![](/contents/069/774/328.mime4) | ■No45838に返信(藤井ねいのさんの記事)
サファイア・アキュゼイション、Ep5前半への回答です。
予告しますが、長いよ。ねいのさんは無理だと思ったら遠慮なくコメントするのをあきらめて下さい。読むだけだって一苦労です。書くほうは自分の思ってることを書くだけだから楽だけど。
いっつも思うけれど、うみねこは、自分の思ってることを書くことよりも、人が書いたものを読んで理解することのほうが、ずっと難しいです。ふつう逆だよね。なぜだ。
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さて、わたしの答案。『Ep5古戸ヱリカ犯人説』です。全部の殺人を古戸ヱリカが行なったという説です。それに関して、いくつかの説明を先に。
まず「古戸ヱリカは犯人ではない」という赤字がありますが、わたしは 「まったく真実でないことも、赤字で言うことができる」 という考えなので、問題なく古戸ヱリカを犯人にできます。 ただ、赤字を信じたくてたまらない人は、「犯人ではない」という言葉の直前に「美術品泥棒の」「強盗の」「爆窃団の」「オレオレ詐欺の」「万引きの」「ネコババの」「落語の時そばのお代ごまかしの」といった語をおぎなって、とりあえずこれをすりぬけたと思って下さい。
(あ! 3回目の「電話の男」はヱリカだと考えるので、「オレオレ詐欺の犯人」ではあるのかもしれない。正確には「ボクボク詐欺」ですが)
「探偵は犯人でない」も同様のへりくつで抜けます。ちなみにノックスについては「このゲームはノックス十戒には従っていない」とすることで無効化します。「このゲームはノックス十戒に従う」という宣言が、誰からも一度もなされていないことに注目します。
このゲームはノックス十戒に準じてはいない、しかし、多くのユーザーが、ノックス十戒を基準にして推理をおこなっている。(ノックス十戒という)ありもしないルールを、「ある」と誤認させることができれば、多くのユーザーを真相から遠ざけることができる。そういう叙述トリックの疑いを指摘するものだと思って下さい。
人狼ゲーム的にいえば、「ノックスが『ヱリカは犯人ではない』と保証している」のは、「ニセ占い師が『囲っている』(狼に白判定を出す)」のにすごく近い。そういう感じ。多くの人が、『うみねこ』を、「占い師の託宣に従って犯人を探すゲーム」と考えているのに対し、わたしは「本物の占い師とニセ占い師を見分けるゲーム」だと認識しているわけです。
ちなみに余談的指摘。竜騎士07さんが使う「ルール」という言葉は、ときどき一般的な意味とは違うことがあります。
典型的なのは「ルールZを打ち破る!」みたいな言い回しのときの「ルール」。
これは、ルールという語の一般的な用法ではありません。 ふつう、ルールというのは、 「みんなでつとめて守るべきもの」 であって、 「みんなでがんばって打ち破るべきもの」 ではありません。竜騎士07さんは「打ち破るべきもの」を「ルール」と呼ぶことがあるのです。この「ルール」は、言い換えたら「現象」くらいの意味合いだよね。 もちろん、竜騎士07さんは「守られるべき決まり」という意味で「ルール」という語を使うこともあります。この2つの意味を、両方とも「ルール」という同じ単語で表現するせいで、混乱が作り出されています。
そんなわけで、「赤字」とか「ノックス」とかいったルールを、守るのではなく「打ち破って」みているわけなのでした。
(新規の方も多いので、以前書き込んだことのある内容もつとめて繰り返し書くようにしています。くどいよと思った方すみません)
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> 【EP5】第1の晩 ゲストハウス > 〔被害者〕右代宮楼座・右代宮朱志香・右代宮譲治・右代宮真里亞
パターン1(のみ):古戸ヱリカ(殺害・死体隠蔽)
古戸ヱリカが旅行に行くたびに殺人が起こるそうです。そんな発言を2回しています。これを真に受けます。 つまり、探偵気取りの古戸ヱリカ嬢は、どこかに旅行に行くたびに、自分で殺人を犯し、誰かに罪をなすりつけるような行動をし、自分で華麗に解決しているのである。そんなミもフタもない人物理解です。 さあ、本日彼女がやってきたのはおあつらえ向きのいわくありげな洋館。孤島で台風でクローズドサークル。これで事件を起こさないんだったら探偵ごっこなんて最初からしやしない(反語)。
