![](/contents/069/781/438.mime4) | ☆Ep7ネタバレ警報☆ 以下、約30行のネタバレ改行後にそのまま載ります(伏せ字ではありません)。ご注意下さい。
ネタバレ改行中
ネタバレ改行中
「力わざを使って、Ep7を朱志香犯人説でむりやり読み解く」というシリーズの4ページめです。
最終的には「朱志香説」を成立させることが目的ですが、その過程として、いったん「紗音説」を納得できる形に成立させてみよう、ということをやっている途中です。
●土は土に。幻は幻に
クレルとウィルが、白い剣やら黒い剣やらで一問一答をします。 これを自己流に、ひとまず紗音説で解読してみることにします。
ひとつ注意を喚起しておきたいのですが、ここでのやりとりは全て、 「ウィルは、そういう推理をした」 ということであって、それ以上のものではない(かもしれない)。
というポイントを押さえておきたいのです。
Ep4オーラスの、ベアトと戦人の赤字青字合戦をみればわかるように、ベアト側(クレル側)は、 「単に反論しない」 ことによって、あたかもその推理が当たっているかのような雰囲気をつくることができます。
このクレルとウィルのバトル内容が、「事件の真実に、本当に即している」かどうかは、誰もいっさい、保証していないのです。 クレルはひとことも、「はい、それが正解です」とは言っていないのです。
ちなみに、「土は土に。幻は幻に」という印象的なフレーズがありますが、土は「実体のあるもの」、幻は「実体のないもの」というくらいの意味じゃないかしらと思いました。 つまり、「実際にあったこと」と「まやかし」を切り分けて、蓮舫おばさんよろしく仕分けしてやろう、というのが、「土は土に。幻は幻に」という呪文の意味だと思います。
●共犯者システム
ウィルはぽろっとこんなこと言っていました。
「事件毎に異なる共犯者を得るシステム。………導き出される推理は、犯人が莫大なカネを持っていたという可能性。」 (Episode7)
つまり、大金を使って、誰かを買収し、味方につける。 で、連続殺人に協力させる。 「今からわたし、あなたたち以外の全員を殺そうと思うんですけど。もし私のことを黙っていてくれて、殺人の共犯になってくれたら100億円あげます」
つまり、 「紗音は、エピソードごとに、ちがう人々を買収して味方につけている」 という条件で、Ep1〜4のトリックを見ていくことにします。
源次・南條・熊沢という「レギュラー共犯者」がいる。 それにプラスして、各エピソードごとに変動する「エクストラ共犯者」がいるという理解です。 少なくともウィルは、そういう推理をしているようです。
●Episode1の殺人方法
Ep1のエクストラ共犯者は、絵羽夫妻。絵羽と秀吉です。 彼女と彼は、「右代宮家皆殺しにするの黙認してくれたら、大金あげます」という誘いにのっかったのだと仮定するのです。
■Ep1第1の晩/園芸倉庫に、6人の死体 「幻は幻に。……土には帰れぬ骸が、幻に帰る。」
ウィルのこのセリフ。「死体だと思われていたけれど、実は死んでなかった人がいた」「6人全員が死んでいたというのは幻想である」というふうに読めます。
6人の被害者の中に紗音がいます。そして、死体が置かれていた園芸倉庫の中を精査したのは秀吉です。 紗音が死んだふりをしており、秀吉がそれを黙認すれば、紗音は死んだことになります。あとはどこかに隠れていれば、好きなときに出現してその後の犯行ができます。
「……始めから、危ういゲームだったな。………もしもあいつが、それでも死に顔を見たいと言って踏み入っていたなら、どうしていた。」
このウィルの指摘はもちろん、「死に顔を見たい」と言い出した譲治と、それを止めた秀吉のやりとりのことと解釈できます。
■Ep1第2の晩/寄り添いし2人の骸は鎖で守られし密室に 「幻は幻に。……幻の鎖は、幻しか閉じ込めない。」
