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No55301 の記事


■55301 / )  Re[26]: 返信です
□投稿者/ Townmemory -(2010/10/29(Fri) 20:45:37)
http://blog.goo.ne.jp/grandmasterkey/
    ●だらっくまさんへ

     こんにちは。さしあたり、ふたつ話題にリプライしますね。

     ウィルがベルンカステルのミステリーをファンタジーに変えられなかった理由は、ウィル本人がミステリーの中にいる人だからです。とわたしは見ています。

     彼の必殺技(と推定される)ヴァン・ダイン20則って、「ミステリーを成立させるための」「ミステリー内部の」取り決めごとですものね。

     ベルンはミステリーの人(と、おぼしいの)ですから、ベルンの真相はミステリーとしてちゃんと成立しているのだろうと推測されるのですね。

    「ヴァン・ダイン20則を武器にして戦う」ということは、
    「おまえの推理は(規則に違反しているから)ミステリーとして成立していないぞ!」
    (つまり個人的なファンタジーにすぎないぞ!)
     という戦い方なのだろうと推測されます。

     この戦い方は、ベルンが、
    「それについては、これこれこうだから、20則に違反していないわ」
    (つまり、ファンタジーなどではなく、整合したミステリーなのよ)
     というふうに、全部説明することができれば、完全に迎撃することができます。
     おそらく、ベルンは全部のくさびを迎撃することができたんでしょう。だから、ウィルの駒をベルンがころんと倒して、ゲームエンドになった。
     という解釈です。

     たぶん、ベルンの真相は、ミステリーとして高いレベルで成立しているので、ミステリー内のモノサシを使ってハタンさせるのは難しいのでしょうね。

     Ep5で、ヱリカのミステリーを戦人がハタンさせることに成功していますが、このときの戦人は、
    「魔術師になって、自分で赤字を使えるようになり、その赤字を使って推理をハタンさせる」
    (根拠や証拠を提示する必要がない、という特権を手に入れる)
     という方法を使いました。

     根拠や証拠を出す必要もなく、何が真実かを口で言うことができるなんて、そんなのミステリーじゃありません。魔法です。魔術師になるだなんてファンタジーです。
     ヱリカのミステリーを打ち破ったとき、戦人はファンタジーの人だった。つまりファンタジーはミステリーを打ち破れるらしい……という実績があります。

     どうもですね、ミステリーでミステリーを殺すのは難しいっぽいです。

     ミステリーの外にあるもの、「ミステリーじゃないもの」を武器にしたとき、ミステリーを殺せるのかもしれない、です。

     では、ベルンのミステリーを倒せる武器とは何なのか……。
     というのが、当シリーズのラストに出てきます。めげなかったら最後まで読んでみて下さい。


     もうひとつ。どうして留弗夫は霧江と即座に入籍したのか。戦人が激怒するのはあたりまえじゃないかというお話について。
     じつは、これに関連する話題を「Ep7をほどく」シリーズのラストのエントリにいったん書いたんです。
     が、文字数の都合でカットしちゃいました。
    (ブログの文字数制限が一万字なので、それに納めるのが目標なんですね。このブロックを切ったらちょうど一万字くらいでした)

     たいした話でもないんで、そのままお蔵入りにしようと思っていたのですが、良い機会なので掘り起こしてきました。以下に掲示するのがそれです。
     こんな感じでよろしいでしょうか。


         ☆


    ●明日夢は自殺かもしれない?

    「九羽鳥庵ベアトから生まれた戦人」を想定する場合に限る話なんですが、ひょっとして明日夢は自殺した可能性があるんじゃないかな。

    「明日夢は俺が殺したのか、いつから殺していたんだろう」
     みたいな留弗夫のセリフ(Ep7)をきいたときに、あ、と思ったんですが。

     留弗夫は明日夢の喪があけるのを待たずに、霧江と籍を入れます。喪があけるのを待ってから籍を入れれば、対外的にもまずくないし、戦人と関係がこじれきることもなかったのにね。どうしてそれができなかったんだろう。
     縁寿のことを思ったからかな……。

     想像上の話ですが、
     留弗夫にはひょっとして、「たとえ一時のことであっても、子供を非嫡出子の状態にしたくない」という信念みたいなものがあったのかもしれない。

     もしくは、縁寿が非嫡出子になった場合、母の籍に入って「須磨寺縁寿」になりますね。
     須磨寺家に何か大問題があって、「どうしても縁寿を須磨寺籍に入れたくなかった」みたいな事情があるのかもしれません。

     そのどちらでも、それ以外でもいいのですが、とにかく、そういうやむにやまれぬ事情があったと仮定します。

     軽くおさらいですが、この話の前提は、
    「金蔵の隠し子が崖から落ちて一命をとりとめ、留弗夫に預けられる。留弗夫はこの子を金蔵への人質にしようと思って、赤ちゃんを育てる。それがのちの戦人。明日夢は赤ちゃんの母親役をつとめる条件ではじめて留弗夫と結婚できた」
     みたいな話です。

     明日夢の心のなかに不安はありながら、それなりに楽しい家庭を、留弗夫・明日夢・戦人で築いていた。
     戦人は留弗夫に似てやんちゃだ。
     そして留弗夫の望み通り、優しい母親になつききっている。この状態を作らねばならないので、留弗夫は冷たい霧江を母役に選べなかったのです。

     そんなある日、明日夢は知ってしまう。留弗夫が霧江と浮気していて、子供まで出来てしまったことを。
     明日夢は、留弗夫を恨む。そして、復讐したいと思う。
     だから、自ら死ぬ。

    「夫が浮気したから、それで世をはかなんで、妻が自殺した」
     ……というようなストーリーラインにしか見えないカタチを、明日夢は意図的につくるわけです。

     留弗夫は先に仮定したような「何かの事情」で、即座に霧江と籍を入れる。その「何かの事情」を明日夢はあらかじめ知っていた。
     そうなったら、母親っ子で一本気な戦人は、「母さんのこと全然愛してなかったんだな! ずっと裏切ってたんだな!」と激怒して、留弗夫との関係を著しく悪化させるはず。明日夢はそれを読んでいた、と考えるのです。

     何しろ、それが原因で母が自殺しているのに、留弗夫はそれを悔やむそぶりをまったく見せず、むしろこれは好機とばかりに愛人と籍を入れ直すわけですからね。
     これは息子が激怒しなかったらそっちのほうがおかしい。

    「お父さんと何かあったら、母方の実家に逃げ込みなさい」

     とでも、あらかじめそそのかしておけば完璧かもしれません。

     そんな状態になったら、留弗夫は、「戦人をたてに、金蔵を操る」なんてどころの話じゃなくなります。つまり明日夢を巻き込むことで成り立っていた留弗夫のもくろみは、明日夢を裏切ったせいでご破算になるのです。
    「これも私を裏切ったからよ」
     という命がけの復讐だったのかも……。というようなことを考えると、これはもう「留弗夫が明日夢を殺した」が文句なく成立です。

     ということを考えていたんですが、前提が成り立たなかったら成り立たない話です。ご参考までに。

         ☆

     以上です。ご参考までに。
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