今回の古戸ヱリカの殺人&探偵プランは、「自分で人を殺して、その罪を夏妃になすりつける」です。
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最初のポイントは、ゲストハウスのラウンジで、ヱリカをまじえて行なわれた碑文談義です。 朱志香が感情的になって、ヱリカの美しい推理に口を挟んで邪魔してきました。 ヱリカはものすごくむかついて、よし、朱志香を殺そう、と考えます。
4日22時47分ごろ。屋敷本館の面々に、「戦人とヱリカが碑文を解いた」という情報が伝わります。 親たち全員が、黄金の間でインゴットを目撃し、ひともんちゃく始めます。 ヱリカはそっと楼座に近づき、こんなことを耳打ちしたかもしれません。 「相続に関して、味方してさしあげます。午前1時にゲストハウスにいらして下さい」 ヱリカの頭脳はすでにお墨付き。しかも碑文を解いた2人のうちの1人ですから、影響力があります。 これで楼座は指示通り午前1時にゲストハウスに来ます。来させた理由は、楼座を殺して第1の晩の犠牲者にするため(6人という人数合わせのため)です。 なぜ楼座に耳打ちしたのか。親世代のうち、彼女だけは絶対に「夫にこのことを相談する」ことがないからです。「ヱリカに呼ばれてゲストハウスに行った」ことが他人にもれてはまずいので、ここは楼座を選択するほかありません。
また、ヱリカはどこかのタイミングで絵羽をつかまえ、 「源次さんが何か怪しい動きをするかもしれないので、彼が使用人室に引き取ったらドアを封印して下さい」 と指示しておきます。
さて、楼座。 楼座が午前1時に親族会議を中座してゲストハウスに向かうためには、親族会議が小休止されねばなりません。 よって、楼座は1時になると、「ちょっと休憩しない? お化粧だって直したいし」と言い出すことになるのです。自然ななりゆきとして。
絵羽が源次の使用人室を封印したのは、このタイミングです。ぴったり1時。 もし、楼座が午前1時に「ちょっと休憩」を言い出さなかったら、絵羽が深夜何時に使用人室を封印するのかは、ちょっとわからなかったはず。 逆に言えば、ヱリカは、「午前1時に来て下さい」と楼座に指示しておくことで、使用人室が封印されるタイミングを午前1時と指定することができたのです。
午前1時に楼座がゲストハウスに来ることをきっかけに、ラウンジに人が集まり、それ以降ゲストハウスに忍びこむことができなくなる。 午前1時に使用人室が封印されることで、それ以降源次を殺すことが不可能になる。
これによって、「犯行可能だったのは午前1時までだ」という論理が発生し、その時間帯にアリバイのない夏妃が疑われていくわけなのです。
たまたま揃った「午前1時」というタイミング。これを偶然と捉えるよりは、 「何者かがそうなるように人の動きを操った」 と見たいところ。 そして、それが可能なのは、古戸ヱリカだけです。
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ところで、ヱリカはEp4以前には存在しなかったので、Ep1〜4の犯人ではありません(と考えます)。 ということは、Ep1〜4の犯行を行なった犯人が、ヱリカとは別に、この島にいてくれなければなりません。 この「本来の犯人」(ベアトリーチェの中身)を、朱志香だということにします。 (これについての詳細は、ここから「犯人特定」の欄をご覧下さい)
夏妃に電話をかけてきた「19年前の男」の正体を、「ボイスチェンジャーで声を変えた朱志香」ということにします。 (ただし、3回ある電話のうち2回目まで) 朱志香は、日付の変わる午前0時前後に、夏妃に電話をかけます。「夏妃は秋が好き」という情報は、紗音から得ることができます。このネタで夏妃をさんざん脅し、「朝まで部屋から出るな」という命令を聞かせます。
この命令の真意は、第一には、「頭痛持ちの母さんを、ろくでもない親族会議からエスケープさせてあげるため」。 そして第二には、「親族会議の人数を7人から6人に減らし、第一の晩の6人という人数に合わせるため」です。 すなわち、「夏妃を除いた、蔵臼、絵羽、秀吉、留弗夫、霧江、楼座の6人を第一の晩で殺そう」というプランが朱志香の中にはあった、と考えるのです。