Ep1第二の晩の犯行不可能性は、「チェーンロックが内側からかかってたのに、中で2人が死んでる」という現象があることです。 しかし、チェーンロックがかかっていた、と主張するのは、源次、熊沢、嘉音の3人です。 源次、熊沢、嘉音は紗音の共犯者なのですから、かかってないチェーンを「かかってた」と言うだけでOKです。つまり実際は存在しなかった幻の鎖。
実は生きていた紗音が、「今後のことを相談しましょう」といって絵羽夫妻の客室に入室し、2人を殺害し、立ち去る。源次が魔法陣を描く。その後、熊沢がカッターでチェーンを切る。それで現象は再現できそうです。
■Ep1第4の晩/密室書斎の老当主は灼熱の窯の中に 「幻は幻に。……幻の男は、あるべきところへ。」
最初から死んでいた金蔵。その死体がボイラー室に運ばれ、窯に放り込まれて、終了です。 死んでいるのに、生きていることにされていた金蔵(もう存在しなくなっていた幻の男)。その死亡が公開されました。つまり彼は死者の列という「あるべきところ」に戻りました。
■Ep1第5の晩/杭に胸を捧げし少年の最後 「幻は幻に。……幻想の魔女と杭は、幻想しか貫けない。」
嘉音は幻想キャラクターで、魔女ベアトリーチェは幻想キャラクターです。 ベアトリーチェという架空の人物が、嘉音という架空の人物を殺した、というストーリーが語られ、熊沢と南條がそういうお芝居をした。だいたいそんな感じでよろしいでしょうか。
■Ep1第6、第7、第8の晩/歌う少女の密室に横たわる3人の骸 「幻は幻に。……盲目なる少女が歌うは幻。密室幻想。」
客間で源次、南條、熊沢が殺されている。客間は内側から施錠されている。凶器がない。真里亞だけが生存していた。
「真里亞が目をつぶって歌を歌っていた」というのはウソですよ、くらいの解釈でよろしいでしょうか。 紗音が客間にあらわれ、3人を殺し、凶器をかたづけて退室する。 真里亞に、「何も見てないって言いなさい」と命令する。 別の部屋から書斎に電話をかけ、録音しておいた真里亞の歌を再生する。
もしくは真里亞に、「書斎に電話をかけて、お歌を歌って、電話がきれたら誰かくるまで壁に向かって立ってなさい」と命令したかもしれないですね。
*
●Episode2の殺人方法
Ep2のエクストラ共犯者は楼座です。
■Ep2第1の晩/腹を割かれし6人は密室礼拝堂に 「幻は幻に。……黄金の真実が、幻の錠を閉ざす。」
ウィルは何回か、「黄金の真実」というワードをつかうのですが、これは使い方をみていくと、「口裏合わせ」くらいの意味に読めました。 念のためにいうと、戦人のいう「黄金の真実」が、口裏合わせという意味であるかどうかはわかりませんよ。ただ、ウィル個人は、 「黄金の真実ってのは、ようするに口裏合わせのことだろうよ」 と思っているみたいです。「ウィルはそう解釈している」。
礼拝堂の謎は、「施錠された堂内に死体が6つある。鍵は真里亞が持っていたので使えたはずがない。密室殺人だ」というものでした。
さて、「幻の錠」というくらいですから、 「鍵がかかっていた、というのはウソ」 「みんなで『鍵がかかってて開かないよー』という口裏合わせをした」 くらいの解釈でよさそうです。
扉が開かない、という確認をしたのは、使用人たちと楼座です。 使用人たちのほとんどはレギュラー共犯者なのですから、 楼座をエクストラ共犯者とすることによって、楼座と源次たちが、 「ガタガタ、うーん扉が開かない」 「ガタガタガタ、むー、確かに開きません」 という茶番を演じれば良い。 使用人の中で、共犯でないのはおそらく郷田だけですから、彼の目だけごまかせばいい。
べつにEp2戦人の推理内容でもかまわないと思います。
■Ep2第2の晩/寄り添いし2人は、死体さえも寄り添えない 「幻は幻に。……役目を終えたる幻は、骸さえも残せない。」
Ep2第2の晩の謎は「朱志香の部屋は施錠されてて、鍵は室内にあった」「嘉音の死体がない」です。
嘉音は幻想キャラクターだと推定されますので、つまり幻ですので骸は残らないです。 紗音はマスターキーを所持していますから施錠は問題になりません。
