タイ北部や中部で7月から降り続く大雨による洪水は15日、国土を縦断するチャオプラヤ川最下流の首都バンコクの北側、パトゥムターニー県に迫り、首都の一部の河川沿岸では浸水が始まった。上流の中部アユタヤ県などでは、日系企業の現地工場が集中する工業団地はすでに冠水しており、生産の混乱は長期化する見通し。洪水による死者はこの日までに計297人。
首都に流入すれば、電気の供給が止まり、日本人推定7万人以上が在留する国際都市の機能がマヒする。政府は水をバンコクの東西両側に逃がす「首都防衛作戦」に乗り出した。
トヨタ自動車は3工場の生産停止を22日まで延長。日産自動車も17日から19日までの停止を決めた。工場の直接被害はないが、部品調達が困難になっており、トヨタは日本からの空輸で対応する。
洪水被害は、ベトナム南部、ラオス、カンボジアなど東南アジア広域で起きている。【米川直己、バンコク西尾英之】
毎日新聞 2011年10月15日 21時16分(最終更新 10月15日 23時59分)