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No38408 の記事


■38408 / )  【EP6ネタバレ注意】ep6初期推理2
□投稿者/ Townmemory -(2010/01/05(Tue) 11:27:18)
http://blog.goo.ne.jp/grandmasterkey/
     ☆EP6ネタバレ警報☆
     以下、約30行のネタバレ改行後にそのまま載ります(伏せ字ではありません)。ご注意下さい。










     ネタバレ改行中












     ネタバレ改行中











     前回、自分で書いたことだけれど、
    「左目と右目のリドル」
     というネーミングは、自分でかなり、気に入ってしまいました。「狼と羊のパズル」みたいに、この問題(真実が2つある問題)を語るときのデファクトスタンダードにならないかな……。


    ●姉ベアトが蜘蛛とサソリを恐れる理由

     姉ベアトには、いくつかの弱点と、特性があります。

    ・霊鏡によって力が封じられる。
    ・蜘蛛の糸によって焼かれる。
    ・サソリの護符に焼かれる。
    ・肉体を持たない。

     この条件を考えたとき、答えはひとつしかありません。姉ベアトの正体は悪食島の悪霊です。

     姉ベアトは、「自分は悪霊などではない」と言っていますが、たぶん、自分で自分のことがわかってないだけだと思います。
     いや、でも、彼女の自己認識に敬意を表して、こう言い直しても良いです。

    「姉ベアトは、元・悪食島の悪霊である」
    (悪食島の悪霊が、変質したものである)

     霊鏡によって封印されてしまう。蜘蛛の糸に弱い。これらは悪食島の悪霊が持つ特性です。そして当然、悪霊には肉体がないはずです。体があったら悪霊じゃなくてゾンビーです。


     では、六軒島には、「悪食島の悪霊」が実在するというのか? 


    ●おちゃめな金蔵翁

    「悪食島の悪霊」が実在する/しない、というよりは、
    「悪霊が実在してくれたら嬉しいから、実在させてしまう魔法を使った」人がいる。
     と考えるのが適当であるように思います。

     その人物は、たぶん、右代宮金蔵翁です。

     嘉音の回想によると、金蔵翁は「おかしな悪戯の片棒を頼んできたりする」人です。
     そして姉ベアトは、「施錠したはずの窓をいつも開けておいたり」「厨房の調理道具をうずたかく積み上げたり」といったいたずらをする存在です。

     このふたつの観測を、足し算すると、こうなります。

     金蔵翁は、夜中にこっそり、特定の窓を開けたり、鍋やら薬缶やらを積み上げたりすることで、「この屋敷には悪食島の悪霊がいる!」という怪談を作って、使用人たちをおどかそうとした。

    「悪食島の悪霊」の実在は、時間をかけて、じょじょに、使用人たちの間で信じられていった。
     その「悪食島の悪霊現象」を擬人化したもの。
     それが、姉ベアトの「素体」です。だと思います。

     言い換えれば。
    「悪食島の悪霊」は、右代宮金蔵翁が作り出した、幻想存在です。

     ちょっとニュアンスが違うんだけれど、あえてわかりやすくすれば、
     真里亞にとってのさくたろうに相当し、紗音にとっての嘉音に相当するものが、金蔵翁にとっての「悪食島の悪霊」。そのくらいに認識しても、大きく間違ってはいないのかもしれません。


     金蔵翁は、自分の書斎のドアノブに、魔除けのサソリを刻みます。
     このせいで、魔女ベアトリーチェは書斎に手出しができない、という説明がなされます。
     でもおかしいでしょう。
     ベアトリーチェに会いたい金蔵翁が、ベアトリーチェを書斎から閉め出すような真似をするはずがありません。

     だから、あの魔除けサソリは、きっと、「悪食島の悪霊」が書斎に入ってこないようにするためのものです。
     金蔵翁としては、悪霊が屋敷に混乱をもたらすのは愉快ですけれど、自分の部屋にやって来られるのは迷惑だったのでしょう。
     だから、自分が解き放った悪霊が、自分にだけはあだをなさないように、防御をした。


