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[30030] パイレーツ・デイズ(海賊戦隊ゴーカイジャー×DOG DAYS)
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:cb9981f1
Date: 2011/10/05 21:38

※この作品はスーパー戦隊三十五作品目の“海賊戦隊ゴーカイジャー”と、リリカルなのはスタッフによって製作された“DOGDAYS”のクロスSSになっております。

※時系列はゴーカイジャーはカンゼンゴーカイオーをゲットする前、DOGDAYSは本編開始直前頃の話になります。

※なるべく34戦隊全部を(199+α全種じゃないけど)登場させる予定です。それと一つだけ、ゴーカイジャー以外に特別扱いしている戦隊があります。

※シンケンジャーに出てきた仮面ライダーディケイドの設定も少し使っています。

※クロスカプ要素あり

※キャラ崩壊もちょっとあり

以上の事を踏まえたうえでこの作品をお楽しみください。





[その他のアルカディア投稿作品]

【特撮系】
○汽笛が鳴る頃に(仮面ライダー電王×ひぐらしのなく頃に)

【ガンダム系】
○Lyical GENERATION(ガンダムSEED DESTINY他×リリカルなのはシリーズ)
○ANGEL FEATHER MARCH(ガンダムW×そらのおとしもの)
○サテライトウィッチーズ(ガンダムX×ストライクウィッチーズ)

【短編】
○リリカルなのは×スイートプリキュア短編




[30030] プロローグ「声」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:cb9981f1
Date: 2011/10/05 21:54
プロローグ「声」


西暦30××年、時間保護局本部、巨大メカ豪獣ドリル格納庫、そこに一人の人物がコソコソと移動していた。
(よし、圧縮冷凍された囚人たちは手に入った、後は……)
「そこまでよ!」
「!?」
その時、その人物の足元に数発の銃弾が撃ち込まれる。
「ようやく見つけたわ……観念しなさい!」
「おのれ……! ようやく計画が成功しそうだったのに……!」
その時、豪獣ドリルの発進を告げる警報が周辺に鳴り響いた。
『豪獣ドリルの発進要請シグナルを受信しました、格納庫にいる職員は速やかにその場から退避を……』
「! しめた!」
するとその人物は今まさに発進しようとしている豪獣ドリルに飛び付き、そのまま中に乗り込んでしまった。
「しまった!?」
「バイバーイ、間抜けな隊長さん」
そして豪獣ドリルはその人物を乗せたまま、千年前の地球に向かっていった……。










20××年、地球は宇宙からの侵略者、“宇宙帝国ザンギャック”の脅威に晒されていた、そしてその地球を守るのは34のスーパー戦隊の力を受け継いだヒーロー、海賊戦隊ゴーカイジャーである。

彼らは今、巨大化したザンギャックの兵達に対し、彼らの乗艦である宇宙船ゴーカイガレオンをロボットに変形させたゴーカイオーで戦っていた……。
「スゴー! スゴー!」
「ああもう! ザンギャックの奴らしつこすぎ!」
「鎧! まだ豪獣ドリルは来ないの!?」
持っている二本の剣……ゴーカイケンで襲いかかるスゴーミンを切り伏せていくゴーカイオー、そして中で操縦しているゴーカイジャーの面々は、ビルの屋上にいる六人目の仲間、ゴーカイシルバーの伊狩鎧の加勢を待っていた。
「しょ、少々お待ちを! おっかしいな~! いつもなら呼べばすぐ来てくれるのに……」
すると突然、空に大きな時空の穴が空き、そこから豪獣ドリルが現れる。
「ようやくきた! みなさんお待たせしました!」
「ったく待たせやがって……遅れた分キリキリ働けよ」
「はい!」
そう言って鎧は舵輪状の操縦桿をグルンと回転させる。
「行け! 豪獣キャノン!」
すると豪獣ドリルの各所に取り付けられている砲台からいくつものビームがスゴーミンの小隊に放たれる。
「「「スゴー!!?」」」
「今ですみなさん!」
「よし……久々にこれを使うか」
鎧の作ったチャンスに対し、ゴーカイジャーのリーダー……ゴーカイレッドのマーベラスはゲキレッドのレンジャーキーを取り出す。そしてそれを見た他の四人もそれぞれゲキレンジャーのレンジャーキーを手に取った。
「「「「「ゴーカイ大激激獣!!!」」」」」
そしてそれを舵輪型の操縦桿に差し込むと、ゴーカイオーの両腕と両足、そして胸からゲキタイガー、ゲキチーター、ゲキジャガー、ゲキウルフ、サイダインを模したエネルギー体が飛びだし、スゴーミン達を吹き飛ばしてしまった。
「「「スゴー!!?」」」
「やったか……手間取らせやがって」
「今日も楽勝だったねマーベラス」
「鎧がもっと早く来てくれればもっと楽勝だったんだけどねえ……」
「すみませんみなさん……あれ?」
その時、鎧は豪獣ドリルの中で何か異常が起きている事に気付く。
「どうした……故障でもしたか?」
「い、いえ、なんか豪獣ドリルの中に誰かいるみたいで……」
「もしかしてザンギャックでしょうか?」
「調べる必要があるか……」
そう言ってマーベラス達は豪獣ドリルに乗り移ろうと変身を解いた。
「ん? なんだアレ?」
するとゴーカイグリーンのドン・ドッコイヤー(仇名はハカセ)はゴーカイオーの足元で何かが紫色に光っている事に気付く。
「どうしたハカセ?」
「いや、なんか僕らの足元に変な光が……」
「あれって……魔法陣でしょうか?」
ゴーカイピンクのアイムがそれに気付いた瞬間、突如魔法陣は巨大な穴となってゴーカイオーと豪獣ドリルを飲み込んだ。
「……!!? なんだ!?」
「ザンギャックの罠か!?」
「ちょ!? 何なの!?」
「うわあああああ!!! 落ちるううううう!!!?」
「きゃああああああ!!!」
「うおわあああああ!!!」





その様子を、避難していた街の人々も目撃していた。
「お、おい!? ゴーカイオーが消えたぞ!?」
「一体どうなっているんだ……!?」
するとそこに、防弾チョッキに身を包んだ兵士達が人々の前に現れた。
「皆さんここは危険です! 我々シティーガーディアンズの指示に従って速やかに避難してください!」
人々はシティーガーディアンズと名乗った兵士達の指示に従い、落ち着いた避難を開始した……。



その様子を、黒いベンツの中からサングラスに高級そうなスーツに身を包んだ30代ぐらいの男が見ていた。
「会長……ゴーカイジャーが……」
ベンツの運転手が不安そうにその男に声を掛ける。
「……我々も住人達と一緒に避難するぞ、ここもそろそろ危ない……」
そう言って男は車を発進させるよう指示を出そうとしていた、その時……。
「!!?」
突然男は車から飛びだしサングラスを外した。
「会長? 一体どうしたんですか?」
「……!」
サングラスを外した男の視線の先には、シティーガーディアンズの格好をした青年が立っていた。そして男は震えながら口を開いた。



「直人……! どうしてお前がここに!?」










この日、ゴーカイジャーは忽然とこの世界から姿を消した……。











地球の平和と、人々の笑顔を守り続けてきた34のスーパー戦隊、宇宙帝国ザンギャックとの戦いで失われたその力を受け継いだのは、とんでもない奴らだった!! その名は……!!

「「「「「「海賊戦隊! ゴーカイジャー!!」」」」」」

そして奴らは今、ある少女の“未来を変えたい”という願いを受けて、異世界への冒険に旅立とうとしていた……!









今回はここまで、次回はゴーカイジャーの面々がレオ姫に召喚される話……にしようと思ったんですけど、召喚ってミルヒ達にしか使えないんですね、おかげで無駄に原稿用紙三枚分ぐらい書いちゃいました。
次回はマーベラス達が事故でフロニャルドに召喚される話になります。投稿は明日になります。



[30030] 第一話「フロニャルドに豪快に参上!」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:cb9981f1
Date: 2011/10/07 21:45
第一話「フロニャルドに豪快に参上!」


動物の耳や尻尾を持った種族達が暮らす、地球とは隔絶した異世界フロニャルド、その世界はビスコッティ共和国とガレット獅子団領国という国が、“戦争興業”という戦争に似たアスレチック競技で互いに競い合っていた。

そしてここは召喚の儀式をするための祭壇の上……そこでビスコッティ共和国の領主、ミルヒオーレ・F(フィリアンノ)・ビスコッティは連敗続きのビスコッティを救うため、異世界からの勇者召喚の儀を行っていた。
(お願いです勇者様……私の声に答えて……!)

すると突然、上空に魔法陣のようなものが現れ、そこから金髪で学生服を着た少年が赤い閃光になって落ちてきた。
「うわああ~!?」
少年は着地の仕方がわからず空中でじたばたしていたが、そのまま花のつぼみのようなものに包まれて難なく着地することに成功する。
「あいててて……な、なんだここ……?」
少年はあたりを見回し、そのままミルヒと視線が合う、対してミルヒは嬉しそうに尻尾を振りながら少年に話しかけた。
「初めまして、召喚に応えてくださった勇者様でいらっしゃいますね?」
「勇者?」
少年は何のことか解らず首を傾げる。
「私、勇者様を召喚させていただきました。ここビスコッティ共和国フィリアンノ領の領主を勤めさせております、ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティと申します」
「あ、僕はシンク・イズミです」
「勇者シンク様ですね、存じ上げております」
シンクと名乗った少年は丁重に自己紹介してきたミルヒに対し丁重に自己紹介する。
するとミルヒの元に、短剣を咥えた赤いマフラーを首に巻いた犬が近づいてきた。
「タツマキ! 勇者様のお出迎え大義でした!」
「ワフッ!」
「勇者様に於かれましては、召喚に応えて頂き、ここフロニャルドにお越し頂きまして誠にありがとうございます、私達の話を聞いて頂き、その上でお力を貸して頂くことは可能でしょうか?」
「えと、あの……とりあえず話を聞かせてもらえるとうれしいです……」
どんどん状況が予測不能の方向に変化していき、シンクは頭の中が混乱していた。その時……。
「ワンワン! ワン!」
タツマキが突如空に向かって吠え始めたのだ、よく見るとシンクが出てきた魔法陣が、役目を終えて消えるはずなのにまだ存在していたのだ。
「タツマキ? どうかしたのですか?」
「あれ……?」
ふと、シンクはその魔法陣から何か巨大なものが出てくることに気づく。
「ロボット……?」
その巨大な海賊帽を被ったロボットは、そのまま魔法陣の中からずるりと這い出てシンク達の元に落ちてきた。
「わあああああ!! 危ない!」
「きゃ!!?」
シンクは咄嗟にミルヒに飛びつきその場から去る、そして彼らのいた場所にズシン……と巨大なロボットが落下してきた。
「な、な、な!!?」
「ふええええ! なんですかこれー!?」


数分後、そのロボットの中から人影が五つ這い出てきた。
「いててて……なんだ急に……?」
「ちょっとハカセ! どこ触ってんのよ!?」
「おぐっ!!?」
黄色いスカーフを首に巻いた女性は金髪のボサボサ髪の青年の腹をひじ打ちする。
「ここはどこなんでしょう……先ほどいた場所とは随分と違う所のようですが……」
「これもザンギャックの仕業か?」
「ん……?」
ふと、赤い海賊のコートを着た青年はミルヒとシンクの姿を見つける、一方はいかにもお姫様といった感じのドレスを身に纏い、もう一方の少年は学生服を着ていることから地球人だということがわかる。
「おいそこのお前ら! ここはどこだ!!?」
「え、えっと……」
ミルヒはものすごい形相で自分の元に駆け寄ってきた五人組に戸惑いながらも、シンクを交えてこの世界の事、シンクを勇者として召喚した事などを説明した。


