結婚していない男女の子(非嫡出子=婚外子)の相続分を結婚している夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定について、大阪高裁が遺産分割審判への抗告に対し、法の下の平等を定めた憲法に反するとして、婚外子にも同等の相続を認める決定を出したことが分かった。最高裁は95年、婚外子の相続規定を合憲と判断。これに対し、高裁の赤西芳文裁判長は「嫡出子と婚外子の区別を放置することは、立法府の裁量判断の限界を超えている」と是正の必要性について言及した。
高裁決定は今年8月24日付。決定理由によると、婚外子の父親が08年に死亡し、遺産相続の話が持ち上がった。父親には婚外子のほか、妻と嫡出子3人がおり、妻が遺産分割を求めて昨年5月に調停を申請。不調に終わったため大阪家裁での審判手続きに移行した。家裁は民法の規定を合憲と判断して相続割合を決め、婚外子側がこれを不服として抗告していた。
赤西裁判長は、親子関係に対する国民の意識も多様化していて民法の規定が法の下の平等に反すると判断。「子の法律上の取り扱いを嫡出子か婚外子かによって区別することはいわれない差別を助長しかねない」と指摘した。その上で家裁判断を変更、婚外子に嫡出子と同等の相続を認めた。
これに対し、妻側は最高裁に特別抗告せず、決定は確定している。【苅田伸宏】
最高裁は95年、婚外子を巡る民法の相続規定を「合憲」と判断。この際、裁判官15人のうち5人が違憲とする反対意見を述べた。その後も合憲判断が続いたが、反対意見も出されていた。最高裁は10年7月、憲法判断や判例変更の必要がある場合に審理する大法廷への回付を決め、判断が注目されたが、裁判外での和解が成立していたことが分かり憲法判断が示されないまま終結した。
毎日新聞 2011年10月4日 11時47分(最終更新 10月4日 13時06分)