    ●時間経過とベアトリーチェ化

     悪霊よけのサソリの護符が、魔女ベアトリーチェを撃退してしまう理由は、魔女ベアトリーチェが元・悪食島の悪霊だからです。

     熊沢が内心の言葉で白状していますし、ヱリカもそのことを看破しています。
    「右代宮家で元々信じられていた怪談は、悪食島の悪霊だった。それがいつしか、魔女ベアトリーチェという名前にすりかわっていった」と。

     真夜中にいたずらがなされるという現象を、昔の使用人は「悪霊のしわざ」と認識していたが、時代が下るにつれ、「ベアトリーチェのしわざ」と認識するようになった。

     これは誰のせいというのではなく、自然な変遷と見てかまわないと思います。かつては「コックリさん」と呼ばれていたものが、今は「エンジェルさま」と呼ばれるようになったりするようなものです。

     さて、姉ベアト。
     彼女は、「悪霊」が「ベアトリーチェ」に変遷した、ちょうど直後くらいの存在とみてよいように思います。

     彼女はもはやベアトリーチェなのですから、本人が言うように、「妾は悪霊などではない」のでしょう。でも、元・悪霊だったことは、とくに否定的な材料はなさそうです。

     姉ベアトは、現在(1986年)の存在ではありません。

     なぜなら、姉ベアトの世界に、ホールの肖像画がありません。これによって、最低でも2年以上前の存在であることがわかります。
     もうひとつ。
     姉ベアトは右代宮戦人のことを、「年に数度しか訪れぬ稀な客人」と認識しています。戦人は過去6年間、いちども島を訪れなかったのですから、最低でも、6年以上前の存在であることが確定できます。


    ●姉ベアトと雛ベアトは決して合身できない?

     雛ベアトの“お母様”と目される人物が、とてもとても長い、リグレットを語ります。
     その中から、いくつかのポイントを抜き出してみます。

    「あなたは今日より、悪戯をするだけの、六軒島の亡霊ではありません」
    「あなたは今日より、この島の主」
    「あなたは今日より、黄金の魔女、ベアトリーチェ」
    「私はあなたに、右代宮戦人に恋する心を、譲ります」


     そして、ここにあらわれた条件を、以下のように整理します。

    ・「あなた」は、昨日までは、六軒島の亡霊であった。
    ・「あなた」は、今日からは、ベアトリーチェである。
    ・「あなた」は、右代宮戦人への恋心を持つことになる。


     ベアトリーチェという名を持ち、「右代宮戦人への恋心」という条件を持っている人物は、「雛ベアト」ただひとりです。
     そして、この推理では、姉ベアトは「過去の存在」であり「悪食島の悪霊」であるとしています。

     足し算をするとこうなります。
    「昨日まで姉ベアトだったものは、今日からは雛ベアトである」

     つまり、
    「姉ベアトとは、雛ベアトの過去の姿であり、2人は同一人物である」
     という解がみちびかれるのです。

     姉ベアトと雛ベアトは、合体したら完全体になれるような気がするのに、どうしても合体できませんでした。
     この推理では、それは当然なのです。
     なぜなら、彼女たちが持っている「魂のカケラ」は、まったく同じものだからです。
     2つに割ったクッキー。右半分と左半分をくっつけたら、1個になりますが、「右半分」と「右半分」をつなぐことはできません。ましてや、「過去の右半分」と「現在の右半分」をつなぐなんてこともできない。


    ●“お母様”の正体

     姉ベアトと雛ベアトが同一人物だとすると、雛ベアトの“お母様”は、姉ベアトの“お母様”でもなければなりません。

    「姉ベアト=悪食島の悪霊」を幻想した主は、この推理では、右代宮金蔵翁です。
     そして、“お母様”は「右代宮戦人に恋していた」という条件があります。
     このままいくと、金蔵翁は戦人に恋していた、というとんでもない足し算が発生してしまい、そういうのが好きな人もいるでしょうが、わたしは趣味ではないので、そこをずらしましょう。