「ぼ、僕が勇者……?」
「こいつの事はどうでもいい、それでなんで俺たちまでここに連れてこられたんだ?」
そう言ってズイズイとミルヒに迫る男、そんな威圧的な彼を見てミルヒは、
「そ、それが私にもよく……私が召喚したのはそこにいる勇者様だけなので……」
「もしかしてワタクシ達……なんらかの原因でその勇者召喚の儀式とやらに巻き込まれてこの世界に来てしまったのかもしれません」
「そんなことありうるのかハカセ?」
「僕に聞かれても……」
ハカセと呼ばれたボサボサ髪の青年は仲間たちからの質問に頭を抱えていた。
「なんにせよゴーカイオーがこんな状況なんだ、帰るにしたってこれを直してからじゃないとな」
「そうね……あのさ、アンタミルヒだっけ? この辺に一旦休めるところ無いの?」



数分後、ミルヒ達は儀式の祭壇からゴーカイオーを除けて、改めて互いに自己紹介を始めた。
「俺はキャプテン・マーベラス、この船の船長をしている」
「ジョー・ギブケンだ……」
「私はルカ・ミルフィよ」
「僕はドン・ドッコイヤー、みんなからハカセって呼ばれているんだ」
「ワタクシはアイム・ド・ファミーユと申します」
「船長……? ってことはみなさん海賊なんですか?」
シンクはゴーカイオーが海賊船の形……ゴーカイガレオンに変形したのを見て彼らが海賊だということに気づく。
「ああ、今は“宇宙最大のお宝”っていうお宝を探して地球を旅している」
「見たところ君も地球人みたいだけど……僕たちの事知らないの?」
ハカセの質問に、シンクは首を横に振る。
「僕は日本で暮らして長いですけど……みなさんの事とかその……宇宙帝国ザンギャック? そういうの全然聞いたことないです」
「変だな、奴らがあれだけ暴れているのにそれを知らないなんて……」
「んなもんどうだっていいだろ、問題はこれからどうするかだ」


その時、辺りにボンと花火のような音が鳴った。
「いけない! もう始まってる!」
そう言って立ち上がるミルヒ。
「始まるって……何が?」
一同の質問に、ミルヒは胸を張って答える。
「我がビスコッティは今、隣国と戦争をしているのです!」
「「「「「「戦争!!?」」」」」」





数分後、シンクとマーベラスたちはミルヒに戦場が一望できる高台に連れてこられた、そして彼らの眼下には人と人とが殺しあう血みどろの地獄が……!


「えいえーい!」
「わふーん! やられたー!」
「いけいけー! 今日こそビスコッティに引導を渡してやれー!」
「ガレットなんかには負けないぞー!」


展開されておらず、獣耳や尻尾を生やした兵士たちが障害物や敵からの妨害を掻い潜りながら目的地に向かっていく様子が広がっていた。
「うわーなんだアレ!? 楽しそう!」
「あれが戦争? 随分と平和的ね……」
「以前地球のテレビ番組でやっていたものと似ていますね、SA○UKEでしたっけ?」
「どう見ても遊んでいる風にしか見えないが……これが戦なのか?」
「人が死んだりするのか?」
「とんでもない! 戦は大陸全土に敷かれたルールにのっとって正々堂々と行うものですから、怪我や事故がないよう努めるのは戦開催者の義務です。もちろん国と国との交渉の一手段ではありますから、熱くなってしまうことも時にあります。だけどフロニャルドの戦は国民が健康的に運動や競争を楽しむための行事でもあるんです」
ミルヒの説明にしっかり耳を傾けるシンクとマーベラス達。そしてミルヒは徐にシンクの手を握った。
「敗戦が続いて、我々ビスコッティの領民や騎士達は寂しい想いをしています、何よりお城まで落とされたとなれば、ずっと頑張ってきた皆がとてもしょんぼりしてしまいます」
「しょんぼり?」
「しょんぼりです……」
「……」
シンクは暗い顔をしているミルヒの顔を見てしばらく考え込む、そして……答えを出した。
「えと……姫様」
「あ、はい」
「僕は……この国の勇者?」
「はい、私達が見つけて、私が迷うことなくこの方と決めた、この国の勇者様です」
するとシンクは自分の手の右手を掴むミルヒの両手を左手で掴んだ。
「うん! じゃあ姫様の召喚に応じて、皆をしょんぼりさせないように……勇者シンク、頑張ります!」
シンクの答えに、ミルヒは尻尾を目一杯振って喜んだ。
「ああ……! ありがとうございます!」


一方、その様子を少し離れた場所で見ていたマーベラス達は、自分達は今後どうするか話し合っていた。
「ねえ、僕達はこれからどうするのマーベラス?」
「ワタクシは……折角ですしこの世界をもう少し見て回りたいですわ」
「俺はここの戦とやらに興味が沸いてきた……腕試しにちょうどいい」
「私はパス、ザンギャックと戦うならともかくここで戦っても一銭の得にもならないじゃない」
するとルカの話を聞いていたミルヒが補足を付け加える。
「あ、手柄を上げた人ほど沢山報酬をあげる事ができますよ」
「やろうマーベラス!」
お金の事になると目の色が変わるルカ、まあ彼女がこうなったのも色々あったわけだが、

そしてマーベラスはしばらく考え込み、ミルヒに話しかけた。
「おい犬姫」
「むう、私はミルヒオーレです!」
犬姫なんて言われて頬をぷくっと膨らませて不満そうにするミルヒ。
「お前の言う戦……少し興味が沸いてきた、俺達にも参加させろ」
「え、でも……」
ミルヒは偶然この世界に迷い込んだ彼らを戦に参加させていいものかと少し悩んだ、するとマーベラスはさらに言葉を続ける。
「なあに、お宝探しの合間のちょっとした息抜きさ……ただしこの一戦やったらすぐに元の世界に帰らせてもらう、ボヤボヤしているとあの野郎に宝を横取りされるからな……皆もいいな?」
マーベラスの問いに、他の4人はうんと頷いた。
「あ、ありがとうございます! では早速城に参りましょう! 武器も装備もそこに保管してありますので!」
しかしマーベラス達はミルヒの申し出を断った。
「いや、いい……俺達にはコレがあるからな」
そう言ってマーベラス達五人は、ポケットから携帯電話らしきもの……モバイレーツを取り出して見せた……。





数十分後、城の前の戦場ではビスコッティ軍がガレット軍の猛攻に圧されて撤退しようとしていた。
「く、くそ! 全然歯が立たない! 退却! 退却―!」
「はっはっは! 逃げてもダメだ! 追撃―!」
撤退するビスコッティ軍を追いかけるガレット軍、その時……戦場にいた兵士達の何人かが空の異変に気付いた。
「ん……? おい、空から何かくるぞ」
「あれは……海賊船!?」
兵士達は上空に空を飛ぶ海賊船を発見し驚く、するとそこから……マーベラス五人がロープを伝って下りてきた。
「誰か降りてきたぞ!?」


一方、地上に降りてきたマーベラス達はガレットの大軍を見て様々な反応を見せていた。
「うわあ、敵があんなに沢山……!」
「ハカセ、ビビってんじゃないわよ、コレ全部倒したらどれぐらいもらえるかしらね?」
「ゴーミン達の相手に少し飽きてきたところだ」
「ではマーベラスさん、参りましょうか」
「ああ」
そう言って5人が出撃しようとした時、戦場にミルヒの放送が鳴り響いた。
『みなさんお待たせしました! 近頃敗戦続きの我らがビスコッティですが、そんな残念展開は今日を限りにおしまいです! ビスコッティに希望と勝利をもたらしてくれる、素敵な勇者様と……とても勇敢な海賊さん達が来てくださいましたから!』
ミルヒの放送に戦場は騒然とする、すると上空に浮いている箱型のモニターに、動きやすい軽装に白いマント、手には長い棒状の武器、そして青い鉢巻を頭に巻いたシンクが映っていた。
『華麗に鮮烈に、戦場にご登場いただきましょう!』

「ふっ!」
シンクは白い棒……ビスコッティの宝である神剣パラディオンを変化させた物を空中に高く放り投げて、そのまま見張り台から飛び降りて着地と同時にパラディオンをキャッチする。そしてくるくる回した後……華麗にポーズを決めて
「姫様のお呼びに預かり、勇者シンクただいま見参!!」
堂々と名乗りを決めた。

それを見たマーベラス達は、シンクの名乗りに感化されていた。
「こっちも負けていられないな、マーベラス」
「ああ、俺達もやるか」
そう言ってマーベラス達五人は、腰に巻いていたベルト……ゴーカイバックルからレンジャーキーを取り出す。そして右手で持ってレンジャーキーを揺らして足のパーツをあげて鍵の部分を出すと、それを前に突き出した。
「「「「「ゴーカイチェンジ!!」」」」」
そのまま体を捻って左手に持っていたモバイレーツにレンジャーキーを差し込み回す、するとモバイレーツの上の部分はサーベルが交差しているような×の形に変形する。
『ゴォーーーーーカイジャー!!!』
そしてモバイレーツを前に突き出すとそれぞれ赤、青、黄、緑、桃色の×マークのオーラが現れ、マーベラス達の体に何度も張り付いて行く、そして五人は海賊帽をモチーフにしたヘルメットを被った戦士に変身する。

「ゴーカイレッド!」
「ゴーカイブルー!」
「ゴーカイイエロー!」
「ゴーカイグリーン!」
「ゴーカイピンク!」

そして五人は宇宙に浮かぶ黒い海賊旗をバックに一斉に名乗りを上げた。
「海賊戦隊!「「「「ゴーカイジャー!!」」」」」


地球を守り続けたスーパー戦隊が、異世界であるフロニャルドに降臨した瞬間であった。
「派手に行くぜ!!」
この勇者と海賊たち、ノリノリである!!










一方その頃、フロニャルドのどこかにある深い森の中では……。
「マーベラスさ~ん! ジョーさ~ん! ルカさ~ん! ドンさ~ん! アイムさ~ん! どこ行ったんですか~!!?」
忘れられたゴーカイジャーの六人目が迷子になっていた。










今日はここまでです。ゴーカイチェンジを文章で表現するのに滅茶苦茶手間が掛かった……。
次回はゴーカイチェンジ祭り第一弾! 君のお気に入りの戦隊は出てくるかな!?(CM風)投稿は明日になります。



[30030] 第二話「激突! 勇者と海賊対獅子団!」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:cb9981f1
Date: 2011/10/07 21:29
 第二話「激突! 勇者と海賊対獅子団!」


戦場の上空にあ実況席で、実況を担当するガレット獅子団の報道員フランボワーズ・シャルレーは、突然のシンクとゴーカイジャーの登場に興奮を隠せないでいた。
『ななななんとビスコッティは勇者召喚だけでなく強力な助っ人まで準備していました! これはこの戦の行方……解らなくなってきましたねえ!』
そう言ってシャルレーは隣にいた解説のバナード・サブラージュとガレットの領主の側役のビオレに問いかける。
『ええ、勇者召喚は私も初めて見ました、それにあの五色の戦士達……海賊と名乗っていましたが……』
『皆さんも勇者や海賊さん達に負けないよう頑張ってくださいねえー』



