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オリンパス:経営迷走ぶり露呈 市場は不安視

ウッドフォード前社長の解職を説明する菊川剛会長兼社長=東京都内で2011年11月14日、竹地広憲撮影
ウッドフォード前社長の解職を説明する菊川剛会長兼社長=東京都内で2011年11月14日、竹地広憲撮影

 オリンパスは14日、4月1日に就任したマイケル・ウッドフォード社長(51)をわずか半年で解任、その理由について「日本の経営文化が理解されなかった」などと説明した。しかし、初の外国人トップを起用した背景には、しがらみにとらわれない構造改革や海外展開を加速させる狙いがあっただけに、市場では経営方針の「迷走」を不安視する声が出ている。【竹地広憲、浜中慎哉】

 「コミュニケーションや文化の壁を打破できなかった。日本の経営文化も理解されなかった」。社長を兼務することになった菊川剛会長(70)は、14日の記者会見で解任理由をこう説明した。

 菊川会長ら他の経営陣は、ウッドフォード氏が映像や医療など各部門の責任者を飛び越し、部下に直接指示をしたことなどを問題視。菊川会長は「組織の意思決定を無視して独断で経営を進めた」と厳しく批判した。

 11年3月期に150億円の営業赤字に陥った映像事業などの収益改善に向け、同氏が研究開発費も含めた大胆なコスト削減に着手したことについても、他の経営陣には「流れがコストカットに傾き過ぎている」との不満があったという。

 ただ、菊川会長は2月、欧州法人社長だったウッドフォード氏を後任社長に抜てきした理由として「強いリーダーシップ」を挙げ、海外展開や合理化を加速するよう希望していた。ウッドフォード氏はオリンパスグループに約30年在籍する「生え抜き」で、菊川会長も資質や実績を高く評価していただけに、市場では起用の狙いと解任理由の矛盾を疑問視する向きが多い。

 菊川会長は「性格を見抜けなかった。私の任命責任で忸怩(じくじ)たる思い」と語ったが、「菊川会長が今も最高経営責任者(CEO)にとどまり、事実上実権を握っていることが、経営方針をめぐる混乱の一因」(アナリスト)との見方も浮上している。

 ウッドフォード氏の電撃解任を受け、同社の株価は前日比17.6%(437円)安の2045円に急落。会見に同席した森久志副社長は「コスト削減の流れは止まらない」と経営計画の遂行を強調したが、市場では「オリンパスが何を優先したいのか不透明」と懸念が強まっている。

毎日新聞 2011年10月14日 21時50分(最終更新 10月14日 23時41分)

 

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