたい。今年のような思いをしないように」
進化を続け、脂が乗り切った状態で迎えるロンドン五輪。28年ぶりの個人総合V、そして04年アテネ五輪以来の団体覇権奪回へ。日本には内村航平がいる。
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最終更新:10月15日(土)9時21分
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