一方マーベラスらゴーカイジャーの五人組はさっそくガレットの大軍に突っ込んでい行った。
「ねえマーベラス! 本当に銃で撃ったり剣で切り付けたりして本当に大丈夫なのかな?」
「犬姫が大丈夫だって言ってたから大丈夫だろ」
その時、ガレットの兵の一人がマーベラスに切りかかってくる。
「うおおおお!!」
「ふん」
マーベラスはそれに動じることなく、手に持っていたゴーカイガンの引き金を引いて銃弾を兵に充てる。
「にゃ! にゃふーん!」
すると兵はボンと煙を上げて猫の顔をしたクッションのようなもの……ねこだまに変化してしまった。
「わあ! なにこれー!!」
「すごくかわいいですわ!」
ゴーカイイエローに変身したルカとゴーカイピンクに変身したアイムはその可愛らしい風貌にメロメロだった。
「なるほど、これがフロニャ力の加護って訳か……」
マーベラス達は出撃する前、ミルヒによってこの戦場のルールとこの土地を守護するフロニャ力について説明を受けていた、それによるとフロニャ力は人を守護する力が備わっており、ちょっとやそっとの攻撃では人が死んだり傷つくことはなく、代わりに大きなダメージを受けるか背中か頭をタッチすることによってけものだまに変化するというのだ、ただしマーベラス達やシンクはこの世界の人間ではないのでダメージを受けてもけものだまに変化しない。
「はっきり言って都合の良すぎる設定だな……」
「それを言っちゃだめだよジョー……なんにせよこれで遠慮なく暴れられる訳だから」
そう言ってハカセはねこだまの顔を指でつつく。
「にゃふっ、にゃふっ」
「それじゃそろそろ……派手に行くぜ!」
そしてマーベラスの号令のもと、他の四人はそれぞれガレットの大軍に突っ込んでいった。



「うおおおおお!!!」
まず数十人のガレットの兵達がルカとアイムに襲い掛かってくる。
「いくよアイム!」
「はい! ルカさん!」
対してルカとアイムはすれ違いざまに兵達をゴーカイサーベルで斬り、そのままゴーカイガンの銃弾を取りこぼした兵達に向けて発射した。
「にゃにゃふーん!」
「くそ! こいつら強いぞ!」
「ひるむな! 相手はたった二人の女……取り囲めば!」
そう言ってガレットの兵達はルカとアイムを引き離すように取り囲む。
「ルカさん!」
「はいよ!」
するとルカはゴーカイガンを、アイムはゴーカイサーベルをそれぞれ相手に向けて放り、武器を交換して二刀流になった。
「なっ!? 武器を交換した!?」
「そらそらそらそらー!!」
「はぁ!!」
ルカはそのまま回転するように二本のゴーカイサーベルで周りのガレットの兵達を切り捨てていき、アイムは高く飛び上がって回転しながら二丁のゴーカイガンの銃弾をガレットの兵達に浴びせた。
「にゃふにゃふにゃふーん!!!?」
そしてアイムとルカを取り囲んでいたガレットの兵達は全員ねこだまになって全滅した……。
「へへ! やったあ!」
「これ一個だけお持ち帰りしてもいいでしょうか?」
「にゃふ~」
上々の戦果に喜ぶルカを後目に、アイムは近くに転がっていたねこだまを拾い上げて頭を撫でてあげた……。



一方ハカセは大勢のガレットの兵達に追いかけられていた、まあ簡単に言えばピンチである。
「うわああ!! こっちに来ないでよ~!」
「まずはあの弱そうな奴から片づけるぞー!」
「なっ! 失礼な……うぇっ!!?」
その時ハカセは地面に転がっていたいぬだま(ビスコッティの兵がやられた時の姿)を踏んで転んでしまった。
「わふん!」
「いてて……誰だよこんなところにこんなもの置いたの……」
「スキありー!!」
するとその様子を見ていたガレットの兵の一人が地面に転がっていおるハカセに襲い掛かった。
「なんの!」
しかしハカセはその攻撃を後転して回避する。
「このっこのっ!!!」
「にゃふーん!!」
そのまま勢いで起き上がったハカセは、左腋に先ほど踏んづけたいぬだまを抱えながら、空いている右手でゴーカイガンの引き金を引いて自分を追ってくるガレットの兵達の数を少しずつ減らしていく、そして彼はねこだまやいぬだまが大量に転がっている場所に移動し……。
「ヘイパス! パス!」
追いかけてくるガレットの兵達に(抱えていた物も含めて)いぬだまとねこだまを次々と投げつけた。
「うにゃーん!!」
「わわーん!」
「うぉっとっとっと!!?」
突然仲間だったものをパスされてひるむ前列の兵達、そんな彼らにハカセは……。
「とぉー!!」
ドロップキックをお見舞いして前列の兵達を仰向けに転ばせた。
「うわああああ!!!」
「ば、バカこっちに倒れてくんな……ひええええ!!」
前列の兵に巻き込まれてまるでドミノのように倒れていく後列の兵達、それを見たハカセは……。
「今のうちに……!」
こっそりとその場から逃げだした……。



一方その頃、ジョーは襲い掛かるガレット兵達にひるむことなく、次々と切り伏せてねこだまに変えていった。
「くそ! こいつ片手しか使っていないのに強いぞ!」
ジョーはゴーカイガンを持っている左手を背中に回し、ゴーカイサーベルを持っている右手だけで戦っていた。
「俺は剣士だからな……」
「ひいいー強い! もしかして俺達貧乏くじ引いた!?」
そう言ってジョーを取り囲む兵達は自分たちの不運を呪った、その時……。
「ぶるあああああ!!!」
突然ジョーの頭上から鎖で繋がれた鉄球のようなものが振り下ろされる、しかしジョーはそれを難なく回避した。
「今のは……」
「ほぉーう? 今の攻撃をよけるとぅはな?」
そこに大きな斧を持った大男が現れる、斧には鎖が付いておりそれは先ほどの鉄球と繋がっていた。
「ご、ゴドウィン将軍だ! ゴドウィン将軍が来てくださったぞ!」
先ほどまで絶望に満ちていたガレット兵達に希望が戻ってきていた。
「ふん! 不甲斐ない兵共に檄を飛ばしに前線にきてみればぁ、中々強そうな者がおぉるではないくぁ!」
(なんだこいつの喋り方……)
そしてゴドウィン将軍と呼ばれた男は巨大な斧をぶんぶん振り回し、刃先をジョーに向けた。
「海賊ぅ! 貴ぃ様はこの俺が直々に討ぅち取ってやろうぅ!!」
「やってみろ……!」
ジョーは強大な敵に恐れおののくことなく、瞳に熱き闘志を宿してゴドウィンに向かって行った。



『な、なんという強さ! 姫様が連れてきた助っ人たちがこれほどまでに強いとは!』
『チームワークもなかなか、戦い方も個性的ですね』
シャルレーとバナードはゴーカイジャーの戦いを見て実況を続ける。
『それでは勇者のほうはどうなったか見てみましょう!』



その頃マーベラスは戦いながら移動しているうちに、見知らぬ緑髪の垂れ耳少女と一緒に戦っているシンクを発見する。
「シンク……お前か」
「あ! マーベラスさん! その恰好カッコイイですね!」
「お前か……勇者と一緒に召喚された海賊っていうのは……」
垂れ耳の少女はマーベラスを警戒心を含めた瞳で睨み付けた。
「ん? なんだこの垂れ耳?」
「この垂れ耳はエクレ、姫様の親衛隊の隊長で僕にここでの戦いを教えてくれた子なんです」
「エクレール・マルティノッジだ、ていうか垂れ耳って言うな!」

「「「「「おおおおおおおおお!!!!」」」」」
すると彼らの元にガレット兵の大軍が襲い掛かってきた。
「のんびり自己紹介している場合じゃなさそうだ……!」
「勇者! 紋章砲を使うぞ! さっき教えた通りにな!」
「わかった!」
そう言ってシンクは腕に、エクレは二本の短剣を交差させて紋章を浮かび上がらせる、すると彼らの後ろにそれよりも数十倍大きい紋章が出現する。
「面白そうじゃねえか、俺も混ぜろ!」
それを見ていたマーベラスはゴーカイサーベルのレンジャーキー差し込み口に自分のゴーカイレッドのレンジャーキーを、ゴーカイガンのレンジャーキー差し込み口にはゴレンジャーのアカレンジャーのレンジャーキーを差し込み、同時にセットする。

「二倍……三倍!」
「今だ! フロニャ力を気力に変えて武器から撃ちだすんだ!!」
シンクとエクレは精神を集中させて背後の紋章をズンッズンと大きくしていく。

『ファーーーーーーイナルウェィーーーーーーブ!!!!!』
一方マーベラスはゴーカイガンの銃口を迫りくるガレット軍に向けた。

「「はああああああ!!!」」
「ゴーカイスクランブル!!」
シンクとエクレが紋章砲を、マーベラスが引き金を引いたのはほぼ同時だった、そしてマーベラスは放たれたエネルギー弾にゴーカイサーベルの斬撃を当てる、するとエネルギー弾と斬撃は一つに混ざり合い、そのままガレット軍にぶつかっていった。
「うにゃっふーん!!!!?」
ガレットの兵達はシンクとエクレの紋章砲とファイナルウェーブの直撃を受けて高く吹き飛ばされ、そのままねこだまの雨になって落ちてきた。
「へっ、ファンシーな奴らだ」
(な、なんて奴だ、紋章砲に匹敵する力で……!)
エクレは見たことのない力で兵達を倒してしまったマーベラスの力に驚く、すると彼の元に他の四人の仲間たちが集まってきた。
「マーベラス~!」
「げ! アンタ敵まで連れてきてるじゃない!」
「ジョーさんも……何か大きな男の人と戦っているようですわ」
「すまない、少し手こずった」
「ぶるあああああ!! むぁてぇぇぇぇ!!」
さらに集まってくるガレットの兵達と、ジョーを追いかけてきたゴドウィン将軍。
「ゴドウィン将軍までいるのか……!」
「よし! ここはもう一度さっきの技で!」
そう言ってシンクは再び紋章砲を使おうとするが、エクレに止められてしまう。
「馬鹿者、紋章砲はそう何回も使えるものじゃないんだ、使う度に体力を消耗するんだぞ」
「そ、そういえばなんだか相当疲れたような……」
するとシンク達の前にマーベラス達ゴーカイジャー五人が立ちはだかった。
「それじゃ……ここは俺達に任せてお前たちは休んでな」
「まだまだ暴れ足りないしね! もっと手柄立てて報酬貰わないと!」
勇ましくするマーベラス達、そんな彼らをシンクは心配していた。
「だ、大丈夫なんですか? 敵はまだまだいっぱい……」
「ワタクシたちにお任せを」
そしてゴーカイジャー五人は一歩前に出て迫ってくる援軍に向かい合った。
「さて……相手は猫だしな、少し遊んでやるか」
「じゃあさ! これ使ってみようよ!」
そう言ってハカセはバックルから黒いレンジャーキーを取り出す。
「いいだろう……いくぜ!」
対して他の四人もレンジャーキーを取り出し、先ほどのようにそれをモバイレーツに挿入した。

「「「「「ゴーカイチェンジ!!」」」」」

すると彼らの目の前に先ほどの×マークの紋章とは違うものが出現し、彼らの体に入っていく。
『ゴォーーーーーーグルファイブ!!!』
ゴーカイジャー五人は宝石のレリーフが付いた黒いゴーグルが特徴的な戦隊……大戦隊ゴーグルファイブに変身した。


『おっーーーーーと!? なんと五人の姿が再び変わったーー!!?』
『どうやら彼らは戦況に合わせて姿を変えることができるようですね』
『すごいですね~』


「すっげえ!! かっちょいい!!」
「す、姿が変わった!?」
シンクとエクレは初めて見る別戦隊へのゴーカイチェンジに驚愕する、それは向かってくるガレットの兵達も同じだった。
「姿が変わったからってなんだっていうんだ! 皆かかれー!!」
「うおおおおお!!!」
勇ましく突撃してくるガレットの兵達、しかしマーベラス達は臆することなく、分散して迎撃にあたった。

