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No57480 の記事


■57480 / )  Ep7をほどく(補遺)・Ep7は『Land of the golden witch』そのものでは?
□投稿者/ Townmemory -(2010/12/07(Tue) 18:43:07)
http://blog.goo.ne.jp/grandmasterkey/
    「Ep7をほどく」シリーズの補遺です。直接的な続編ですので、このシリーズをお読みでない方には理解できない可能性があります。そして以後、自分の説につごうのいいことだけをひたすらべらべら述べますので、覚悟して下さい。


     Ep7をほどく(1)・「さいごから二番目の真実」 no51893
     Ep7をほどく(2)・まずEp7を紗音説で読む(上) no52013
     Ep7をほどく(3)・まずEp7を紗音説で読む(中) no52052
     Ep7をほどく(4)・まずEp7を紗音説で読む(下) no52113
     Ep7をほどく(5)・分岐する世界の同一存在 no52153
     Ep7をほどく(6)・ベルンの動機、読者の動機 no52562
     Ep7をほどく(7)・ジェシカベアト説(上) no52651
     Ep7をほどく(8)・ジェシカベアト説(中) no52748
     Ep7をほどく(9)・ジェシカベアト説(下) no52812
     Ep7をほどく(10)・すべてのベアトリーチェのために no52853
     Ep7をほどく(11)・そしてアンチミステリーへ no52924


    「Ep7をほどく」について、ざっと、乱暴な要約をしますと、「Ep7が紗音犯人説に見えるのは実はヒッカケじゃない? Ep7というひとつの物語から、2つの真相が導き出せるように設計してあって、紗音説はその2つのうちのわかりやすいほうなんじゃない?」みたいなことを言いました。真実を見るには、片目ずつではなく両目で見なければいけないというEp6のアレです。ふたりの犯人像を両方読めて、はじめて正解なんじゃないか、「クローゼット」と「ベッド下」と、両方のカードを持ってないと駄目なんじゃないか。Ep5でいえば、夏妃説と戦人説と両方提示できないと合格じゃないんじゃないか。というようなことです。

     あ。そうやって要約してみると、Ep5〜7の流れは、マスタリングとして流麗ですね。

     Ep5では、いったん夏妃犯人説が真実認定されたあと、「ちょっと待った!」といって戦人犯人説が出てくる。対立しあうふたつの犯人説は「どっちも真実としての資格がある」というスゴイ認定がなされる。
     Ep6では、それを一歩推し進めたような、嘉音が「クローゼットに隠れている」のか「ベッド下に隠れているのか」という問いがなされる。「クローゼット」だけ気付いて、「ベッド下」の可能性に気付いていない場合は不正解となる。もちろん、「ベッド下」だけ気付いても不正解。両方の可能性を同時に検討していなければ正解できないという展開がでてくる。
     そしてEp7では、「あなたは果たして、Ep7の物語から、紗音犯人説と、朱志香犯人説の2通りを抽出できますか?」という問いかけがなされているのだ……というようなことを、最後のはわたしが自分勝手に主張しているわけです。


     さて、ところで。『Land of the golden witch』の話をします。

     あの、本編しか読まれていない方には、『Land of the golden witch』何なのかわからないと思うので、ざっと説明します。「本来、Ep3として公開されるはずだった“Land of the golden witch”というシナリオが存在する」ということを、竜騎士07さんがいろんなところで言及しておられるのです。それは究極に極悪で、読者を完全にミスリードしてしまうので、やばすぎてお蔵入りにした、みたいなニュアンスのことを竜騎士さんはおっしゃるのです。

    『Land of the golden witch』の正体については、Ep5当時にこのような推理をしていて、考えは今でもほとんど変わっていません。→ 『Land of the golden witch』の大ネタって何? no38082


     内容が前の書込みと重複するのですが、竜騎士さんは『Land of the golden witch』をこう説明するのです。

    KEIYA:今発表したとしても、これまでのシナリオのなかで最高の難易度になるのでしょうか?
    竜騎士07:うーん。今の段階だと、ヘタすると思考停止どころか、真相だと思われかねません。『ひぐらし』で例えれば、『目明し編』のない『綿流し編』みたいな。「魅音が犯人なんだ」で終わってしまうくらい致命的です。
    ――それを危惧して一度『Land of the golden witch』を止めたのでしょうか?
    竜騎士07:恐らく第3話で発表していたら、その段階にも至らない方が続出したと思います。

    【うみねこEP4対談】謎解き部と物語部を両立させられたらいいなと思っています
     http://news.dengeki.com/elem/000/000/147/147660/
     http://news.dengeki.com/elem/000/000/147/147660/index-2.html

     ここでの「今」とは、ep4発表直後のこと。
     ここで言及されていることをまとめると、

    ・Ep4直後の段階で『Land of the golden witch』を公開した場合、真相でないものを真相だと思われてしまうだろう。
    (「ひぐらし」の「綿流し編」だけを公開した場合、「魅音が犯人だ」とみんな思いこんでしまう。そのような状態が発生するだろう)
    ・Ep3で『Land of the golden witch』を発表していたら、「真相でないものを真相だと思う」段階にすら至らないだろう。
    (「ひぐらし」で例えれば、「魅音が犯人だ」という間違った結論にすら到達できない人が続出するだろう)

     以上のような要約ができるように思うのです。

     つまり『Land of the golden witch』の正体は、
    「真相でないものを、あたかも真相そのものであるかのように思いこませるギミック」
     である。
     より詳しくいえば、
    「もっともらしいウソの真相を用意し、ユーザーがそこに行き着くように誘導する。ユーザーはその真相に満足するので、本当の真相は覆い隠される」

