静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発が立地する海岸に、遡上(そじょう)高(内陸へ駆け上がる津波の高さ)15~20メートルの津波が押し寄せる可能性があることが、明応東海地震(1498年)を調査した東京大地震研究所の都司嘉宣(つじよしのぶ)准教授(地震学)の分析で分かった。中部電が津波対策の根拠としている最大想定遡上高10メートルに比べ、1・5~2倍の高さとなる。静岡市で開かれている日本地震学会で13日、報道陣に明らかにした。
都司准教授は静岡県内の古文書や伝承を調べ、明応東海地震で浜岡原発の西約30キロの同県磐田市掛塚付近で遡上高約10メートルの津波があったとの分析を発表。
報道陣は、この分析を浜岡原発が立地する海岸に当てはめるとどうなるかと質問。これに対し都司准教授は、浜岡原発立地点は浅い海底が外洋に突き出すように広がり、津波のエネルギーが集中しやすい地形になっていると指摘、「浜岡原発には(明応東海地震で掛塚を襲った津波の)5割増し、もしかしたら2倍の津波が来る可能性がある」と述べた。
中部電は、東海・東南海・南海の3連動型地震よりもさらに大きなマグニチュード9の地震が発生した場合、高さ10メートルの津波が浜岡原発を襲うと想定し、浜岡原発に高さ18メートルの防波壁の建設を進めている。中部電は毎日新聞の取材に対し「都司准教授の研究の詳細を知らないのでコメントできない」と話している。【平林由梨】
毎日新聞 2011年10月14日 東京朝刊