「ブラッククラブ乱れうち! よっ! ほっ!」
「あがががが!!!」
ゴーグルブラックに変身したハカセはブラッククラブの連打で迫ってきた兵達を倒していく。

「イエローボール! そりゃー!!」
「うわあああ! ボールが巨大化したー!!」
ゴーグルイエローに変身したルカは巨大化させたイエローボールで兵達を轢いていく。

「ブルー大車輪!」
「うわああああ!!」
「ぬうぅ! なかなかやるなぁ!」
ゴーグルブルーに変身したジョーはブルーリングを体で回しながらゴドウィンが率いる兵達を次々と吹き飛ばしていく。

「ピンクハート催眠!」
「ん? なんだこのビー……Zzz……」
ゴーグルピンクに変身したアイムは指から出したハート型の光線で兵達を眠らせていく。

「うぉのれえええい!! 海賊どぅもめえええい!」
次々とやられていく兵達を歯がゆく思いながら、ゴドウィンはリーダー格のゴーグルレッドに変身したマーベラスに向かっていく。
「へっ……! クライミングアタック!!」
対してマーベラスはレッドロープを近くの見張り台に巻きつけ、そのままターザンのようにぶら下がって勢いよくゴドウィンにキックする。
「ぬうぅっ!!?」
「おらおらおら!!」
「にゃふーん!!」
マーベラスはそのまま周りにいたガレットの兵達を次々とねこだまにしていく。

「みなさん、次はこれでいきませんか?」
兵がだいぶ減ってきたのを確認したアイムは、新たなレンジャーキーを手に取った。
「おっしゃ! 行くぜ!」
「「「「「ゴーカイチェンジ!!」」」」」
アイムの意見に賛同した他の四人は、一緒にレンジャーキーを差し込む。
『デェーーーーーーーンジマン!!!』
そして三人は頭の電子チップが特徴的な電子戦隊デンジマンに変身する。


『おーっと! また変身したー!!!? 今度はマフラーを靡かせた戦士だー!!』
『躊躇わない事が愛なんですね~』
『ビオレさんそれ違います』


「「「「「デンジパンチ!!!」」」」」
デンジマンに変身した五人はデンジα鋼製のアタッチメント……デンジパンチを両手に装備して迫ってくるガレットの兵達を次々と殴り飛ばしていった。
「はい! はいはい!」
「にゃにゃにゃ!!?」
「そりゃ! そりゃそりゃ!!」
「うにゃにゃにゃ!!!?」
「ほらほらほら!!」
「ふにゃー!!!?」
「ふん! ふん!」
「にゃにゃーん!」
「オラオラオラオラ!!!」
「ふにゃぁーん!!!」

そして数分後、戦場にねこだまの山が出来上がっていた。
「ふにゃにゃ~……」
「へへへ……一丁上がりってか」
「おのれぇ~い! 小癪なぁ~!!」
部下を大分減らされて怒り心頭のゴドウィンは、持っていた巨大な斧を地面に突き刺し地面を抉った。
「まだ大分残っているな……」
「じゃ、これで仕上げと行く?」
そう言ってルカは黄色いレンジャーキーを見せる。
「こいつか……よし!」
そう言って他の四人も新たなレンジャーキーを取り出し、それをモバイレーツに差し込んだ。
「「「「「ゴーカイチェンジ!!!」」」」」
『ゴォーーーーーーーレンジャー!!!』
五人は初代スーパー戦隊にして偉大な五人の戦士……秘密戦隊ゴレンジャーに変身した。

『またまた変身!!? また変身!! 一体彼らは変身形態をいくつ持っているのくぁー!!?』
『数によっては覚えるのが大変そうです』
『歌とかあれば覚えやすいんですけどねえ~』

「ミドメラン!!」
「ブルーチェリー!!」
まずミドレンジャーに変身したハカセとアオレンジャーに変身したジョーがゴドウィンに遠距離攻撃を行う。
「あぁまいわ!!」
しかしゴドウィンはそれをすべて叩き落とす。
「イヤリング爆弾!!」
その隙にモモレンジャーに変身したアイムがジョーとハカセを飛び越えてゴドウィンにイヤリング爆弾を投げつける。
「ぬう! 小癪な!」
発生した爆煙を払いのけるゴドウィン、するとその中を掻い潜ってキレンジャーに変身したルカが懐に潜り込んだ。
「隙有り!! キーステッカー!」
ルカはそのまま棒の先端に拳のアタッチメントが付いた武器をゴドウィンの腹部にクリーンヒットさせる。
「ぬぐうううう!! おのれぇい!!」
「最後は俺だ! レッドビュート!」
最後にアカレンジャーに変身したマーベラスが鞭型の武器を振りまわすが……
「ぬぁめるなぁ!!」
斧を振りまわして振り払い、そのまま地面に斧を叩きつけて辺りに軽く地震を起こす。
「うお!? なんて野郎だ……!」
これだけ攻撃されてまだまだ元気なゴドウィンに驚くマーベラス、するとそこにアイムが寄って来た。
「マーベラスさん……こうなったらアレを使いましょう!」
「よっしゃ! いくぞ皆!」
「「「おう!!」」」
すると五人は横一列に並び、腰を落として左足を後ろに、左手を前にという構えをとる。
そしてアイムは五色の色に染まったアメフトのボールのようなもの……エンドボールを取り出す。そしてマーベラスは皆に号令を下した。
「ゴレンジャーハリケーン! ヘリウムガス!」

「ヘリウムガス!!?」
マーベラス達が何をするのかと思って見ていたシンクは思わず自分の耳を疑った。

「アタック!!」
そんなことは露知らず一斉に駆け出すマーベラス達。

「ぬう! 何をするつもりかわからぁんが……全力で阻止するのぉみ!」
「おー!!!」
そう言って残ったガレットの兵達はエンドボールを奪うためにマーベラス達に向かって行った。
「ルカさん! はい!」
アイムは早速エンドボールをルカに投げてパスする。
「ほ! よっと! ハカセ!」
エンドボールを受け取ったルカはガレットの兵達の妨害を避けリフティングしながらハカセにエンドボールをキックしてパスする。
「よっと、ナイスパス! ジョー!」
「させるか!!」
「うわ!!?」
ハカセはすぐさまジョーにエンドボールをパスしようとするが、ガレット兵達にタックルされエンドボールを落としてしまう。
「ん? これ……?」
落ちたエンドボールはシンクとエクレの足元に転がって行った、するとハカセが二人に向かって叫んだ。
「二人とも! そのボールをジョーにパスして!」
「えええ!? 急に言われても!?」
エンドボールを拾い上げたシンクは突然の事に動揺する、すると彼らの元にガレットの兵達が接近してきた。
「まてー!!」
「うわわわわ!!! エクレパス!」
「え!? ちょ! いきなり何を!?」
シンクは逃げながらエクレにエンドボールをパスする、そして二人は追いかけてくるガレットの兵達から逃げるため、並んで走りながらエンドボールのパス回しを始めた。
「こんなもんいるか! パス!!」
「ああダメ! パスパス!」
「にゃん! にゃうん!」


『なんだこの光景は~!!!? 傍目から見ると遊んでいるようにしか見えない!!』
『なんかこの光景をみるとバンバラバンバンバンって唄いたくなっちゃいますね~』
『はっはっは、ビオレさん歳いくつなんd



「おい勇者!! 早くあの海賊どもにボール返せ!」
「あそっか!! ジョーさんパス!」
シンクはエンドボールを高く放り投げる。
「ほっ! ……ナイスパスだ」
するとジョーは回転しながらエンドボールをキャッチし、着地と同時に地面にボールを突き刺した。
「マーベラス! クラウディングトライだ!」
「OK!」
マーベラスはそのままジョーに立てられたエンドボールに向かって駆けだし、一回高く飛んで着地してからエンドボールを蹴っ飛ばした。
「エンドボール!!」

「なあ、あれ……一回飛ぶ必要はあったのか?」
「いや僕に聞かれても……」

マーベラスに蹴られたエンドボールはそのままヘリウムガスの入ったスプレー缶に変化し、ガスの吸飲口がゴドウィンの口に収まった。
「むぐぐぐ!!?」シュゴー
ゴドウィンはガスを大量に吸ってしまった後スプレー缶を地面に叩きつけた。
「コ、コンナコウゲキキクワケ……ナニ!!?」
するとゴドウィンの声は、一度聞いたら忘れられない個性的な低音から、ヘリウムを吸ったら誰でも出せる没個性な高音に変化していた。
「ソンナ! ワタシカラコエヲトッタラ……!!コエヲトッタラ……! ドナル○ダッグノヤクシカデキナイイイイイイ!!」
ゴドウィンはショックのあまり倒れてしまい、そのまま……チュド――――ン!!! という爆音と共に普通に爆発した。

「わああああ!! 爆発した!!?」
「なんて奴らだ……!!」
シンクとエクレはマーベラス達の個性的すぎる戦いに戦慄する、そして爆煙が晴れると、そこにはねこだまに変化したゴドウィンの姿があった。
「ぶるあにゃーん」

「いくらなんでもその鳴き声はないでしょ……」
「何にせよ敵の親玉は倒せたみたいだ」
「やったあ! 報酬がっぽがっぽよ!!」
「……!! 待ってください! あそこに誰かいます!」
一同が一息つく中、アイムは崖の上に誰かいる事に気付く、そこには……。
「ほう、ゴドウィンをねこだまにするとは……貴様等中々やりおるな」
巨大な鳥……黒いセルクルに乗った銀髪のライオンの耳としっぽを生やした少女が、巨大な斧を持って仁王立ちしていた。

「アレは……ガレット獅子団領主! レオンミシェリ姫!」
「ちっちっち、姫なんて気安く呼ぶでない、ワシはレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ……閣下と呼ばんかこの無礼者が!!」
その瞬間、爆発と共に角を生やした二匹の獅子の紋章がレオの背後に現れる。
「ほう、あいつが大将か……」
エクレの言葉を聞いて不敵に笑うマーベラス、そしてレオは持っていた弓のような武器をマーベラス達に向ける。
「これは挨拶代わりじゃ……受け取れい!」
すると弓から放たれた矢は緑色のオーラを纏ってマーベラス達の元に飛んでいく。
「く!!」
エクレはそれを短剣2本でシールドを展開しながら防ぎ……。
「わああ!!」
「くうう!!」
そのまま後ろにいたシンクに覆いかぶさるように倒れた。
「はっはっは! では……ワシは先に進ませてもらうぞ!」
そう言ってレオは自分の愛騎であるセルクルのドーマに乗って砦の方に向かっていった。

「おい! 俺達も追いかけるぞ!」
「解りました!……ってエクレ邪魔!」
「お前がどけ! 邪魔だ!」
レオを追いかけようとするマーベラス達、しかしシンクとエクレが倒れたままもみくちゃになり身動きが取れなかった。
その時、シンクは自分の手がむにゅっとしたもの掴んでいる事に気付く。
それは……エクレの控えめな胸だった。
「なっ……!!?」
「あ、ごめん……ん?」
シンクはもう一度エクレの胸を揉み、そしてようやく気付いた。
「……女の子?」
「!!!!!?」
エクレは自分が男に間違われていた事にショックで固まってしまう、そして……。
「こ、こ、このスットコ勇者がぁ~~!!!!!」
「なああああああ!!?」