     というようにわたしは推理しました。
     このことはEp1〜3の流れをみると、多少裏打ちできるように思います。『Land of the golden witch』は、本来Ep3として提示されるはずのものでした。

     Ep1では、事件が発生する。
     Ep2では、事件の真相にたどり着けなくする隠蔽工作がなされる。(幻想描写というノイズが入り出す)
     Ep3の『Land』では、「ニセの真相」が提示され、そこに向けて読者が誘導される。(本当の真相は隠蔽される)

     この流れを想定すると、「ホップ・ステップ・ジャンプ」という感じで、美しくミステリーが成立するのです。きっと、当初はこんな展開がプランニングされていたと、わたしは想像します。

     ところが。Ep2を公開した時点で、幻想描写に負けて、「こんなの推理できねーよ」というユーザーが続出してしまった。竜騎士さんがインタビューでそんなニュアンスのことを言っています。
     このまま『Land of the golden witch』をやっても、「ニセの真相」に気付いてもらえない。それではこのギミックはご破算だ。だから、Ep3で『Land of the golden witch』をやるというプランはお流れになった。だいたいわたしはそんな感じのことを考えています。


     さて。
     だいたいわたしが、これから何をいおうとしているのか、おわかりになったかと思いますが。


     わたしはこの「Ep7をほどく」シリーズで、
    「Ep7からは2通りの真相が抽出できる。わかりやすい紗音犯人説の裏側に、もうひとつ別の犯人説(朱志香犯人説)が隠されている」
     ということを論述してきました。

     わかりやすい犯人説の裏側に、もうひとつの真相?

     つまり、ひとつの物語に対して2通りの真相があり、片方がわかりやすい場合、ユーザーはそれに飛びついて満足するので、もう一つは結果的に覆い隠される……。
     というカタチでEp7をみた場合、これはわたしの想定する『Land of the golden witch』とまったく同じ構造なのです。

     竜騎士さんはインタビューで、「『Land of the golden witch』をやってみようかな、という気になりはじめている」といった意味のことを言い出しておられます。(http://news.dengeki.com/elem/000/000/147/147660/

     ということで、この記事のタイトルのような結論がえられる。
    「Ep7が『Land of the golden witch』だったのではないか」


     そのようにいったん仮定してみると、いくつかピースがはまる感じがあるのです。

    『Land of the golden witch』には、ウェルギリアスという男性キャラクターが登場する予定だったそうです。それがお蔵入りになったので、名前だけ借りた「お助けキャラ・ワルギリア」に変更された。

    竜騎士07 いえ、当初の「Land of the golden witch」では、全然違う位置づけのキャラだった。名前もワルギリアじゃなく、ウェルギリアスだったんです。
    ――どんな位置づけだったのでしょうか?
    竜騎士07 「Land of the golden witch」を発表する可能性があるかもしれないから、詳しくは言えませんが……。確か、当初は今のワルギリアとは似ても似つかない風貌。男だったこともあって、設定が迷走していました。
    『うみねこのく頃に Episode3 真相解明読本』P103

    『うみねこのく頃に』が、ダンテの『神曲』から、いくつかイメージをひっぱってきていることは有名ですが(そしてわたしは『神曲』を読んだことがありませんが)、ウェルギリアスというのは、『神曲』にでてくるキャラクター、「プブリウス・ウェルギリウス・マロ」さんのことでしょうね(実在した詩人でもあります)。ダンテをベアトリーチェのもとに導く案内人です。

     Ep7には、クレル・ヴォーブ・ベルナルドゥスというキャラクターが出てきます。彼女は「犯人のアバター」、いわば仮面をかぶって正体を隠した犯人として、告白をします。
     これは明らかに、「クレルヴォーのベルナルドゥス」を下敷きにしています。この人も実在の聖職者ですが、『神曲』にでてくるキャラクターです。役回りはウェルギリウスとまったく同一で、「ダンテの案内人」です。『神曲』は、前半をウェルギリウスが案内し、後半をベルナルドゥスが案内するような感じになっているそうです(あの、伝聞情報なので、正確には違うかもしれませんが)。

     つまり、ザックリしたいいかたをすると、ウェルギリウスとベルナルドゥスはおんなじ役割のキャラなんだ。

     だから、こういう想定ができる。

    「Ep3で登場するはずだったウェルギリアスは、Ep7のクレルとまったくおんなじ役回りで使われるはずだったにちがいない」
    「ウェルギリアスは、Ep3で登場した場合、“私が犯人である”と言い出して、事件の告白をする予定であった」
    「しかしその内容は、魅音にソックリな別の誰かが“犯人は私です”と言うような感じのものであった」
    「そういうEp3が想定されていたが、諸般の事情でお蔵入りになった」
    「その後“今ならもうコレをやっても大丈夫”という判断がなされた」
    「そこで、ウェルギリアスをクレルというキャラに変更し、Ep7で、『Land』とほぼ同等のギミックが展開された」


     そんな感じに合わせてみると、だいたい綺麗。というお話でした。


     ちなみにこの推理は、偽書オリスクシリーズの英恵さんのエントリに影響を受けて書きました。→ http://kisaragi48.blog27.fc2.com/blog-entry-33.html
     たとえばウェルギリアスが告白する内容が「霧江犯人説」であったりする、というのは納得度が高いと思います。Ep3で霧江犯人説が提示された場合、Ep4からの縁寿の活躍とのつながりが良い、という議論は納得です。(これ自分で気づきたかったなあ!)
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