三重県亀山市みどり町に多くの野良猫がすみ着き、住民が対応に悩んでいる。連合自治会は市に相談し、捕獲して保健所に収容することにしたが、全国の愛猫家や動物愛護団体などから市や鈴鹿保健所に電話やメールで数百件の抗議が寄せられた。このため連合自治会は保健所への収容を取りやめたが、問題を解消する妙案はなく、苦慮している。【駒木智一】
市健康推進室などによると、人口約2200人の同町内には100匹以上の野良猫がおり、住民はふん尿などの被害に遭っているという。連合自治会は8月、市に相談してイノシシなどに使う捕獲器1台を借りた。捕獲計画は今月11日から来月30日までとし「野良猫を捕獲器で捕獲し保健所に収容する」とした計画案を9月に提出した。
捕獲器を持っている人に協力を呼び掛ける回覧板は9月下旬に住民に回されたが、計画がインターネットに流出。文書には住民から寄せられた「自宅の敷地内に毒餌を置くのも効果的」などの意見も掲載したことから、愛猫家らから抗議が殺到した。同室は「捕獲計画は法的に問題はなく、住民が野良猫の被害に苦しんでいる実態もある。計画を中止させることはできない」とする一方、抗議内容を連合自治会に伝え、計画の再考を促した。このため連合自治会は捕獲した野良猫を同県鈴鹿市の動物愛護団体に保護してもらうことにした。団体側は一部については里親を探すものの、大半は去勢した後、地元に戻す方針で、住民の多くは納得していないという。
連合自治会の会長は「無責任な餌付けで野良猫が繁殖し住民が困っている。市も当初は協力的で問題があるとは思っていない」と話す。同室は「これほどの騒動になると思ってはいなかった。対応がぶれたと言われても仕方がない」と釈明している。
毎日新聞 2011年10月14日 中部朝刊