シンクはスコーンと天高く殴り飛ばされてしまった……。

「おお、飛んだなあいつ……」
「ねえ? 追いかけなくていいの?」
「あ! そ、そうだ! 砦を落とされたら……!」
ルカの言葉で冷静になったエクレはすぐさま追いかけようと駆けだそうとする、するとマーベラスは彼女の肩を掴んで止めた。
「待てたれ耳」
「たれ耳言うな!」
「急ぎってんなら俺達が送っていくぜ」
「え?」
そしてマーベラス達は再びレンジャーキーをモバイレーツに差し込んだ。
「「「「「ゴーカイチェンジ!!!」」」」」
『ゴォーーーーーーーーオンジャー!!!』
するとマーベラス達は車と動物が合わさったようなヘルメット、体にはシートベルトを想わせるようなライン、そして両手両足にはタイヤのようなバンドが巻かれた戦士……炎神戦隊ゴーオンジャーに変身する。

『えー……今度は何やら私達の知らない乗り物に変身しました』
『頭の動物っぽい目が可愛らしいですね~』
『ビオレさんまだ顔に返り血が……』

「よし……」
「うわわわわ!? やめろ降ろせ!」
「シンク! 僕の背中に!」
「は、はい!」
ゴーオンレッドに変身したマーベラスはエクレを米俵のように担ぎ、ゴーオングリーンに変身したハカセは落ちてきたシンクを自分の背中に背負う、そして……。
「「「「「レッツ! ゴーオン!!!!」」」」」ブォンブォン!!!
「うわああああ!!?」
「あはははは! はやーい!」
五人は一斉にゴーオンジャーの加速能力を使ってレオを追いかけて行った……。





砦の目の前にあるすべすべ床のすり鉢エリア、そこでガレット軍はビスコッティ軍の妨害と立ちはだかるすべすべな坂を超えることができず苦戦していた、そこにレオが到着する。
「ドーマ! 一気に飛び越えるぞ!」
「クワ!!」
レオはドーマに助走をつけさせ一気にすり鉢エリアを飛び越えようとする、その時……。
「待ちやがれ!」
「「行かせるかー!!!」」
マーベラスやシンク達が後ろから追いかけてきた。
「ほう、もう追いついたとはのう」
「やれ! 垂れ耳!」
「私はエクレールだ!」
「ドンさんすいません!」
「あだ!!?」
近くにあったスキーのジャンプ台のようなもので飛び上がったマーベラスはエクレを空中にいるレオに向かって投げ、同じく飛び上がったハカセはシンクに頭を踏まれて高く飛び上がる為の踏み台になった。
「ふん! そう来たか!」
レオはドーマを踏み台に下へ降りて襲い掛かってきたシンクとエクレの攻撃を回避する。
「「うわあああー!!?」」
二人は空中で激突してしまい、そのまま地面に落下していった。
「ふっ!」
「よっと!」
「はい!」
しかし地面に激突する前にシンクはゴーオンブルーに変身したジョーが、エクレはゴーオンイエローに変身したルカとゴーオンブラックに変身したアイムが受け止めた。
「大丈夫か?」
「はい! ありがとうございます!」
「たく無茶するんだから」
「お怪我はありませんか?」
「ああ大丈夫だ、助かったぞ」

「こう数が多いと面倒じゃ……一気に決めさせてもらう!」
マーベラス達とシンク達が揃ったのを見たレオは、自分の武器である戦斧……グランヴェールを天高く掲げる。すると彼女の背後にまたしても紋章が出現した。
「獅子王炎陣!!」
そして斧を地面に刺し新たな魔法陣を出現させた次の瞬間、レオの周りに数十本の火柱が立つ。そして空からは火の塊があたりに降り注ぎ周りにいたビスコッティ・ガレット両軍を飲み込んだ。
「わふーん!!」
「にゃふーん!!」


「こ、これも紋章術なの!!?」
「レオ姫のはケタが違う! 巻き込まれたくなかったら……!」

「「とにかく逃げる!!」」


「ね、ねえねえなんかヤバいんじゃない!?」
「逃げたほうがよさそうだな」
「逃げるってどこににげるのよ?」
「ではみなさん、これで行きましょう」
「これだな……」

「「「「「ゴーカイチェンジ!!!」」」」
『ジ「大!! 爆!! 破!!」
マーベラス達がゴーカイチェンジするのと、レオ姫がフィニッシュの大爆破を行うのはほぼ同時だった、爆音によってモバイレーツの変身音声はかき消されてしまう、そして戦場には先ほどのレオの攻撃で巻き込まれたいぬだまとねこだまが散乱していた。
『爆破! レオンミシェリ閣下の必殺獅子王炎陣大爆破! 範囲内にいれば立っていられるものはいないという超絶威力の紋章砲! 味方も巻き添えにしてしまうのがたまに傷ですが……それにしてもすごい!!!』
久しぶりにレオの大技が見れてシャルレーは興奮気味に実況していた。そんな彼にレオは大声で話しかける。
「シャルレー! 確認せえ……勇者と垂れ耳と海賊共はちゃんと死んだか!?」
『あ、はい! 今確認します、えーっと……』

その時、地上にいた沢山のいぬだまのうち一匹が空を飛ぶ7つの影に気付いた。
「わわわわん!?(あれはなんだ!?)」
「わん!(鳥だ!)」
「わわわん!(飛行機だ!)」
「わうん……!(いや……!)」

その時、上空から翼を広げた五人の鳥人が地上に舞い降り、レオに向かいあった。
「レッドホーク!」
「ホワイトスワン!」
「イエローオウル!」
「ブルースワロー!」
「ブラックコンドル!」
「鳥人戦隊!「「「「ジェットマン!!!」」」」」
名乗りと同時に五人の背後で大迫力の大爆発が起こる。マーベラス達五人はジェットマンに変身して爆発から逃れていたのだ!

「おっとっと……勇者シンク! ただ今参上!」
「いや、お前は名乗らなくていいんじゃないか?」
少し遅れて紋章術を使って爆発の勢いで空を飛んで逃げたシンクとエクレも降りてくる。


『ななな……なんとっ!? なんとっ!? なんとぉー!!? 海賊と勇者、空を飛んで閣下の超必殺技を回避したぁー!!? こいつらなんでもアリくぁー!!?』


「派手にやってくれたな……倍にして返してやるぜ!」
そう言ってマーベラス達はジェットウィングを広げてレオ姫に突撃していく。
「「ダブルキック!」」
まずはホワイトスワンに変身したアイムとイエローオウルに変身したルカが空中で互いに手をつなぎ、レオに向かって同時にキックする。
「ぬう!! 甘い!」
レオはその攻撃を斧で防ぎ、そのまま衝撃波を放ってルカとアイムを追い払った。
「ブリンガーソード!」
「てやー!!」
続けざまにブルースワローに変身したジョーとブラックコンドルに変身したハカセが剣を持って攻撃を仕掛ける、レオはそれを横っ飛びで回避した。
「ふん、いくら大道芸を用いようとも!」
「「はあああああ!!!」」
「むっ!」
すると今度はシンクとエクレがレオに飛びかかり、彼女と激しい武器のぶつけ合いを開始する。
「はっはっは! どうしたどうした!! お前たちの力はそんなものか!?」
「くっ……!」
レオの武器は大振りの斧であるにも関わらず、シンクとエクレの攻撃を同時にさばいていた。するとそこに……。
「俺を忘れるな!!」
「!!?」
ブリンガーソードを持ったマーベラスがレオに飛びかかった。
「でやああああ!!!」シュパ!
振り下ろされたブリンガーソードはそのままレオ姫の斧を粉々に砕いた。
「わしの武器が……!?」
「「今だ!!」」
そのスキを見逃さなかったシンクとエクレは交差するようにレオ姫に一撃を加える、すると……。
「ぬおっ……お、お、お?」
レオ姫が着ていた甲冑は粉々に砕け、豊満な胸の谷間ときれいに整ったヘソをのぞかせるインナーと、下は尻尾が出しやすいようにローライズになっているジーンズ、といった全国の純粋な青少年には少し刺激的な恰好になってしまった。
「ふむ。最後の攻撃、全く反応できなかった。このまま続けてもよいが、それではちと領国民へのサービスが過ぎてしまうのぉ」
レオはそう言ってセクシーポーズをノリノリで決める。
「では……?」
「うむ、ワシはここで降参じゃ」
そう言ってレオは小さな白旗をパタパタと振った。
その瞬間、ビスコッティの兵達の歓声が辺りに鳴り響いた。

『まさか……まさかのレオ閣下敗北! 総大将撃破ボーナス350点が加算されます! 今回は拠点制圧が勝利条件ですので試合終了とはいきませんが、よほどのことがない限りビスコッティ側の勝利は確実でしょう!!!』

「ん? なんだ、俺達の勝ちか」
「やりましたねマーベラスさん」
シャルレーの放送を聞いてマーベラス達は変身を解く。
「ああ、お主たちの勝ちじゃ……まさか新米勇者と海賊にしてやられるとはのう」
そして周辺に記者たちが集まり、レオにマイクを渡す。
『お主たち……まずは見事だとほめておこう、だが今度同じ活躍ができると思うなよ?』
「へへーん! 言ってろ!」
勝負に勝っていい気になっているハカセはレオを挑発する。そしてマーベラスは記者から受け取ったマイクでレオに話しかける。
『そっちこそ俺達を楽しませるとは中々じゃねえか、気に入ったぜ』
『ふん! よく言う……』
そう言ってレオは自分の持っていたマイクをシンクに投げて渡す。
「今度勝つのは我々じゃ……それまで首を洗って待っておけ」
『はい! 姫様……!』
するとレオはシンクの言葉を遮るように尻尾を立てた。
「閣下」
『閣下! 戦いはすごく怖かったけど……次も負けませんよ!』
「ふ……」
レオは満足そうに微笑むと、尻尾をエクレのほうに向けて記者たちに小声で話しかける。
(撮影班、垂れ耳に寄れ、面白い画が撮れるぞ)
「「「……?」」」
撮影班は何のことか解らず、とりあえずエクレのほうにカメラを向けた。
「え、えーっと……」
マイクを渡され何をしゃべろうか迷っているエクレ、その時……。

―――ビリッ! ビリッ!

「あ」
「ん?」
「お?」
「ええ!?」
「あら?」
なぜかエクレの服はパンツとブーツを残して全部破れてしまった。上半身すっぽんぽんのパンツ一丁の彼女の姿がカメラに収められる。
「なっ……!? なっ……!? ああ!!」
なぜこんなことになったか涙目で考えるエクレ、そして彼女はレオ姫にとどめを刺す際、シンクの武器が自分の体に当たっていた事を思い出した。

『なんと勇者! 味方に誤爆だぁ~!』

「ひゃわあああああ!!!」
エクレはそのまましゃがみこんで自分の体を隠した。
「あ、あちゃー……大変なことに……」
「いつまでも見てんじゃない!」ドゲシッ!
「おぐっ!!?」
ルカはいつまでもエクレのほうを見ているハカセの腹にひじ打ちする、一方アイムは無言で両手でマーベラスとジョーの目を覆っていた。

「はっはっは! 無様じゃのう垂れ耳!」
そんなエクレの様子を見てレオは高笑いし、その声に反応したカメラとマーベラス達の視線がレオのほうに向いた。



この後惨劇が起こったのは、神様がこんな悪戯をしたレオに天罰を与えたからなのだろうか……?

「はっはっは! はっはっはっは!!」
レオは両手に手を当てて笑い続ける、すると……。


―――ビリリリリッ!!!


「はっはっはっは……は?」
なぜかレオのインナーとジーパンが突然破け、彼女もパンツ一丁の姿になって目をぱちくりさせていた、しかもマイクを持っていて胸を隠せていたエクレと違い、彼女は腰を手に当てていたので……モロ見えかと思ったらアニメ特有の“見たかったらBD買ってね!”的な光規制が入っていて見えなかった! 残念!

