北九州市小倉北区日明港と山口県下関市彦島を結ぶ旅客フェリーを運航する関門海峡フェリー(下関市)は13日、運航を11月30日で取りやめると発表した。航路は1971年に開設され、関門を往来する長距離トラックや通勤、通学の足として40年にわたって利用されてきた。同社は事業譲渡を検討しているが、譲渡先が見つからなかった場合は航路廃止となる。
同社は76年、別の会社が開設した航路を引き継いで運航を始め、現在は1日17往復。最盛期の90年度には約43万台の車両を運搬し、そのころは年50万-60万人が利用していた。しかし、燃料費が10年前の倍に高騰し収益が悪化。運賃値上げや減船で改善を図ったが、2002年度から赤字が続いていた。自動料金収受システム(ETC)搭載車への高速道路割引も響き、昨年度の利用台数は約16万8千台に落ち込んでいた。
同社は12日付で国土交通省九州運輸局に事業の休止届出書を提出した。18人の従業員は11月30日で原則解雇し、就職先をあっせんするという。下関市で記者会見した南隆美社長は「経営状況が厳しく、やむを得ない。長年のお客さまには申し訳ない」と述べた。
下関市に実家があり、週に数回利用する北九州市小倉北区の主婦(49)は「高速道やトンネルを使うと倍以上の時間がかかり不便。何とか続けてほしい」と話した。
=2011/10/14付 西日本新聞朝刊=