泊原発(北海道泊村)を巡る「やらせ」問題で、北海道電力の第三者委員会が調査報告書で道の関与を指摘したことに高橋はるみ知事は14日、「道の確認した内容と異なっているのは大変残念。道の関与は全くない」と全面否定した。当時の担当課長も「趣旨や意図が違う」と反論した。高橋知事は道の関与の有無を改めて調査すると表明した。
報告書は泊原発3号機のプルサーマル計画の道民意見募集に当たり、道原子力安全対策課の職員が08年7月8日、北電に地元から賛成意見を出させるよう要請していたと指摘。これに対し高橋知事は「当時の課長は誠実だし、上司だった(当時の)危機管理監も中立、客観的な仕事をしていた」と説明。当時の原子力安全対策課長だった村井悟・釧路総合振興局長も「『推進よりも慎重意見が多かった』などという感想は話したが、趣旨や意図が違う形になっている」と話した。
報告書は北電の関与についても、08年の国・道主催の各シンポジウムや、道主催の「ご意見を伺う会」5回中4回で、社員動員や会場での発言依頼があったと認定。いずれも本店の電源立地部や泊原子力事務所渉外課などの組織的関与を指摘した。国主催のシンポでは常務取締役兼発電本部長も動員や質問準備を黙認したほか、北電労組が組合員のシンポ参加を指示して労使間で参加社員に時間外手当を支給することまで決めていたとした。【高山純二、岸川弘明】
一連の問題で佐藤佳孝社長から説明がないことが批判を浴びている北電だが、14日も佐藤社長は姿を見せず「全容解明に向けて委員会の調査に全面的に協力してきた。調査結果および提言は真摯(しんし)に受け止め、社内で早急に検討する」などとするコメントを出しただけだった。来週前半にも社長会見を開き、再発防止策や関係者の処分を公表するという。
石井孝久副社長は午前10時前、第三者委の市川茂樹委員長から「しっかり受け止めて信頼回復を図ってほしい」との言葉とともに報告書を手渡された。報道陣の取材に「道民や関係者に多大な迷惑をかけ、信頼を損ねた。心よりおわびする」と謝罪したが、報告書の内容については「まずはしっかり確認したい」と述べるにとどまった。【吉井理記】
毎日新聞 2011年10月14日 21時57分(最終更新 10月14日 22時22分)