「にょわああああああああああああ!!!?」
さすがにこれはレオの許容範囲外だったらしく、彼女は顔を真っ赤にして体を隠すようにしゃがみこんだ。
「おわああああ!? 見てません! 僕は見てません!?」
「え!? ちょ! なんであの子の服まで……?」
「あ」
ルカの言葉に、マーベラスは先ほどの戦いを思い出す。





~回想~
『でやあああああ!』シュパ! ←
『わしの武器が……!?』
~回想終了~




そう、マーベラスはレオの武器を破壊する際、勢い余ってレオの服まで切っていたのだ!!!
「悪い、俺だ」
マーベラスは誤魔化そうとせず素直に男らしく自分が犯人だと名乗り出た、しかしごめんで済めばデカレンジャーはいらないのである。

「こ、こ、この大馬鹿海賊がああああああ!!!」
怒り心頭のレオ姫は腕で自分の胸を隠しながら仮面ライダーもびっくりな鋭いとび蹴りを放つ。
「あぶね!!」
「へ?」
マーベラスはそれを身をひねって回避する。そして彼の後ろには……先ほどのルカのひじ打ちの痛みが晴れてようやく顔を上げたハカセがいた。

―――メコォ!!!

「へぶっっっ!!!!!?」
レオ姫のとび蹴りが顔面にめり込み、数十メートル先まで吹き飛ばされるハカセ。そしてレオは涙目になりながらマーベラスに向かって宣戦布告した。
「こんの海賊共!!! よよよくもワシにこんな辱めを……この次は絶対殺す! この世に髪の毛一本残さん!!!!!」
そしてレオはそのまま走り去っていった……。

「あ、おい……」
マーベラスはどうしていいかわからず茫然とする、すると……。
「最低だなお前……」
「マーベラス……最低……」
「最低ですわ……」
ジョーとルカとアイムが、某管理局の白い魔王が言うことを聞かない部下にトドメを刺す時にしていたゴミを見るような目で、自分を見ていることに気付いた。
「な、なんだよ!? わざとじゃねえぞ!!」

その時、吹き飛ばされたハカセの元に行っていたシンクが真っ青な顔でマーベラス達に話しかけた。
「み、みなさん……ハカセさんが……」
「ん? ハカセがどうした?」
「ハカセさんが……息をしていないです」
シンクの右手には、顔がめり込んだままのハカセの、何も反応していない右胸に手が当てられていた。
「「「「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!?」」」」





ドン・ドッコイヤー、異世界フロニャルドでラブコメライダーキックの巻き添えを食らって散る……。









その頃、忘れられた6人目の男、鎧は相変わらず森の中で迷子になっていた。
「みなさーん!!! どこいったんですかみなすわーん!!?」





はたして鎧は無事合流できるのか!!? そして新しいゴーカイグリーンは決まるのか!!? 次回に続く……。










今回はここまで、正直やりすぎた……(汗)
次回はハカセが生き返るために女神様とポーカー対決する話です、嘘です、ちゃんと読めば彼が生きていると解る筈です。

今回出てきた戦隊はゴーグルファイブ→デンジマン→ゴレンジャー→ゴーオンジャー→ジェットマンでした。ジェットマンは変身ブレスレット持っていた思い出深い作品です。

ゴドウィンを倒すゴレンジャーハリケーンは何にするか結構悩みました、(玉ねぎ爆弾かチョコも候補に入っていましたが流石に外道すぎるので×に)んで、ゴドウィンの若本氏ボイスを表現するのが本当に大変だったので仕返しの意味も込めてヘリウムガスにしました。



[30030] 第三話「鳥とお風呂と宣戦布告」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:cb9981f1
Date: 2011/10/12 21:36
 第三話「鳥とお風呂と宣戦布告」


戦終了から一時間後、マーベラス達は豪華な装飾で彩られている城の応接室でのんびりと過ごしていた、そしてその中には命を落とした筈のハカセの姿もあった。
「いやー、ただ気絶していただけなのに皆大騒ぎしすぎだよー」
何事もなかったかのようにのんびりとお茶を啜るハカセ。
「う、うん……そうね……」
「ま、まあ何とも無いならそれに越したことは無い……」
対してマーベラス達四人は何故かハカセから目を反らした。
「? なんで皆目を反らすの?」
「そそそそんなことありませんわ! ねえマーベラスさん!!」
「お、おう! もちろんだ!」



何故マーベラス達がこんなに気まずい態度を取っているのかというと、話は前回の話の直後に遡る……。





「目を覚ましてハカセさん! ハカセさん!」
顔がめり込んだまま動かないハカセに必死に呼びかけるシンク。一方マーベラス達はただただオロオロしていた。
「ど、どうなんだ!? ハカセは生き返るのか!?」
「はやく処置を施さなければ……この場合どうすればいいんだ!!?」
考えてみればマーベラス達には某国民的海賊漫画のように船医が存在しておらず、こういう時の場合の処置が出来る者がいなかった。
「こういうのって急いだ方がいいわよね!!?」
「この場合マウストゥマウスが一番と聞きましたが……」
マウストゥマウス……それは呼吸をしていない人間に心臓マッサージをしながら口で息を吹き込むという立派な医療行為であり、ギャルゲ―やドラマで異性同士がやったら確実にフラグが立つという便利なものである。
「え、えーっと、それってハカセとチューしなきゃいけないんだよね……アイム任せた」
「わ、ワタクシはそういうのは意中の相手にしろと教えられていて……ジョーさん任せました」
「なんで男の俺に振る? ここはキャプテンが体を張って仲間を救う場面だろ」
「いやー、男同士はさすがにヤバいだろ……ルカ任せた」
仲間の命が掛かっているのになすりつけ合い……これはもう海賊なのでという言い訳も通じない、するとそこに……。
「うぉまえら! 一体どぅしたというのどぅわ?」
ねこだま状態から回復したゴドウィンが駆けつけてきた。
「ゴドウィンさん、実はかくかくカクレンジャーで……」
「むぁるまるむぉりもりみぃんなどぅわいすきーと言う訳か……それはイカン! くぉのままではレオ閣下に殺人の前科がついてしまぁう!! いよし! ここはわたしがじぃんこうこきゅうをしてぃやろう!!!」
「「「「え」」」」
何を言っているか解らず目が点になっているマーベラス達を尻目に、ゴドウィンはハカセの顎をあげて気道を確保する。
「でぇは……ぬぁムサン!!!!」


―――ブチューーーーーー!!!
それは美事でお手本のようなマウストゥマウスだったとその場にいた者達は後に語る……。


「「うわあ……」」
同じ男として本気でハカセに同情するマーベラスとジョー、そしてアイムはある事を思い出しルカに話しかける。
「あら? そういえばこの世界ってフロニャ力で死ぬ事は無いんじゃ……」
「あれ? それじゃおかしいわよね、なんでハカセ死んでるの?」

すると体にバスタオルを巻いたエクレがシンクに話しかける。
「おいお前……さっきあの男の胸に手を置いていたよな?」
「うん、ちゃんと右胸に……」
「お前の心臓は右にあるのか?」
「…………………あ」



~話は冒頭に戻る~
(すまねえハカセ……!)
(俺達がもっと早く気付けば……!)
(まあ別にいいか、本人は覚えていないみたいだし、悪いのはほとんどシンクだし)
(こうして人は運命の出会いを果たすのですね……)
マーベラスとジョーは本気で反省しているのに対し、ルカはまあいいかといった感じ、アイムはなんだかそっち方面に目覚めそうになっていた。


そんな彼らの様子をドアの隙間から覗きこんでいる二つの影があった。
(姫様、早く皆さんに話さないといけないのであります)
(はうう……ですが……)
前回一行も出番が無かったメインヒロインの筈のミルヒと、今回初登場のビスコッティ国立研究学院の主席研究士、リコッタ・エルマールである。白衣の下からシッポをピコピコ揺らしている様子が可愛らしい。
(どどど、どうしましょう、マーベラスさん達を元の世界に帰す方法がないなんて言ったら……きっと怒りますよねぇ!?)
(うう、しかも彼らは海賊、怒るときっと酷い目に遭わされるであります……)


~ミルヒ達が考える酷い事~

『ミルヒ、御飯だぞー』
→マーベラスはミルヒのまえにいぬまんまをおいた!
『はーい(喜)』
『待て』
『はい?』ピタッ
→ミルヒはうごきをとめた!
『……』
『……? ……!?』
→ミルヒのくちからとめどなくよだれがながれてくる!
『よし、俺達一泊二日の旅行に行くから、ちゃんと待ってろよ』
『きゃうーん!!!!?』
→ミルヒはめのまえがまっくらになった……。


~想像終了~


(あうあうあう~! 考えるだけで恐ろしい~!)


「あれ? 姫様そんなところで何しているの?」
「「ギクギクー!!」」
すると二人は部屋を覗き込んでいる所をハカセに発見されてしまう。
「あ、あははは……みなさんその……お疲れ様でしたー」
ミルヒは怒られるかもしれないという恐怖から体から大量の汗を流していた。
「そこの小さいお方は……?」
「あ、自己紹介が遅れました、私はリコッタ・エルマール、ビスコッティ国立研究学院の主席研究士をやっているであります!」
そう言ってリコッタと名乗った少女は尻尾をぱたぱた振りながら右手でびっと敬礼して自分の名前を名乗った。
「……? つまり学者か、そんな奴が俺達に何の用だ?」
「そ、それがその……あなた達にお伝えしないといけない事がありまして……」





数分後、部屋にマーベラス達の絶叫が響き渡る。
「「「「「帰れない!!?」」」」」
「はい、召喚の儀式は勇者を召喚することは出来ても送還することは不可能なのであります、それ故勇者召喚は慎重に行わなければならないのでありますが……」
「ごめんなさい……! 私が勘違いをしていて、勇者様だけでなくあなた達まで巻き込んで……!」
そう言ってミルヒはすごく申し訳なさそうにマーベラス達に頭を下げた、一方のマーベラス達は予想だにしなかった展開に頭を抱えていた。
「どどどどどどうすんの!!? 僕達帰れなくなっちゃったよ!!?」
「ちょっと!? そんなの聞いてないわよ!」
「参りましたわね……わたくし達がいないと地球がザンギャックに侵略されて大変な事になってしまいます」
「どうするマーベラス?」
「……」
マーベラスはミルヒとリコを見る、彼女達はまるで親に怒られるのを怯えながら待っている子供のように震えていた。
「はあ……しゃあねえな」
その様子を見てマーベラスはすっかり怒る気をなくし、ソファーにドカッと座る。
「お、怒らないでありますか?」
「本気ですまないと思っている奴を怒るほど俺はバカじゃねえ……それに俺達はお前達の勇者召喚の儀って奴に勝手に巻き込まれただけだからな、帰る方法は自分達で見つけてやるさ」
「お二人もお顔をあげてください……」
アイムは落ち込んでいるミルヒとリコを励ます。
「あ、ありがとうございますみなさん! 私リコッタ・エルマールもみなさんを元の世界に返せるよう全力を出すであります!」
「あはは、頼もしいわねアナタ」

