九電第三者委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士は14日夜、東京都内で記者会見し、九電の最終報告書について「第三者委の報告書の都合のいいところだけをつまみ食いしてちりばめたもので、何の意味もない」などと痛烈に批判した。また眞部利應社長に対し、「独自見解を表に出すのは常識はずれで、体制の維持ばかり考える経営者の暴走」と断じ、「進退をしっかり考えていただきたい」と辞任を求めた。
九電の最終報告書が、佐賀県側の関与に言及しなかったことに対し、郷原氏は「我々が本質と捉えた九電と佐賀県の不透明な関係を一切無視し、第三者委発足前の九電の認識とほとんど変わっていない」と非難。眞部社長が「やらせメール」の原因について「(古川康・佐賀県)知事の発言ではなく、発言のメモが発端」と主張していることにも、「メモは発言の後に作られており、理屈にならない」と切り捨てた。
九電役員の処分については、不祥事に関する資料の廃棄を指示するなどした中村明・原子力発電本部副本部長(減俸100%、1カ月)を「相当程度重い責任で、(処分が)軽い」と指摘した一方で、知事発言メモを作成した大坪潔晴・佐賀支社長(同50%、1カ月)は「知事の真意と異なるメモを作ったわけではなく、重すぎる」と述べた。また、「仕込み質問」があった05年当時の社長だった松尾新吾会長については「会長も責任を考えてほしい」と述べた。【小原擁、福永方人】
毎日新聞 2011年10月15日 0時31分(最終更新 10月15日 0時36分)