     ずらすのは簡単で、「悪食島の悪霊」という幻想を、金蔵翁から受け継いだ人がいればいいのです。

     ようは、金蔵翁はさすがに歳を取った。もう、夜中に起き出して窓をこっそり開けるでもない。
     そこでおじいちゃん、ちょいちょいと手招きします。おもしろい遊びを教えてあげよう。みんながビックリして楽しいのだ。「悪食島の悪霊」がいることにしてしまうのだよ。

     そして、「その人物」は、いたずらを受け継いだ。夜中に特定の窓を開けるいたずら。魔法陣をラクガキするいたずら。片付けたはずの場所をちらかすいたずら……。

     ファンタジックに言えば、
    「召喚術師・大ゴールドスミス卿が召喚した『悪食島の悪霊』という使い魔を、譲り渡され、使役している者がいる」
     という感じになります。

    「右代宮戦人に恋していた」のは、その人物です。

     右代宮金蔵翁の大魔術を受け継いだ人物。
     悪食島の悪霊に、ベアトリーチェの名前と美貌を与えた人物。
     幻想存在ベアトリーチェを使役している「主」。
     そしておそらく、六軒島連続殺人事件の、犯人。

     それを、わたしの趣味で、「右代宮朱志香」とみたいのです。


    (『朱志香犯人説』の詳細は以下URLにまとまっています。犯人特定→「朱志香=ベアトリーチェ」説・総論からご覧下さい http://blog.goo.ne.jp/grandmasterkey/e/a5cfe5f7d2304036197da08f756ba93e


    ●どうして朱志香は戦人に恋してはいけないのか

    「“お母様”のリグレット」では、こんなことが語られます。

    私はあなたに、右代宮戦人に恋する心を、譲ります。
    (中略)
    そして、……私の代わりに恋をしなさい。
    そして、許されるなら、彼に恋されなさい。
    私には、…………もう彼を愛することが、出来ないのです。
    どうか、私には遂げられなかった想いを、……私には堪えられなかった想いを、……あなたが遂げて。


     素直に読めば、“お母様”は右代宮戦人を愛しているし、愛し続けたかったけれども、それができなくなってしまった。
     そこで代償行為として、自分の分身、自分が生み出した幻想存在であるベアトリーチェに、彼を愛してもらうことにした。

     もし、“お母様”を朱志香だとするなら。
     どうして朱志香は、恋する戦人を愛し続けることができなくなったのか。
     その理由がなければなりません。


     その理由を、こちらに用意しました。
     → 「ep5初期推理その6・戦人の謎」

     リンク先は、
    「戦人は19年前の赤ん坊である」
    「19年前の赤ん坊は、金蔵翁と九羽鳥庵ベアトリーチェの間にできた子である」

     という推理と、それに関する論証です。

     この推理のとき、
    「右代宮戦人は右代宮金蔵の実子である」
     という条件がみちびかれます。

     もし、何らかの理由で、朱志香がその事実を知ったとしたら。

    「右代宮戦人と右代宮朱志香は血縁的には叔父・姪の関係である」

     という条件が、恋する右代宮朱志香に襲いかかります。
     インセスト・タブー。

     この推理の場合、朱志香がそうとう葛藤しただろうことは、容易に想像できます。法的にはいとこなんだからいいんじゃないかみたいな議論も、自分の中で闘わせたでしょう。

     でも、結局、断念することにした。
     上のリンク先の推理に、「九羽鳥庵ベアトリーチェは、金蔵翁とオリジナルベアトの実娘かもしれない」という、ひどい推理も展開していますが、これがOKで、そのことを朱志香が知った場合、
    「これ以上、血を煮詰まらせたら、たいへんだ」
     という判断をはたらかせたかもしれません。

    (ちなみにわたしには「夏妃はオリジナルベアトの血縁」というヨタ推理もあります)


     この場合、
    「大好きな戦人と結ばれてはいけない。せめて私の分身には、彼を愛し続けさせてやりたい」
     という思いを、ごく自然に設定できそうです。

     いや、「私の分身」といいましたが、
    「私は今日より、あなたではなくなります」
     と、“お母様”はいいました。
     朱志香はベアトリーチェであってはならないのです。同一人物であったなら、インセスト・タブーが有効になるからです。あくまで、別人ということにしなければならない。