■Ep2第4、第5、第6の晩/夏妃の密室にて生き残りし者はなし 「土は土に。……棺桶が密室であることに、疑問を挟む者はいない。」
紗音、譲治、郷田の3名が、夏妃の部屋で殺されています。扉は内側から施錠されています。密室なので犯人はどうやって出たのかという謎です。
ここでは紗音犯人説をとるのですから、紗音が2人を殺して、死んだふりをすれば現象は再現できます。また死んだふりです。 戦人が紗音の死体を調べようとしたら楼座が怒った、みたいな描写がありましたが、これを、「紗音の死んだふりを楼座は知っていたから」くらいに受け取ると整合感はあります。
■Ep2第7、第8の晩/赤き目の幻想に斬り殺されし2人 「土は土に。幻は幻に。……幻に生み出せる骸はなし。」
「死んだはずの嘉音が現われ、南條と熊沢を殺した」「施錠された使用人室から、2人の死体が消えた」というミステリーです。
嘉音は幻ですから、嘉音が殺したというのは虚偽です。骸はなし、というのですから、南條と熊沢は死んでおらず、実は生きてた、くらいの感じでしょうか。 南條と熊沢が殺されたことにして、2人は別室に移る。マスターキーで施錠をして、使用人一同は楼座を呼びに行く。源次、ひそかに南條・熊沢ぶんのマスターキーを楼座に渡す。楼座、使用人室に行き、マスターキー2本が入った封筒をいま見つけたふりをする。
こんなんでいけそうです。
*
●Episode3の殺人方法
Ep3のエクストラ共犯者は、ここでは留弗夫と霧江を想定します。
■Ep3第1の晩/連鎖密室が繋ぎし、6人の骸 「幻は幻に。……輪になる密室、終わりと始まりが、重なる。」
6連鎖密室。最初に客間で紗音の死体が発見され、最後に礼拝堂で嘉音の死体が発見されます。 嘉音は、この推理では幻想キャラクターだとしています。 ですから、紗音が最初の部屋で死んだふりをし、死体発見者一同退室して、他の密室をぐるぐるめぐっている間に、紗音は礼拝堂にかけつけ、嘉音の服をきて、礼拝堂を内側からロックして「嘉音の死体のふり」をする。これで「終わりと始まりが重な」りました。
客間の窓を割って最初に侵入したのは留弗夫です。彼が共犯なら、紗音の死んだふりをカムフラージュするさまざまな対処ができそうです。
■Ep3第2の晩/薔薇庭園にて親子は骸を重ねる 「土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。」
雨の中、楼座・真里亞母子が殺害されました。殺したのはエヴァ・ベアトリーチェであるように描かれました。 それを「何の偽りもなし」というのですから、ウィルは「絵羽が2人を殺したんだ」と思ってるのだと思います。 絵羽はゲストハウスの自室から抜け出した(秀吉の煙草)疑いが濃厚ですしね。
■Ep3第4、第5、第6の晩/屋敷にて倒れし3人の骸 「土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。」
屋敷のホールで、留弗夫、霧江、秀吉が殺されます。「何の偽りもなし」というのですから、この3人を絵羽が殺した、でOKだと思います。 留弗夫、霧江は、この推理ではエクストラ共犯者です。彼らは屋敷ホールで秀吉を殺害しようと考え、食料調達の口実で彼を誘い出した。「台車が重いから持ってくれ」の口実で霧江は秀吉の銃を奪うことに成功。 が、何らかの理由で、その企みを察知した絵羽がかけつけてきて、ホールにて留弗夫と霧江を殺す。それを目撃してしまった秀吉が絵羽をなじる。もみあいになり、銃の暴発により秀吉死亡。 だいたいそんなシナリオでいけるでしょうか。
■Ep3第7、第8の晩/夫婦2人は東屋にて骸を晒す 「土は土に。……明白なる犯人は、無常の刃を振るいたり。」
ゲストハウス1階ロビーにいた蔵臼と夏妃が殺され、死体が薔薇庭園東屋で発見されます。
「土は土に」ですから、描かれたことがだいたいそのまま実体ですよ、くらいの意味でしょうか。「明白なる犯人」だそうです。エヴァ・ベアトリーチェが命じてシエスタが殺す描写なのですから、2人を殺したのは絵羽、くらいで良いと思います。不可能性は特にありません。