ちなみに、わたしは「朱志香は6本めのマスターキーを持っている」という説をとっていますので、余裕で秋カードを夏妃の部屋に仕込むことができます。これにさしさわりを感じる方は、源次からマスターキーを借りたことにするか、嘉音が存在しないことにして、彼のぶんのマスターキーを朱志香が持っていることにして下さい。
さて、そんなふうに電話とボイスチェンジャーでスゴんでいる朱志香ちゃんの様子を、「火サス女」古戸ヱリカ嬢が家政婦よろしくじっと冷静に見ていたのです、きっと。 何でじっと見ていたのかといえば、「むかつくからとりあえず1人めは朱志香を殺そう」と考えていたからです。 ヱリカはこの通話を聞いて、 「あ、うまく使えば『夏妃だけアリバイがない』状況が作れるかも」 と思いつきます。
当初の計画では、ごく単純に、郷田か熊沢を犯人に仕立てる計画だったのかもしれません。この2人のアリバイを保証しているのはヱリカが主張しているガムテープの封印なので、この封印を「しなかった」ことにすれば、2人のアリバイは簡単に奪えるのです。
また、「熊沢の部屋のドアが本当に封印されていたかどうかは疑わしい」というポイントも押さえたいところです。熊沢は殺人が発覚するより前に、早起きして厨房に現れています。ドアを開けたら封印は破れます。熊沢は窓から出たのでしょうか。窓も封印されています。 つまり、「事件発覚直後に確認したところ、熊沢の部屋の封印は健在であった」というヱリカの証言は破綻しています。そもそも熊沢のドアに封印はなかったのでは? それは熊沢を犯人に仕立てるためだったのでは? そんな想像もできますね。
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朱志香の殺し方はどこでどんな形でもかまいません。時間は午前0時ちょうどくらいです。 例えば、ヱリカは朱志香に、 「ちょっと誤解を解きたいので、2人でお話しません?」 などとにっこり笑い、別室に誘い、そこで首をかき切ればよろしい。ほかの形でもべつだんかまいません。朱志香の死体の所持品検査をして、ポーチの中から魔女の杭を入手します。また、わたしの説では、ここでマスターキーを入手できます。所持品の中に杭がなかったとしても、マスターキーさえ手に入れば、朱志香の私室を家宅捜索することで魔女の杭は入手できます。 (どのみちマスターキーは源次殺害のときに手に入ります) これが秀吉殺害に使用されます。また、ボイスチェンジャーもここで入手しておきます。
続いていとこ部屋に侵入し、譲治と真里亞の首を刃物でざっくりとかき切ります。Ep6で彼女が言っていたように、返り血を避けるためにビニール袋をかぶったかもしれません。返り血を浴びてもいいように水着に着替えた、これでも良いです。 朱志香の死体を、いとこ部屋のベッドに運んでおきます。
「朱志香殺し」と「譲治・真里亞殺し」は、前後してもかまいません。譲治・真里亞殺しを「午前0時より前」とするほうがやりやすいかもしれませんね。0時以前に犯行がなかったことを保証しているのは「トランプしてました」というヱリカの証言だけです。わざとイヤらしいことを言って朱志香だけ追い出してしまえば良いのです。 その場合、このタイミングで魔法陣が描かれます。
凶器についてですが、これもEp6と同様に、ゲストハウスの厨房から包丁を持ち出せば良いのですし、古戸ヱリカはマリンスポーツをやっている人ですので、ダイバーナイフくらいは持っている可能性もあります。
以上のことを手早く行ないます。その直後から、ヱリカは南條と一緒に、1時まで書庫に籠もります。 これにより、「ヱリカが目を光らせていない」状況が約1時間発生し、「午前0時から1時まで誰でもゲストハウスに侵入可能だった」という条件ができあがります。
そして午前1時。 楼座がゲストハウスにやって来ます。 ヱリカはこれを殺害して、死体をいとこ部屋のベッドに放り出します。
魔法陣を描くとすれば、このタイミングかなって思います。真里亞のノートを見て描き写せば良いのです。 その後、彼女はラウンジに戻って、3時まで南條、郷田のアリバイを確保します。