    ●魂の分割/3つの魂の戦い

    「私たちは一つの魂を割いて、分け合おう」
     と、“お母様”はいいます。

    “お母様”=朱志香とする場合、1個の魂を、朱志香とベアトは、半々に持つことになります。

     魂の分割といえば、ゼパル・フルフルの恋の決闘。

     ゼパルとフルフルは、家具には恋を成就させる資格がないといいます。
     なぜなら家具は、1個の魂を持っていないから。

     それは、「人を愛するんだったら、全身全霊で愛しなさいよ」という意味のように思います。
     自分の「全霊」を半々に分けて、半分はあっちの女、もう半分はこっちの女を愛するようなマネはするなっていう、そういうことのように読みました。まさにこの例示を、ゼパルとフルフルが出していました。

     つまり、自分自身を2つ以上に分割して、複数の恋を同時進行することはできない。
     自分自身の魂を2個以上に分割しているもののことを「家具」と呼ぶ。
     そういうことになりそうです。

     このep6初期推理シリーズでは、「紗音は、嘉音という幻想存在を生み出して、存在させている」という推理を展開しています。
     紗音は、自分の魂を分割して、半分を嘉音に分け与えている。
     だから、自分の半分でしか譲治を愛していない計算になる。
     嘉音にあたえた半分の魂を奪還して、「全霊」で恋愛できるようになれるかどうか、という試練だったと考えられます。
     嘉音にとっては、紗音が持っている半分の魂を奪い取って、「全霊」の存在になれるかどうか、という試しだったといえます。

     さて、その勝負に、なぜか雛ベアトが参加してもよいことになっていました。
     なぜ?

     その理由こそが、「私たちは一つの魂を割いて、分け合おう」なのではないか。

     すなわち、雛ベアトも、半分しか魂を持っていない。
     残りの半分は、“お母様”、すなわち朱志香が持っている。
     という条件を設定してみるのです。

     この恋の勝負は、表向きには、「紗音と嘉音、どっちが魂を手に入れて恋の資格を得るか」というものでした。これは、ep6を読んだ全員が解析できると思います。

     その裏に、もうひとつ、魂の勝負があったとしたら、どうだろう。
     それは、朱志香と雛ベアトの勝負。
     朱志香も、雛ベアトに魂の半分を譲り渡しているので、半分の魂しか持っていない。
     だから、恋の資格がない。
     この定義では、朱志香もまた「家具」になるのです。

     魂を半々に分けて、半分は嘉音を愛し、もう半分は戦人を愛するような真似は許されない。

     だから、勝負が必要になる。だから、雛ベアトの参戦が認められる。


     単純な足し算に置き換えると、以下のようになるんじゃないかと思えるのです。
     以下、「1」とか「1/2」とかいうのは、「魂の数」です。

     1紗音 = 1/2紗音 + 1/2嘉音
     1朱志香 = 1/2朱志香 +1/2雛ベアト


    (そして 1/2雛ベアト = 1/2六軒島亡霊(姉ベアト))

     だから、あの恋の勝負の場所には、

     1譲治
     1/2紗音
     1/2嘉音
     1/2朱志香
     1/2雛ベアト
     1戦人


     がいたのだ、と考えるのです。

    「3人を2人にする恋の勝負はわかる。しかし4人を2人にする勝負は意味がわからない」
     という指摘が、作中にありました。
     この指摘がなされたとき、すでに戦人は脱落して不在でした。
     残った人数の魂を足し合わせると、1+1/2+1/2+1/2+1/2 = 3。
     この推理では、3つの魂を2個にする勝負なので、帳尻があうのです。


     じつはもっと厳密にみていくと、ちょっと整わない部分があるので、そのあたりは宿題なのですが、最初のステップとしては、なかなか面白い線をついているのじゃないかな? と、自分で驕っておきます。(ep6は「驕る」という単語がちらついたなあ)

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