*
●Episode4の殺人方法
Ep3のエクストラ共犯者は……「戦人以外の全員」ということにします。
「私が碑文を解いた新当主です。4家族のみなさんに50億円ずつあげます。あと蔵臼さんに当主の座をおゆずりします。そのかわり、ちょっと協力して下さい」 「戦人さんを、ちょっとこっぴどく脅かしたいんです。金蔵翁が連続殺人事件を起こしているという殺人ドッキリをしかけませんか?」
もしくは、「譲治、戦人、朱志香の3人をドッキリにはめませんか」かもしれません。その場合は、例の3択クイズが重要ギミックになってきます。 あのクイズって要するに、 「あなたは、私のことをどんなふうに愛してくれますか?」 という問いかけなわけで、この答案をみて、誰と結ばれるか(紗音、ベアト、嘉音のうちどのアバターが恋を成就させるか)決めようという魂胆だったかもしれない。
■Ep4第1の晩/食堂にて吹き荒れる虐殺の嵐 「幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。」
口裏合わせによるまやかしですよ、という内容に読めます。 ので、全員の共犯者を動かして、 「とりあえず金蔵が6人殺したことにしよう」 これで完了です。
ただ、おそらく紗音は、あとでこの6人を本当に殺します。
■Ep4第2の晩/2人の若者は試練に挑み、共に果てる 「幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。」
譲治と朱志香が、それぞれの場所に呼び出され、三択クイズを出され、悪魔に殺されるというくだりです。
口裏合わせによるまやかしですよ、とウィルが言っているように見えます。
ですから、例えばこの2人はあらかじめドッキリ計画を言い含められていて、 「よし、ここにいて、戦人が来たら死んだふりな」 みたいなこと。
もしくは、この2人はドッキリ計画を知らず、待ち受けていた誰かに3択クイズを実際に出題されたかもしれません。その場合、紗音(嘉音)は、きっと解答にじゅうぶん満足しただろうと思います。 そのあとで、「いや、じつはこれドッキリなので、戦人をおどかすために死体のふりとかして下さい」みたいな言い含めが行なわれたかもしれません。
あとで紗音は、2人を本当に殺します。
■Ep4第4、第5、第6、第7、第8の晩/逃亡者は誰も生き残れはしない 「土は土に。幻は幻に。……虚構に彩られし、物言わぬ骸。」
ちょっとこのへんうまく言えないんですが、「土は土に。幻は幻に」とありますから、実際に死体になった人と、ほんとは死んでない人がいる、くらいの感じでしょうか。 嘉音は幻想ということにしていますから、彼は「幻」側です。 紗音はまだ暗躍の必要がありますから、まだ死んでない。 それ以外の、蔵臼、南條、霧江は、紗音が殺したんだと思いますが、戦人が死体を発見した時には、まだ「死んだふり」だったのかもしれません。
でもどっちみち、何らかのかたちで紗音はこの人たちを殺します。
■Ep4第9の晩。そして、誰も生き残れはしない 「土は土に。幻は幻に。……虚構は猫箱に閉ざされることで、真実となる。」
ここでは仮に「園芸倉庫の熊沢・郷田」のこととして考えます。
ウィルの発言をみると、「虚構だったものがほんとになっちゃった」くらいの意味に読み取れます。 「園芸倉庫の中で首をつったふりをして戦人をおどかそう!」というプラン(虚構)だったのが、じっさいに殺人者がきて、この2人を殺してしまった。つまり「死んだふりという虚構のつもりが、真実に死んでしまった」くらいの感じで受け取ることにします。
■Ep4「私は、だぁれ……?」 「幻は、幻に。……約束された死神は、魔女の意思を問わずに、物語に幕を下ろす。」
紗音は戦人に三択クイズを出して、その解答に死ぬほどがっかりします。
で、やっぱ今回も、全員殺して黄金郷にお招きコースだわ、ということになったんじゃないかな。
