宮城県山元町の常磐山元自動車学校の送迎車に乗車中や徒歩で帰宅途中、東日本大震災の大津波にのまれて亡くなった教習生25人の遺族は14日、「危険回避義務を怠った」として学校側などに計約19億円の賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
提訴したのは、死亡した18~19歳の教習生の遺族で宮城県と福島県に住む46人。
訴状によると、学校側は巨大地震の発生から約50分たった3月11日午後3時35分ごろから教習生を送迎車に分乗させ校舎を出発。4台が津波にのまれ、乗っていた23人が死亡したほか、歩いて帰宅しようとした2人が亡くなったのは、学校側が迅速な対応を怠ったためだと主張している。
同校の岩佐重光社長は4月の遺族への説明会で「お子さんを守りきれなかったことをおわび申し上げます」と謝罪。遺族側は7月、示談を申し入れたが、学校側は「大津波は予見できず、過失はない」と拒否した。
提訴後、記者会見した遺族会代表で、長男佳祐さん(当時19歳)を亡くした寺島浩文さん(49)は「賠償金が目的ではない。遺族が望むのは学校が罪を認め、正式に謝罪することだ。夢や未練を残して亡くなった子供たちに謝罪してほしい」と訴えた。
学校側の代理人の弁護士は提訴について「コメントできない」としている。【高橋宗男】
毎日新聞 2011年10月14日 東京夕刊