その時、マーベラス達のいる部屋に今度はメガネを掛けた赤い髪の知的な女性と、たれ耳の体の大きい騎士風の男が入ってきた。
「姫様、そろそろリハーサルのお時間です、ご準備のほうを……」
「アメリタ? 解りました……ではみなさん、私はこれで……」
そう言ってミルヒはアメリタという女性に連れられて部屋を出ていった。
「……? 姫様はどこに行ったんだ?」
ジョーの質問にリコが答える。
「姫様はこれから戦勝祝いの為のコンサートのリハーサルに行くであります! 姫様はこのビスコッティの領主であると同時に世界的歌姫でもあるのです! えっへん!」
「ほう……あの天然姫がなぁ、所でお前は誰だ?」
マーベラスはこの部屋に入って来た騎士風の男を見る。
「ああ、自己紹介が遅れたね、私はロラン・マルティノッジ、ビスコッティ騎士団の騎士団長を務めている、妹が世話になったね」
「マルティノッジ……? ああ」
マーベラスはマルティノッジという名字と彼のたれ耳を見て、ロランがエクレの兄だという事を理解した。
「あのたれ耳のアニキか……そういやあいつは?」
「エクレは今勇者と共に城下町にいる、いつまでこの世界にいるか解らないからな……この世界の事を少しでも知ってもらう必要がある」
(そういやあいつも元の世界に帰れないんだったな、後で様子を見に行くか……)
「それで? 騎士団長さんが僕達に何の用なんですか?」
「ああ、実は君達の仲間と名乗る者がいてな……案内してきたんだ」
「仲間?」
その時、五人は初めて自分達の間に流れる違和感に気付く。
「あれ? そう言えば誰か足りなくない?」
「そういえばそうね……誰だったかしら」
「うーん……何故か思い出せません……この世界に来た後遺症でしょうか?」
「怖い事言うなよ」
「おいアンタ、さっさとそいつを通してくれ」
「わかった、入ってくれ」
そう言ってロランはドアを開ける、するとそこから……。
「みんな~! ようやく見つけた~!」
「ナビィ!!」
「トリ!」
マーベラス達のマスコット的存在、オウムのような何かのナビィが現れた。
「そうそう! 誰か足りなかったと思ったらナビィだったよ~!」
「ごめんね~! 忘れてて!」
「どうしてここが解ったのですか?」
「いやー、オイラ皆を探してその辺を彷徨っていたらそこのあんちゃんと会って意気投合してさ~、ここまで連れてきてもらったんだよ~」
「そうだったのか……」
「へっ、礼を言わせてもらうぜ」
「はは、これぐらいお安いご用さ」
マーベラス達はナビィとの再会に喜ぶ、もう一人の仲間の事はすっかり忘れたまま……。
「じー……」
そんな時、ナビィはリコが無言で自分を見つめ続けている事に気付く。
「ん? なんだいお嬢ちゃん? オイラに惚れるとやけどするよ~ん?」
「マーベラスさん、この子は一体何者ですか?」
「俺にもよくわからん」
「ほえ~……ちょっと解体してみていいですか?」
「え?」
するとリコは手をわきわきさせながらナビィにジリジリとにじり寄っていた。
「え? ちょ、何? 冗談だよね……?」
「ちょっとだけ、ちょっとだけでありますから……! どんな構造になっているか興味深いでありますよ……!」
どうやらリコはメカっぽいナビィの姿を見て研究者魂に火がついたようだ、すると身の危険を感じたナビィはバッとその場から飛び立った。
「か、解体されてたまっかーい!!」
「待つでありますよー!!」
そして部屋の中で一羽と一匹による愉快な追いかけっこが始まった。

「いやあ、リコッタさんは研究熱心な方ですねえ」
「き、君達止めなくていいのか?」
「俺もあいつの事はよくわからないからな……どういう風になっているかむしろ知りたいぐらいだ」

「うへへへへ! 観念するでありますよ~!」
「んぎゃー! やめてフェイトちゃん……じゃなかったリコッタちゃん!」
ナビィを壁際まで追いつめたリコはそのまま飛びついた。するとその衝撃で棚の上にあった花瓶が倒れてナビィの頭にガチャンと直撃した。
「むぎゃ!!」
「ちょ!? ナビィ大丈夫!?」
頭の上でヒヨコを飛ばして目を回しているナビィを抱き上げるハカセ。
「ハッ! 来た来た来た来たー!」
するとナビィは何かを感じたのかハカセの腕から抜け出した。
「まさか……お宝ナビゲート?」
「……? なんだねそれは?」
「わたくし達はいつもナビィの感じたヒントでお宝を探しているのです」
ロランの疑問にアイムが答える、そしてナビィのお宝ナビゲートの内容はこうだった。
「『少女の運命を変えよ、さすれば未来から来た戦士に出会えるであろう~』……こんなん出ましたー!」
「少女の運命……? 相変わらずざっくりしているな」
「未来から来た戦士……? 一体何の事なのよ?」
相変わらず不明瞭なナビィのナビゲートにマーベラス達はため息をつく。
「まあいいさ、この世界にも大いなる力が眠っているんだ、このシッポが帰る方法を見つけるまで俺達はそれを探す……お前らもそれでいいな?」
この世界での今後の行動方針を決めたマーベラスと、それに賛同する他の四人。その時、ナビィはマーベラスら五人を見てあることに気付く。
「あれ~? そういえば鎧はどこいったの~?」
「え」
ナビィの指摘に互いに目を合わせるマーベラス達、そしてしばらく無言でいた後……。
「あ~!!!?」
ようやく鎧の事を思い出した。



「だめだ、圏外になってやがる……電波の届きにくい所にいやがるなアイツ」
数分後、マーベラス達は鎧にモバイレーツで連絡を試みるが……失敗していた。
「まあ……あいつの事だから無事だと思うがな」
「そうね、心配しなくてもそのうち会えるでしょ」
「三人とも楽観視しすぎだよー」
その時、リコは興味深そうにアイムのモバイレーツを見つめていた。
「アイムさ~ん、ちょっとそれ解体してみてもよろしいでしょうか? どういう仕組みなのかとても興味深いであります!」
「ええ~!? それはちょっと……」
「こーら、リコッタ」
するとリコの後ろにいたミルヒが、彼女の頭をぽこんと叩いた。
「そうやって先ほども勇者様を困らせたではありませんか、少し自重なさい」
「はう~、すみませんです~」
「まあまあ……」
そう言ってアイムはリコッタの叩かれた頭を優しく撫でてあげた、すると……。
「おおおう~!? あなた様は撫で上手であります~! 姫様に匹敵するであります~!」
リコはあまりの心地よさに、しっぽをものすごい勢いで振ってヘブン状態になっていた。

「そういえばアイムと犬姫、微妙にキャラ被ってんな」
「どっちも癒し系姫だからねえ」
そう言いながらマーベラスは自分のモバイレーツを見つめる。
(鎧……一体どこに行きやがった?)





そんなこんなでその日の夜、マーベラス達はリコとエクレの案内によってミルヒの歌が披露されるコンサート会場にやって来ていた。
「へえ、ここがコンサート会場か……」
「沢山の方がいらっしゃっていますね」
「お、あそこに出店あんじゃん……ちょっと行ってみない?」
「人ごみは苦手だ……」
「お前達は先程の戦の功労者だからな……姫様が特等席を用意してくださった、ありがたく思うんだな……」
「エクレ、流石に失礼でありますよ~」
「構わねえよ、俺達は海賊だしな」
そう言ってマーベラスは辺りをきょろきょろと見回す。
「ん? 誰か探しているでありますか?」
「ああ、シンクの野郎がいないと思ってな……」
「あのアホ勇者なら大浴場だ、汗臭い体で姫様の前に行かせるわけにはいかなからな……」
「よかったらマーベラスさんもいかがでありますか?」
「んー……お前らはどうする?」
リコの提案にマーベラスは他のメンバーの意見を求める。
「私とアイムはエクレとリコと一緒に買い食いしてるわ、お腹空いたし」
「俺は折角だし入らせてもらうか」
「僕も行くよー」
「んじゃ男組は風呂に行くか……お前ら後でな」
こうして男性陣は女性陣と別れて大浴場に向かった。

彼らはまだ知らない……この判断が後にとんでもない悲劇を招くことになろうとは……。



~女性陣サイド~
マーベラス達男性陣と別れたルカ達女性陣は、エクレとリコの案内で祭りの準備が進んでいる城下町を渡り歩いていた。
「ルカさん、あそこに綿あめが売っていますわ」
「へえ、色んなものがあるのねー」
「戦興業で勝つのは久しぶりだからな……国民達も姫様のコンサートを盛り上げようと頑張っているんだ」
「楽しんでいってくださいね、今日こうやって皆が楽しむことができるのは皆さんのおかげでもありますから!」
そう言ってリコは鼻息を荒げてルカ達の一歩前を歩く、その時……彼女の前方にある飲食店からなにやら騒がしい声が聞こえてきた。
「きゃー! 食い逃げよー!」
「わふっわふっ!」
すると店の中から大きなフランスパンを口に銜えた大男が飛び出してきた。
「ったく、めでたい日に馬鹿なことする奴がいたもんね」
「というか……あの方、こちらに向かってきていませんか?」
男はそのままルカ達の元に突進してきた。
「うおおおお!! どけどけー!」
「うわああ!! こっちにくるでありますよー!」
「ちっ!」
エクレはその男を迎撃しようと、常に持ち歩いている二本の短剣に手をかける、その時……。

「おいおい、女の子を突き飛ばそうとするなんて……男としてなってないな」
「え!?」
突然ルカ達の目の前に、ニット帽の隙間からたれ耳を覗かせる大男が現れ、突進してくる男を片手で止めてしまった。
「ぬ!? う!?」
「はわー!? すごい力もちであります!」
「そらよ!」
そしてニット帽の男はそのまま突進してきた大男を片手で押し出し、ベタンと尻餅をつかせた。
「うおおおお!?」
「へえ、やるじゃんあんた?」
「ん? もしかして俺に惚れた? 参ったなー! 俺妻も子供もいるんだけどなー!」
そう言ってニット帽の男はでれっと顔を緩ませる、その時……押し出された大男が別方向に向かって逃げようとしていた。
「くそ! このままつかまってたまるか!」
「ああ! 待て!」
そのことに気付いたエクレは、すぐさま追いかけようと駆けだす、しかしその時……。
「だあああああ!?」
大男は突如横から出てきた足に引っかけられ、前のめりに倒れて顔面を強打する。
「あだだだ……!」
「この! 観念しろ!」
エクレはすぐさま、倒れた大男の腕を捻りあげて束縛する。
「……どこの時空にでもいるのね、こういうベタベタな悪事に手を染める人が……」
するとそこに、赤いミニスカートのスーツを身に纏った凛々しい犬耳の女性が現れる。
「あなたがあの食い逃げ犯さんを止めてくださったのですね、ありがとうございます」
アイムはその現れた女性にぺこりと頭を下げた。
「いいのよ、職業病みたいなものだし……それよりドモン! ようやく見つけたわよ!」
「げ!? ユウリ!?」
ユウリと呼ばれた女性は、ずかずかとドモンと呼んだニット帽の男の前に立ち、厳しい視線を向ける。
「ふらふら出歩くなってあれほど言ったのに……目立つような行動は控えなさい!」
「い、いやだってよー……あまりにも楽しそうだったから……」
「言い訳はいいの! 早くアジトに戻るわよ!」
「いでででで! わかったから! 自分で歩くから!」
そう言ってユウリはドモンの耳を抓んでルカ達の前から去っていった……。

「何だったのかしらね、あの人たち……」
「悪い人たちではなさそうでしたね」
「では食い逃げ犯さんはエクレに任せて、我々は祭りめぐりを再開するであります!」
そう言ってルカ達はユウリ達とは反対方向に向かって歩いて行った……。



そのしばらく離れた場所で、ドモンは小声でユウリに話しかけた。
「……あいつらがゴーカイジャーか、マツリさんが言っていた通りの奴らじゃないのか?」
「まだわからないわ……あいつらは海賊、私たちは彼らを捕える立場だもの、簡単に信用するわけにはいかないわ……」
「へえへえ、慎重ですね隊長さんは……」
「とにかく竜也達の元に戻るわよ、奴らの情報がまだ掴めていないんだから……」