黄金郷にお招きするには、皆殺しを発生させねばなりません。 方法としては、地下の900トンにものをいわせるだけです。 紗音は自殺し、その後、タイマーで起爆です。「約束された死神は、魔女の意思を問わずに」がこれで成り立ちます。
このクイズを出したあとで「やっぱ殺そう」と思って殺したのか、このときにはもうすでにほとんど殺したあとだったのか、もしくは生きてるのを爆弾でフッ飛ばしちゃったのか、ちょっと仕分けしきれないところがあります。どうなのかしら。
あるいは。「戦人にがっかりした」せいじゃないかもしれません。 こんなシナリオはどうでしょう。
「戦人の解答」には、紗音は本気でがっかりしました。けれど、譲治の解答、朱志香の解答には、彼女はひじょうに満足したのです。 なので、戦人は失格としても、譲治と朱志香のどちらを選ぶかという選択ができなくて、紗音は困ってしまうのです。
そんなとき、ふと彼女は、真里亞におなじクイズを出してみるのです。 真里亞の答えが、こうだったとしたらどうでしょう。
「うー、3つとも選ばない。真里亞もみんなも、悪魔に殺してもらうー」
この三択クイズは、実は四択なのです。「どれも選ばない場合は、悪魔が全員を皆殺しにする」という条件が提示されているからです。
「みんな死ぬってことは、みんな生きてるのと同じことなんだよね! それが黄金郷! うー! 黄金郷には、やさしいママもいるー!」
そう、黄金郷の「あらゆる可能性」のなかには、 「楼座が、真里亞を憎んだりせず、心からいつくしんでくれる優しいママであるかもしれない可能性」 が入っているのです。
そうだ、自分だけのことじゃない。かわいい真里亞にやさしいママをあげるためには、みんなを黄金郷に招かなければならないんだ。 うん。やっぱドカーンだわ。
*
さて、以上が、「ウィルの推理を、紗音説で解釈したときの読み方」でした。 読む人によって、細部の合わせ方はところどころ変わってくるでしょうが、 「紗音が」 「共犯者の協力を得て」 「ときどき死んだふりをしてアリバイを逃れながら」 といったような、大づかみな構造は、どなたが読んでもそう大きくは変わらないのではないかなと思います。
Ep1〜4を、おおむね成立した物語として構成できている気がします。
さて、問題は、この手の真相に、わたしやあなたが満足するかどうかだ。
ヒューマンドラマとしては、わたしは、これは良いと思います。 ただ、ミステリーとしては、どうか。
ちょっと、釈然としないというか、正直にいうと物足りないのです。
もちろん、わたしの読みがお粗末なのかもしれないわけですが、もし、上記のようなトリックが「さいごの真相」であった場合。 それは……暴言お許しあれ……あまりにも古いと思います。
もし私が作者だったら、この程度のギミックを手札に持っただけで、 「これは皆さんに解かせるつもりのない最悪の物語ですぞー」 なんてビッグマウスを叩く勇気は、ぜったいに出ません。
さて。では。作者・竜騎士07さんは、このぬるいギミックを「これは素敵だ、最強のトリックだ、誰にも解けないぞうー」と思いこんだ道化なのでしょうか。
そんなわけない。
だからこう思うわけです。 これは、「解かせるために用意された最後から二番目の真実」にちがいないと。
箱の中に、ふたとおりの猫が入っているように、 ひとつの物語から、ふたとおりの真相が抽出できるように実はデザインされているんじゃないか。紗音説は、その「わかりやすいほうの真相」なんじゃないのか、と。
それだったら、新しい。そして、竜騎士07さんがやりそうな、好みそうなギミックだ。
ですから、これから、同じ材料から、べつの真相を「カケラ紡ぎ」してしまうことにします。 これまで3エントリかけて成立させてきた紗音犯人説。 これとまったく同じ材料をつかって、わたしの持ちネタである「朱志香犯人説」をつむぎだしてしまおうというのです。
続きます。
(実際にできるかどうかは、やってみないとわかりません。下書きはできてますが、仕上げまで、次のエントリまでちょっとだけお時間をいただきます)
|