ヱリカを犯人とする場合、「午前3時以降に、いとこ部屋で眠っている4人を切り殺す」だけで、犯行じたいは成立するのですが(聞き耳を立てていたとウソをつけば良い)、今のところ、その説は採っていません。 いとこ部屋の殺人を、すべて午前1時ごろまでに行なわれたとしている理由(午前3時以降ではない理由)は、真里亞のベッドに、楼座が昼の服を着たまま横たわっているからです。 楼座が殺されたのを、これよりも後のタイミングだとする場合、 「疲れ切った楼座は、真里亞の隣でそのままうっかり眠ってしまった」 (眠っているところを首を切られた) という状況が想定されますが、楼座さんみたいな人が、いくら疲れているからって、自分の客室に戻らず、服も脱がずに眠るというのはちょっと考えづらいのです。 (ふつう、どんなに疲れていたって服は脱いで寝る。疲れたから服を脱ぎたいというほうが自然だと思います。毎回スーツのまま寝起きしちゃってるアニメのいとこ組の描写はちょっとおかしいよね)
でも、3時以降説をとらない場合、いろいろ犯行がめんどうなので、いっそ3時以降に戦人がぐーすか眠りこけている横で次々と殺人が行なわれたことにしちゃっても良いかなって気もします。どっちでも良い、どっちでもありうる。
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さて、午前3時。 戦人が屋敷からいとこ部屋に戻ってきます。 これは犯人ヱリカにとっては想定外の状況だったかもしれない。戦人は、黄金発見と後継者争いの中心人物なのですから、「あの親族会議という名の茶番に、夜が明けるまでずっとつきあわされる」可能性のほうがだんぜん高いのです。 ヱリカの想定としては、 「朝、やっと親族会議が終わって戦人がいとこ部屋に戻ってくると、4人が死んでいた!」 という死体発見が行なわれるはずだったのではないか。
ところが戦人の「もう寝てぇ」と、霧江の「戦人くんが退席できるようにうまく話してあげるわ」のコンボで、想定外に早い午前3時のタイミングで戦人が帰ってきてしまった。 午前3時に4人の死体が発見されるのはすこぶるまずいのです。なぜならまだ親族会議は継続中で、ヱリカはまだ蔵臼を殺して失踪させてはいないからです。このタイミングで事件が発覚したら、機会は完全に失われてしまいます。
蔵臼を殺して死体を隠す(蔵臼が行方不明になる)ことにより、夏妃への、 「蔵臼は預かった、返してほしければ言うことを聞け、ついてはこれこれの時間にクローゼットへ隠れて云々」 という脅迫が成り立つのですから、蔵臼を殺すことができなかったら、この計画(夏妃からアリバイを奪い、夏妃犯人説を成立させる)は破綻してしまいます。 (つまり、「クローゼットに隠れろ」という電話は、ボイスチェンジャーを使用したヱリカによるものだという推理です) おまけに連続殺人はたった4人で終了。「従来のミステリ小説にもなかった過去最大級の殺人数」が誇れない。碑文見立てでもないので美しくもない。
しかし。意外や意外。 ビックリなことに、戦人はなんと、電気も点けず死体にも気づかず、そのままベッドに倒れ込んでぐーすか眠ってしまったのです。これはビックリ。まじでビックリ。ヱリカ的にはすごいラッキー。 でも、ふとしたことで戦人が目をさまさないとも限らない。 ヱリカはさぞかし、ヒヤヒヤしながら、壁に耳をぴったりつけて隣の様子をうかがっていたことでしょう。
しばらく、かなり長い間、そうして寝息を聞いていたかもしれない。 いとこ部屋。死んでる人が4人と、死んだように眠っている人が1人いるだけ。「何も不審なことは起こらない」。
なので、ヱリカはようやく安心して、源次を殺しに屋敷本館へ向かいます。これについては次回の設問なので、省略。
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> 【EP5】第1の晩 ??? > 〔被害者〕右代宮蔵臼
パターン1(のみ):古戸ヱリカ(殺害・死体隠蔽)
ヱリカは、源次(もしくは朱志香)から、マスターキーを入手することができます。
朝5時とか6時とか、そんな時間帯を想定します。ヱリカはマスターキーを使って屋敷の玄関から中に入り、マスターキーを使って蔵臼の私室に押し入ります。 そこには、親族会議が終わってくたくたになり、やっと仮眠をとりはじめた蔵臼がいます。 その蔵臼にゴミ袋でもひっかぶせて、グルグル巻きにし、ウォークマンのイヤホンでも耳につっこんでガムテープでふさいで大音量を出しておきます。ウォークマン、朱志香が持ってそうです。蔵臼の私室にオーディオセットがあれば、それとヘッドホンの組み合わせでも良いです。そういえばEp5ではオーディオセットの存在が示唆されましたね。