数分後、マーベラス、ジョー、ハカセの三人はリコから貰った地図を頼りに大浴場の前にやってきた、するとそこでシンクと遭遇する。
「シンクどうしたの? 先に入っていたんじゃ……?」
「あ、みなさん……あはは、実は道に迷って……」
「しょうがない奴だ……折角だから一緒に入るか?」
「いいですねー、みなさんの事色々と聞きたいし」
「裸の付き合いってやつだな……行くぜ野郎ども!」

そう言ってマーベラス達はシンクを連れて脱衣所に入って行った、入口に張られたミルヒの張り紙に気付かずに……。


~脱衣所での一コマ~
「うわー、ジョーさんいい体してますねー」
「そういうお前も中学生の割にはがっちりしているな」
「鍛えてますから! シュッ!」
「いいな二人ともー、僕も鍛えてみるかなー」
「ハカセじゃ一日でへばるだろうな」
「ぶー! ひどいよマーベラス! 僕だってやればできるんだから! ジャンさんに修業の大切さを教えてもらったしね!」


んでもって四人は衣服を脱いで大事なところは海パンを穿いて隠して大浴場にやって来た。
「うっわひっろーい! こんな大きい風呂僕初めて見たよ!」
「はしゃぎすぎだハカセ……」
「こりゃいい、今度ゴーカイガレオンにも作るか」
「いやいや、あの海賊船には入らないでしょー……あれ?」
その時シンクは湯気の向こうに誰かいる事に気付く。
「ん? 先客かな……」
そして湯気が晴れていく、その先にいたのは……。
「……はれ?」
“一糸纏わぬ姿”のミルヒだった。風呂上がりでぬれた髪としっぽがセクシーである。
「「「「「……」」」」」
あまりにも想定外の出来事にその場にいた全員は思考を停止して固まっていた、そして……まず最初に思考を稼働させたマーベラスがキャプテンとして一言。
「よしお前ら、まわれ右」
するとジョーとハカセはマーベラスと共にピッピと回れ右して、ミルヒの体から目線を反らした。
「のわああああああ!!?」
「はわああああああ!!?」
一方海賊じゃないシンクはその場であたふたし始め、ミルヒは両腕で胸を隠しその場に座り込んだ。
「こここここれは違うんですあのそのぼくそんなつもりなくて!」
「ご、ごめんなさい……みなさんにこんなはしたない姿を……! 普段この大浴場は中々入れなくてこんな時ぐらいはって……」
「おいやめろ謝るな、逆に罪悪感が増すから」
「それじゃ僕今すぐ出ますんでってうわあああああ!!?」
シンクは慌てて大浴場から出ようとして足を滑らせて風呂の中に落ちていった。
「あ、あの……それじゃ私出ます! すみませんでしたー!」
そう言ってミルヒはマーベラス達の左側を通って大浴場から出ていった、対してマーベラス達は今度は回れ左してミルヒの体を見ちゃわないよう配慮ある行動をとった。
「……よく女の裸を見る世界だ」
「そのうちの一つはマーベラスが原因だがな」
「いやー、僕てっきり殴り飛ばされるかと思ったよー、ルカとは大違いだねあの子」
「あ、あの……姫様行きました?」
そう言ってシンクは湯船から顔を出す。
「あの! 勇者様! マーベラスさん!」
「うわっと!?」
すると脱衣所の扉から体にバスタオルを巻いたミルヒが顔をのぞかせる。
「召喚の事とか……これからの事とか……みなさんにお話ししたい事一杯あるんです、ですからコンサートが終わったら少しお時間頂けますか?」
「は、はい!」
「構わねえぜ」
「ありがとうございます! では後ほど!」
そう言ってミルヒはシンク達の返事を聞いて嬉しそうにほほ笑むと、脱衣所の奥へ入っていった……。

数分後、落ち着きを取り戻したシンク達はゆっくりと湯船に浸かっていた。
「たくびっくりさせやがって……」
「というかここ女湯なんじゃないか?」
「姫様に聞けばよかったね」
「早めに出た方がいいんですかねえ?」

「きゃー!!!?」
その時、外の方で何かガラスが割れる音とミルヒの悲鳴が聞こえてきた。
「姫様!!?」
「なんだ!!? どうかしたのか!!?」
シンク達は慌てて湯船から上がり、一応服を着てから外に飛び出した。すると建物の上に縛りあげられたミルヒと謎の3つの影があるのを発見する。
「むー! むー!」
「犬姫!!」
「なんだ!? お前達は何者だ!!?」
するとジョーの言葉の後にラッパの音が流れた後、その三つの影にライトが照らされた。
「我ら! ガレット獅子団領!!」
まず兎耳のおっとりとした少女が名乗りをあげ、腰を落として手を広げるポーズをとり、
「ガウル様直属秘密諜報部隊!!」
虎柄のシッポが特徴的な活発そうな少女が、両手を上に広げたポーズをとり、
「「「ジェノワーズ!!!」」」
縛られたミルヒをお姫様だっこしている黒いショートカットにネコ耳を生やしたクール系の少女を中心に、三人一斉に名乗りを上げる。(背景では緑、黒、黄色の爆発あり)
「ジェノワーズ……!!?」
「お前ら! 犬姫をどうする気だ!?」
「ビスコッティの勇者どの、そして助っ人の海賊のみなさん……あなた達の大事な姫様は我々が攫わせていただきます」
「ウチらはミオン砦で待ってるからな!」
「姫様がコンサートで歌われる時間まであと一刻半、無事助けに来られますか?」
「むー! むー!」
ミルヒはまるでシンク達に何かを訴えるように首を横に振る。
「つまり……大陸協定に基づいて要人誘拐奪回戦を開催させていただきたいと思います」
すると近くに置いて立った箱型モニターに、先程ジェノワーズと名乗った三人組が言っていたミオン砦が映る。
「こちらの兵力は二百……ガウル様直下の精鋭部隊」
「で、ガウル様は勇者様と海賊さん達との戦いを御所望です」
「皆が断ったら姫様がどうなるか……」
「むー! むー!」


「ね、ねえどうするの!!?」
ハカセは急な展開にあたふたし始める、それに対してマーベラスは不敵ににやりと笑った。
「へ、おもしれえじゃねえか、海賊からダチを浚うなんてよ……いいぜ! 俺達はお前達の挑戦に受けて立つ! お前はどうする!?」
マーベラスは勢いよくシンクの方を向く。シンクもまたマーベラスのように目をキラキラさせてジェノワーズに対し堂々と宣戦布告した。
「受けて立つに決まってる!! 僕は姫様に呼んでもらったビスコッティの勇者シンクだ! どこの誰とだって戦ってやる!!!」


こうして四人はジェノワーズの挑戦を受ける事となった、この事が後に大変な事態を引き起こす事になるとも知らずに……。










話はその数時間前に遡る、ビスコッティの街から大分離れた場所にある森……そこはフロニャ力の影響が弱まっており、大けがをすれば命にも関わる場所だった。
そしてその中心辺りにある大木の下に……金髪ポニーテールに狐のような耳、そしてお尻には狐のふさふさなシッポが生えた少女が、無機質に動き続ける線の細いからくり兵士に取り囲まれていた。
「#$%&」ザッザッ
(不覚……まさかこのような異形の者達と遭遇し負傷するとは、おまけにお館様とはぐれてしまったでござるよ……)
少女の足からは切り傷による血が流れていた。
(ははは……こんなにピンチなのは家族を失った時以来でござる、さて……どうしたものか)
「#$%&……」
すると異形の者達はじりじりと少女ににじり寄る、少女を亡き者にしようとしているのか、捕獲しようとしているのか、鉄でできている顔から窺う事は不可能だった。
(これは……ちょっと覚悟を決めないといけないでござる……!)
少女は命を失う覚悟で持っていた小太刀を握りしめた。

「待て待て待て待て―い!!!」
「#$%&!!?」
その時、彼女の目の前に銀色の服に頭には黒いバンダナを想わせるようなデザインのヘルメットを被った戦士……ゴーカイシルバーに変身した伊狩鎧が現れた。
「女の子一人を大勢で痛ぶるなんて……そんな事はこのゴォーーーーーーーーカイシルバー! が許さなーい!!」
「#$%&!!?」
異形の者達は鎧の突然の乱入に動揺しながらも、持っていた銃を彼に向ける。
「でりゃああああ!!!」
鎧は放たれた銃弾を回避しながらゴーカイスピアで異形の者達を倒していく。
「#$%&!!!」
「まだまだ出てくるか! それなら……!」
そう言って鎧は自分専用の変身ツール……ゴーカイセルラーを取り出し、ゴーカイバックルから取り出したレンジャーキーをその中に挿入する。
「ゴーカイチェェーーーーンジ!」
『ジュウーーーーーーーレンジャー!!!』
ゴーカイセルラーを目の前に突き出す、すると鎧はジュウレンジャーの6人目の戦士……ドラゴンレンジャーに変身する。
「おお!? カッコいいトカゲに変わったでござる!」
「とっととトカゲ!? これは恐竜ですよ~!!」
少女の間違いを訂正しながら鎧はドラゴンレンジャーの専用武器を取り出す。
「獣奏剣! とりゃー!!!」
「#$%&!!!!!」
すると獣奏剣の刃の部分からビームがなぎ払うように放たれ、異形の者達はその直撃を受けて全滅した……。
「決まった……! おっとそこの君! 大丈夫!?」
鎧は変身を解くとすぐさま少女の元に駆けつける。
「いやー、もうだめかと思ったでござるよ、あなた様は一体?」
「俺の名前は伊狩鎧! ゴーカイジャー六人目の戦士! ゴォーーーーーカイシルバーです!」
そう言ってポーズ付きで名乗る鎧、対して少女は首を傾げながら自分の名前を名乗った。
「ごおかいじゃあ? あ、拙者はユキカゼ・パネトーネと申す者でござる」
「ユキカゼさんですか!! 早速聞きたい事があるんですけど!」
「ん? なんでござるか?」
「ここっていったいどこですか!!?」
「はい?」

「ユキカゼー! どこでござるー!?」
するとそこに、端正な顔立ちの犬耳を生やした女性が鎧達の前に現れた。
「お館さま! ああよかった~! 無事だったでござるか!」
「どちら様?」
「拙者はブリオッシュ・ダルキアン、ユキカゼの旅の仲間でござる、もしかしてこの足元の異形の者達はお主が?」


数分後、鎧はダルキアンと名乗った女性からこの世界の事、そして彼女達自身の事について説明を受け、そして自分の事を彼女達に説明した。
「がぁーん! まさかとは思っていたけどここってやっぱ異世界だったんだ! 何ワールドなんだろ!!?」
「お主、やけに飲み込みが早いでござるなー」
「鎧殿は異世界から来たと言う訳でござるか、どおりで見たことも聞いたことも無い力を使って戦っていたでござるー」
「はい、はぐれた仲間を探してここを彷徨っていたんですが、結局見つからないしセルラーも圏外で……」
「ふむ、このままでは辺りが暗くなって非常に危険だ、鎧殿……拙者達はビスコッティに向かうのだが、よろしければ一緒に来ないか?」
「んー、そうするしかないですよね、こんな奴らまで出てくるし……それじゃお言葉に甘えて!」
そう言って鎧は自分が倒した異形の者達を見る。

(なんでこんな所にゼニットが……? 一体この世界はどうなっているんだ……?)










今回はここまで、次回はミオン砦の回です、原作と大分かけ離れた改変をする予定なのでシンクとエクレの出番はほとんど無いかも……。

今回出てきた戦士はジュウレンジャーの追加戦士であるドラゴンレンジャー、ジュウレンジャーのハウリングキャノン持っていました……うちの親もいまだに覚えているほど印象深い作品です。


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