蔵臼の部屋から夏妃に内線電話をかけます。このとき、朱志香の死体から巻き上げたボイスチェンジャーを使用します。ラムダデルタが「声くらい、誰だって変えられるわよぅ」なんて得意がってるのは変声機の存在の示唆だろう、と都合良く考えます。
蔵臼のわめき声を聞かせ、「夫を返して欲しかったら指定の時間に指定のクローゼットに閉じこもれ」と夏妃に命令します。 電話をきったら、蔵臼の首も切ります。
そして蔵臼の死体を、使われていなさそうな別室に運び、クローゼットの中にでも放り込んでおきます。 基本的にこのエピソードにおける「死体消失」はすべて、「別室に運んで鍵をかけておく」。これだけで全然OKです。あとで屋敷の全部屋が捜索されるわけなのですが、捜索するのはヱリカ本人なのです。 いや、それどころか、捜索なんかまったくせずに、「全部屋を捜索しときました」と口で言うだけで良いのです。誰かを連れて一緒に家捜しをしたわけじゃないのです。
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前述のとおり、蔵臼の死体を隠蔽することではじめて、夏妃に対して、 「蔵臼は拉致した。返してほしければ……」 という主張が可能になるのです。 よって、蔵臼の死体は、必ず隠さなければなりません。
ところが、蔵臼の死体を隠しただけではだめなのです。問題が発生します。
「蔵臼の姿が見えない。蔵臼が殺人犯であり、おじけづいて逃げ出したのだ」 という主張が、このままだと可能です。
ヱリカは、この主張が発生しない(通らない)ように仕向けなければなりません。 そのための方法として、 古戸ヱリカは、「いったん発見させた死体を、どこかに隠す」というアクションをとるのです。
そうするとどうなるか。
「なんでかわからないが、この殺人犯は死体を隠したがるらしいぞ?」 ということになる。
蔵臼逃亡説の印象は急激に消え失せ、「あ、きっと、蔵臼は真っ先に殺されて、死体を運び去られたんだ」という印象がきわめて濃厚になります。 かようにヱリカ犯人説でも、死体消失の必然性は、じゅうぶん説明がつきます。
方法ですが、まず、いとこ部屋の惨状を見て、絵羽が泣き叫んでいる場面から。 ここにヱリカがおっとり刀で現れ、現場検証を始めます。 そして、とにかく警察の現場検証のために、現場を保存しよう。全員が退出して、ドアを施錠しようということになります(なったと思う)。
のちに死体消失が判明する場面で、ヱリカは一同に、 「この部屋はちゃんと施錠して行きましたよね?」 と確認しています。つまり、いとこ部屋には鍵を掛けたのです。ということは、誰かが現場に残ったりすることなく、全員が「せーの」でいとこ部屋から退出したのです。悲嘆にくれる絵羽がひとり現場に残るということはなかった。
さて、いとこ部屋に鍵をかけ、とりあえず本館に行こうということになって、全員がぞろぞろと移動します。 ヱリカはさりげなくゲストハウスに残り、いとこ部屋に戻り、マスターキーで鍵をあけて、死体をかついで隣室に運び出します。4人ぶん運びおえたら隣室をロックして、死体消失完了です。 めんどくさかったら、「いとこ部屋のクローゼットに詰め込んだ」でもかまわないくらいです。 そんなんじゃすぐに見つかっちゃうんじゃないか。 すぐに見つかっちゃいそうですね。 でも見つかっても良いのです。ここでの死体消失の目的は、「この犯人は死体を隠したがる」という印象を作ることなのです。その印象さえ植えつけることができれば、べつだん、あとで死体が見つかっちゃってもかまわない。
隠蔽作業が終わったら、小走りで本館の客間に追いつきます。「ちょっと気になることがあったので、廊下を調べてました」くらいのことを言えば、全員が納得します。
さすがに長くなりすぎた、ので、「譲治は死後、遺体は一切、移動されていない!」の抜け方については次回にて。(書いたんだけどカットだ)
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